2011/1/30  3:58 | 投稿者: おるん

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◇◆◇3.クラス替え

二年生に進級した。彼と同じクラスになることを願ったけれど、隣のクラスになった。
彼は今、生徒会長。相変わらず定期テストの席次はいつも首席。

放課後、生徒会室に向かう彼と、部室に向かう私。階段で一緒になった。
「会長、今日も生徒会で作業?」
「まぁな。」
「新聞部で新入生歓迎号を作るんだけど、会長挨拶を載せさせてもらいたいな、なんて。」
「ふむ。…まぁ、良いだろう。何文字くらいだ?文面を考えておくが。」
「ホント?そうだなぁ…。百五十字くらいかなぁ。あと、写真撮らせて!」
「あ、ああ…。」
「後でカメラ持って生徒会室に行くからね!」
「…。」

カメラを持って生徒会室に行く。コンコンとドアをノックして呼びかける。
「新聞部です。取材させてください。」
カチャとドアを開けて出てきたのは草間君だった。
「どうぞ。まだ他の役員は来ていないが…、問題ないだろう?」
「うん。写真だけだし。
挨拶は明日にでも届けてよ。2-Bに来てくれてもいいし、放課後、部室でも構わないから。」
「ああ、分かった。」
「ええっと、背景はどうしようかな…。会長机で座っている所にしようか?」
「ふむ。」
二人で机に向かって歩く。執務机の上に花が活けてあった。
「スイセン?」
「ああ、母が好きで。家でたくさん咲かせたんで持たされた。」
「会長が持ってきたの?ふふっ、似合わない!」
「俺は断ったんだ。そうしたら代わりに結城さんが持たされてだな。」
「あぁ、なるほど。」
「ラッパスイセンの花言葉を知っているか?」
「ううん。」
「生まれ持った素質というそうだ。スイセンの花が少し好きになった。」
「じゃあ、スイセンも入るように撮ろうか。」
「そうだな。」
彼が席に着き、私のほうを向く。
「うーん、角度は…もうちょっと右向いてくれる?」
彼が左に椅子を回す。
「あ、ごめん。会長から見て右向いて。」
あぁ、という顔をして向き直した。
「うん。じゃあ、撮ります!」
カメラのピーピーという小さな音が生徒会室に響く。カシャっとシャッターが下りる音がする。
デジカメの画像を見ながら言う。
「表情硬いなぁ。」
「そういわれても、これが精一杯なんだが。」
「まぁ、会長挨拶だし、いいか。」
「ではこれで…。」
「待った待った!もうちょっと撮らせてよ。」
「えぇ?」
「もうちょっと普段の会長ってヤツも見てみたいじゃない?」
「…。」
彼が辟易した顔をした。
「ほら、今度はその窓のところに立ってみてよ。」
ふぅっとため息をつきながら、席を立ち、窓の前まで歩いてきた。
「ほらほら、笑って。」
「…。」
ますます仏頂面になる。
気にせずシャッターを切りまくる。
「窓の外を眺めてみて。」
なんだかんだと指示を聞いてくれている。
「おい、まだ撮るのか?」
彼がちょっと困った顔をする。もちろん気にせずその表情もカメラに収める。
夢中でシャッターを切っていると、自分の背後の椅子にぶつかって、拍子に転んで尻餅をついた。
「おい、大丈夫か!?」
「痛ったー…。カメラは無事だから…。」
「…カメラの心配か、仕方のないヤツだな。」
そう言って私に近づいてきた彼が手を差し伸べて微笑みかけた。
もちろんその表情も写真に撮った。
「おいおい、そこまで撮るのか…。」
「だって、今凄くいい顔したもんね。」
「はぁ…。その写真、どうする気か知らないが、悪用するなよ。」
彼が差し出した手に捕まり立ち上がった。
「悪用…はしないと思うけど…。」
「?」
「まぁ、私のカメラテクの練習台ということで。」
「ふーん。まぁいい。今日はこれくらいにしてもらおうか。」
「ありがと。じゃあ、また明日ね。」
生徒会室を出て、部室に戻る。
彼の写真を自分のメモリカードにコピーしてカメラから削除する。
ついでにあの微笑みかけてくれた写真をプリントアウトした。
「いつもこの笑顔で私に微笑みかけてくれたらいいのにな。」
宙に向かって、はぁっと大きなため息をついた。

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1.図書館の君
<2.取材 4.転校生>
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2011/1/24  1:29 | 投稿者: おるん

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◇◆◇2.取材

あっという間に夏休みになり、二学期になった。
彼が全国模試で一位を取ったということが学校中、瞬く間に知れ渡る。
それから、生徒会役員選挙に立候補して当選。
「草間君ってカッコいいよね。」
そんな声がちらほら聞こえるようになった。
新聞部では、先輩たちが草間君のファンクラブを作って、彼の情報を集めていた。
「カッコいいですよねー。」
「ん?ヒトミも草間君が好きなの?」
「え?やだ、部長!私は違いますよー!カッコいいとは思いますけど、そういう恋愛対象ではないです。」
「あ、そういうこと。ふーん。」
ファンクラブってったって、やってることはミーハーでストーカーなんでしょ?
私は純愛。一緒にしないで。まぁ、使える情報はいただきますけど。

「さてと、生徒会のインタビューに行くわよ。メモ係はユカとヒトミ、カメラ係はマユミとナオコで。
残り、行きたい人は付いて来て良いわよ。但し、静かにしててね。」
「はーい。」
結局全部員総勢八人で生徒会室に行く。
「新聞部です。学校新聞の記事の取材に来ました。」
部長がドアをノックして、書記の結城さんが中に入れてくれる。
「どうぞ。」
生徒会室の会議机が隅に寄せられて椅子が部屋の真ん中に輪になるように並べられていた。
「また、随分と大人数で来たものですね。」
「草間君、そういうことは言わないの。」
皮肉を言った草間君を結城さんがたしなめた。
「…二、三人だと思ってたから、つい。」
「気をつけてね。」
何?なんか凄く親しげじゃない?
先輩達も少し強張った表情だ。
「皆さん、どうぞ掛けてください。」
結城さんがそう言って、私たちに椅子を勧めた。
役員達の椅子も私たちで使ってしまったので、彼女が隅から五人分の椅子を引っ張ってくる。
「結城さん、そういうのこそ、俺に頼めば良いのに。」
「じゃあ、三つ運んでね。」
二人で仲良く椅子を運んでる。何か気に入らない。
「じゃあ、始めましょうか。」
そう言って、彼らが運んだ椅子の一つに腰掛けたのが平山つばさ生徒会長。
「はーい。」
資料整理をしていた残りの役員もこちらに来て、それぞれ椅子に座った。

「コホン。では、新聞部から、生徒会役員の皆さんへのインタビューをさせていただきます。
インタビュアーは私、新聞部部長3-B有岡です。よろしくお願いします。」
早速、メモを手に取り、日時・場所・出席者を書き込む。
「皆さん、選挙当選おめでとうございます。まずは皆さんの自己紹介をお願いしたいのですが。」
平山会長、片岡副会長、榎本総務、結城書記、草間君の順に自己紹介が行われた。
「では、次に抱負をお聞かせください。」
これもまた、五人順に話した。
「皆さんの趣味と好きな食べ物を。」
四人は素直に答えてくれたものの、彼だけは答えなかった。
「趣味…特にありません。食べ物も特にこれと言っては。」
「薫、ちゃんと答えなさいよ。」
小さな声で結城さんが草間君に耳打ちした。近くに居るので丸聞こえだ。
「うぅ…うるさいな。」
「彼は、読書が趣味で、甘いものが好きです。」
「綾乃!」
彼が顔を赤くした。
それにしても、名前で呼び合うなんて…。
「あの…結城さんと草間君は恋人同士なんですか?」
部長が単刀直入に聞いた。
「ち、違う!!俺と綾乃っ……結城さんは幼馴染なだけだ!!」
さらに顔を赤くした草間君が椅子から立ち上がって否定した。
明らかに動揺してうろたえている。
「草間君、そんなに否定しなくてもいいのに…。でも、事実、ただの幼馴染ですよ。」
結城さんがにこやかに答えた。気に入らないけど、この二人なら、確かにお似合いだと思う。

この後のインタビューはほとんど草間君に対してのものばかり。
「草間会計は全国模試一位を取られたということですが、勉強のコツなどありますか?」
「…生徒会には関係ない質問だと思いますが?」
「生徒の模範だと思うのです。きっとみんなも知りたがっているかと。」
「…ありきたりなことしか言えませんが、予習復習をしっかりすること。
基本を押さえれば応用もできるようになります。」
「では、久々の一年生役員となりましたが、それについて思うことはありますか?」
「いえ、特には。自分が出来ることをしっかりして、生徒会運営が円滑に進むように頑張りたいと思います。」
「顧問の先生方の印象は?」
「そうですね、皆さん親切で、一から指導してくださいます。」
「担任の綾川先生については?」
「は?それも生徒会には関係ない質問だと思うのですか?」
「綾川先生とは仲が悪いように見えますが、本当は仲が良いのではないですか?」
「はぁ?何を言っているんです!
綾川先生とは図書委員でお世話になり、色々な本について教えていただきました。
それ以上、仲が良いことも悪いこともありません!」
「では草間会計、続いて…。」
「なぜ自分ばかりに質問するんです?生徒会への質問なのであれば、まずは平山会長に聞くべきでしょう?」
怒った草間君が再度椅子から立ち上がる。そのまま部屋から出て行ってしまいそうな剣幕だ。
「そうね、もう十分記事になる質問をしたでしょう?作業があるのでこの辺にしていただきたいわ。」
見かねた平山会長が立ち上がって部長に言った。
「分かりました。では最後、皆さんに。好きな異性のタイプは?」
草間君の顔が益々険しくなる。流石に部長の無神経さに他の役員達も呆れ顔だ。
それでも順番に答えてくれた。
「そうね、思いやりのある人が良いかしら。」
「うーん、気が利く人が良いかな。」
「俺は…明るい人が良いですね。」
「私は偉そうにしない人が良いです。」
「…タイプなんかありません。」
やはりつっけんどんに答えた草間君。
「強いて言うなら?」
部長が食い下がった。
「…優等生的回答で、好きになったらその人がタイプ、ということにしておいてください。」
おぉ!と新聞部員たちがどよめいた。
「…ありがとうございました。次回の学校新聞を楽しみにしていて下さい。」
「程々に楽しみにしておきます。」
会長がそう答えて再び立ち上がり、ドアを開け放った。
部屋から出るように新聞部員達を促した。

結局のところ、新聞部が作った生徒会の記事といえば、ほとんどが草間君のインタビューで、後は結城さんと付き合っているらしいという憶測が付け加えられていた。
自分の所属する部ながら、みっともない記事だと思った。
ただ、彼の写真をたくさん入手できたのはラッキーだった。

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1.図書館の君
3.クラス替え>
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