2010/9/8  13:40 | 投稿者: おるん

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注)本文中にある名称は実在の物・人・団体とはなんら関係ありません。
 ウェブカレはリンクシンク社のSNSサービス名です。
 小説内には一部ウェブカレのイベントに近い箇所があります。
 小説内には一部ウェブカレのイベントの内容を引用した箇所があります。(ネタバレ注意)
 小説内の設定は必ずしもウェブカレ公式設定と同じではありません。
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◇◆◇28.会長の知り合い


冬休みも終わり、三学期が始まった。
久々の学校。朝、アリサと駅で出会う。
「アリサ、あけおめ。年賀状着いた?」
「ことよろ。見たよ。折角の五十円なんだからもうちょっと中身書きなよ。」
「やっぱダメだった?メールも送ったからいいかな?って。たはは。」
「別にいいけど。お年玉、切手シートでも当たれば許してやろう。」
「えー。なにそれ。あはは。」
「桜、お正月、どこか行った?」
「ううん。どこにも。両親は田舎に行ったけど、私はずっと家に居た。アリサは?」
「ウチは温泉旅行。これ、お土産。」
「あ、ありがとう。湯の花?」
「そ、使ってみてね。」
「うん。」
話しながら、階段を上る。
「お正月、一人だったの?」
「え?うん…。まぁ…。」
薫君とのアレを思い出して赤面する。それを見たアリサが目を輝かせて聞いてくる。
「あ!なんかあったな?」
「う…。会長とね、年越し初詣に。」
「え?もしかして、付き合ってる?」
「う、うん…。言ってなかったけど、ちょっと前から…。」
「そうなんだ!ずっと仲良いなと思ってたけど、クリパから?」
「うん、まぁその辺かな…。ごめんね。なんか言うタイミングが分からなくて。」
ホントは文化祭の時からだから、もう二ヶ月。ホントにごめん。
「で?で?そういうコトしちゃったんですか??」
「し、し、してないしてない!!」
「うそだぁ、何もないなら、そんなに顔赤くならないでしょ?」
「う…。その…直前まで。私が恥ずかしがったから彼がやっぱやめとこって。」
「うわー、直前ってキスじゃないよね!?それより先ってこと!?堅物会長がそんなこと。意外ー!」
ホームに上がると、いつもの電車が滑り込んできた。
「や、やめて、恥ずかしい!もうこの話は終わり!」
「詳しく聞きたかったのにー。」
「こんなトコで話せる訳ないでしょ!」
「じゃあ、後で聞かせてくれる?」
「だーめ。」
「えー。」
二人で電車に乗り込む。
「いやー、とうとうくっついたのかー。良かったね。サクラ。」
「うん。」
「転校してきてから、会長、隣のクラスなのに結構、サクラのこと構いに来てたもんね。」
「そ、かな?」
「そうだよ。これはヒトミにも教えておかないと。」
「そだね…。」
私と薫君が付き合っていることを知っている人は少なくとも二人。相葉君と綾川先生。
後は、生徒会のメンバーは知っているかもしれないけど、友達にこうやって話すのはなんだか照れる。


◇◆◇


「アリサ、サクラ、おはよー。」
廊下でヒトミと合流。
「おはよー。」
「サクラ、聞いたよ?クリパ、会長と一緒だったって?」
早速ヒトミが聞いてくる。
「え?うん…。」
「ヒトミ、耳早いね!」
「まぁね。新聞部(ウチの部)、会長ファンが多いからね。彼女達の間では結構その話題で持ちきり。」
「うそ…。」
「ヤバくない?それ。」
アリサの顔色が変わる。
「ちょっとねー。サクラ、気を付けなよ。」
「って言われても…。」
「サクラ、会長と付き合ってるんだって。」
「やっぱりそうなんだ。仲良いよなーってずっと思ってた。」
「ご、ごめん。言いそびれて。」
「別にいいって。でも、ファンは納得してくれないだろうしな。あんまり酷いのがあったら言って。間に入ったげるから。」
「ありがとう。」
ヒトミはあっさりした姉御肌。もし、そんなことがあったら相談しよう。ないことを祈るばかりだけど。
三人で教室に入った。今のところはいつもどおりの平穏な日々。
ファンって言っても、今までも何もなかったんだから、気にすることは無いよね。うん。気にしない、気にしない。
友達でさえ、付き合ってるかどうか分からなかったんだから…。
デートらしいデートも数回だし、後は毎日学校で生徒会か図書館で勉強だし…。大丈夫だよね。
彼には心配を掛けたくないし、いつもどおりで。このことは黙っておこう。


◇◆◇


放課後、彼と一緒に図書館で勉強。今は生徒会も閑散期だから問題ない。
薫君のお陰で宿題も完璧。これまでのところの復習としばらくの間の予習も出来ているので、成績アップも現実的。
毎日、放課後に図書館で勉強した後、駅まで薫君に送ってもらっている。

いつもの通学路を二人で歩いていた。
「ほら、早く行くぞ。」
「うん。」
自転車を押す彼に追いつこうと狭い歩道を小走りで走る。
「きゃっ。」
「おい!気をつけろよ。」
歩道の凹みにつまづいて転びそうになったのを彼が支えてくれた。
「ごめん…。」
「いつも危なっかしいな、君は。」
次の角の出会い頭、見知らぬ高校生が通りかかって、彼に声を掛けた。
「あれ?草間君じゃないか?久しぶり。」
「??……あぁ、君か。久しぶりだな。何年振りだろうか?」
名前を呼ばれた薫君が立ち止まってその高校生を見る。一瞬思い出せなかったようだけど、知り合いらしい。
「ええっと、三年振りくらいになるのでは?」
「ふむ。」
「草間君のことだから、きっと高校でも活躍しているんだろう?」
そう言いながら、その知り合いが私を頭から足までしげしげと見る。鼻で笑われた?なんとなく嫌な感じ。
その視線に気付いた薫君が、腕を引いて私を自分の背後に立たせた。
薫君の背中、なんとなく怒ってる?…いや、怖がっているのかもしれない。
「…そうだな。それでは先を急ぐので失礼する。」
鋭い目つきの薫君が自転車を押して歩き始める。私の手を引いて歩くように促す。よく分からないまま、その知り合いをその場に残して歩き出した。
知り合いの気配が感じなくなった頃、彼に言ってみる。
「なんとなく、あの人、感じ悪い…。」
「そう感じるのは…、きっと昔の私が嫌な奴だったからだ。」
無表情で彼がそう言った。いつもと違う言葉遣い。彼の過去って…。今、彼の暗い部分を見た気がする。
「嫌な奴なんかじゃないないよ!…昔の薫君って?」
「…聞いても楽しい話じゃないぞ。」
「言いたくないならいいけど…。」
ちょっと拗ねてみる。彼がちょっと悲しそうな顔をした。
「いつか、ちゃんと話そう。その時は…聞いてくれるか?」
「うん、薫君のこと、もっと知りたい。」
「…君と話していると、何故か心が軽くなるな。…これからも傍に居て欲しい。」
「うん。」
彼が微かに微笑んだ。彼を信じて待っていよう。
「さて、帰ろうか。」

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1.出会い
<27.初○○○ 29.スキャンダル>
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2010/9/8  13:37 | 投稿者: おるん

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◇◆◇27.初○○○


神社を後にして、彼が私を家まで送ってくれた。
「じゃあ、今日はありがとう。次は四日かな?図書館で勉強しよう。」
「うん…。」
「じゃあな。」
そう言って彼は暗い夜道に向かって歩き始めた。
「待って。」
「ん?どうした?」
「あのね。その…、家に誰も居なくって寂しいから、もう少し一緒に居てほしいんだけど…。」
彼がちょっと困った顔をした。想定外だったらしい。
「どこかに出かけるか?」
「ううん。家でいい。」
「でも、誰も居ない家に勝手に上がりこむのも…。」
「別に構わないよ。」
「…仕方ないな。もう少しだけだぞ。」

彼は少し緊張した様子で家に上がる。脱いだ靴を揃えていた。
「結構寒かったね。温かいお茶、淹れるね。適当に座ってて。」
彼は私の後に付いて私の部屋に入り、床のラグの上に座る。
自分のコートをハンガーに掛ける。
「あ、薫君のも貸して。」
「あぁ、すまない。」
彼からコートとマフラーを受け取ってハンガーに掛ける。
部屋から出て、お茶を淹れて戻ってくる。
「はいどうぞ。」
「ありがとう。」
彼の横に座ってお茶をすする。体が温まる。
「あぁ、温かいな。」
彼もお茶を飲んで一息ついて、部屋を見回している。
「君の部屋、落ち着かない…。」
「なんで?」
「家具がピンクとか、…かわいいのだな。俺にも妹が居るが、もっと素っ気無い部屋だし。」
「へぇ。薫君、妹さんが居るんだ。」
「あぁ。梓というのだが、小学六年生で。甘えてばかりで困った妹だ。」
妹の話をして、ちょっと困った顔をしている。でもちょっと嬉しそうでもある。きっと、梓ちゃんがかわいくて仕方ないんだろうなぁ。
「ふふ。なんか困ってるところが想像できちゃう。」
「それと中三の弟が居る。穂というんだ。綾乃の弟の勝典と同い年で、小さい頃はいつも悪戯ばかりしていたな。」
いつもと違って、すこし饒舌かもしれない。顔の表情がかなり柔らかい。
「ふぅん、薫君の弟かぁ。やっぱり似てる?」
「そうだな…、兄弟だからな、似ていると思うが。雰囲気は少し違うかも。」
「そうなの?」
「あぁ、アイツの方が明るくて人懐っこいな。まだ眼鏡でもないし。」
「うわぁ、どんななのか見てみたい!!」
「見ても大したことないぞ。」
「でも、兄弟の話聞いたの初めてだし!」
「そういえば、そうだな。高校に入ってから、他の人にこうやって家族の話をしたのは初めてかもしれない。」
彼がふふっと微笑んだ。
「…なんか、嬉しい。」
「桜は?」
「ん?」
「桜は一人っ子だよな?」
「うん。兄弟って羨ましいよ。」
「そうか?」
「うん。兄弟、楽しそうじゃない?」
「まぁな。でも、喧嘩もするし、面倒なことは全部俺だし、兄貴は辛いな。」
ホントに困った顔して、ため息なんかついて。今日の薫君はすごく生き生きしている。もしかしたら不慣れな場所で少しばかり興奮しているのかもしれない。
「そうなんだ。あはは。」
「桜は?…俺も君の事をもっと知りたい…。」
彼が私を見つめて微笑んだ。クラっと来ちゃう。
「じゃあ、アルバム見る?」
「ああ。見たいな。」
「ええっと…。」
引き出しの奥にあるアルバムを取り出す。
「ちょっと恥ずかしいな。変な写真があるかもしれない。」
テーブルの上に広げてページをめくる。彼が中の写真を眺めて微笑んでいる。
「これ、桜?かわいいな。まん丸で無邪気に笑ってる。」
「やだ、なんか物凄く恥ずかしい!」
「これは…幼稚園、かな?」
「うん。私、福岡生まれで、幼稚園まで住んでたんだ。」
「ふむ、そのあとは?」
彼が顔を上げて私を見る。
「えっと、そのあとは、埼玉、名古屋、横浜、神戸で、ココ。神戸が一番長くて、小六から高二まで。」
「だったら、神戸が一番馴染みがあるのか?」
「うん。友達もたくさん居るしね。」
「神戸か…。」
「受験終わったら、一緒に行こっか?神戸。」
「ああ、いいな。」
「えっとねぇ、神戸の時の写真は…。この辺がそうだ。中学校は公立だったんだけど…。」
「セーラー服か。今と雰囲気が違うな。」
「そうだね。やっぱりちょっと子供っぽいよね。薫君の中学はどんなだった?」
「制服は学ランだったな。」
「へぇ。どんな感じだったのか気になるなー。」
それまでにこやかだった彼の表情が少しこわばった。あれ?聞いちゃいけない事だったのかな?
「あぁ、そうだな。また今度な。アルバムはこれで十分だな。」
彼は取り繕うように微笑んだ。
「そう?じゃあ片付けるね。」
「ありがとう。」
アルバムを元の引き出しに戻した。
「あ、お茶のお替わりいる?」
「いや、結構。」
「あ、そう…。」
ちょっと気まずいな。何か話題を探さなくちゃ。
「あぁ、そうだ。薫君はどこの大学に行きたいの?」
「う…。一応、赤門のある大学の法学部に…。」
「そ、それって…だよね。すごい…。」
「桜は決めているのか?」
「まだはっきり決めてないけど、青学がいいなぁって…。」
「良かった。大学に入っても会えそうだな。神戸に帰るって言ったらどうしようかと思った。」
彼がニッコリ笑う。良かった。
「じゃあ、桜。今から勉強するか?」
「え?今くらい勉強忘れたいな…。」
「ふむ、仕方ないな。」

二人の間を沈黙が流れる。
自然と見つめ合っていた。彼の瞳に吸い込まれそう。
気が付くと二人の距離が縮まって、唇が触れていた。
あ…。もしかしてこれって。このまま…なんてことになっちゃったら、どうしよう?
目を閉じたまま、頭の中でぐるぐる。
私の左側に居る彼が、私の右側に手をついた。
ヤバイ。このまま押し倒されちゃう。…でも、薫君とならそうなってもいい。
一瞬キスしていた唇が離れる。彼が私を見つめていた。
「バカだな。」
彼がちょっと困った顔で微笑んでいた。私の体勢はもう、後ろに肘までついて半分横になっている状態だった。
「俺が本気になったら困るくせに。」
「…困らないもん。」
「本当に?」
どれ、と彼が私の肩を押して床につけた。半身ひねった状態の私の脚を持って仰向けにさせ、その上に跨った。
薫君、本気だ…。
心臓が早鐘を打つように激しく脈打つ。緊張して呼吸が乱れる。
彼が私のジャンパースカートのファスナーを下ろす。私の首筋に唇を這わせながら、セーターの中に手を入れてくる。
は、恥ずかしい!!
部屋には煌々と灯りが点いている。せめて毛布でも被れたらいいのに。
「か、かおるくん…、電気、消して欲しい…。」
「嫌だと言ったら?」
「う…。」
多分、涙目だ。彼に抱かれたい気持ちと、怖いのと、恥ずかしいのと。
彼はお構いなしで意地悪な笑みを浮かべているけど。
「ほら、無理するから。」
「うぅ。」

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彼は体を起こし、セーターの中から手を抜いた。
緊張が解けて一気に涙が出る。
「悪かった、泣くなよ。」
「かおるくん…。」
「桜…おいで…。…もう何もしないから。」
「薫君、ごめんね。」
起き上がって彼に抱きつく。
「あぁ。まったくだ。中途半端にその気にさせて。我慢する身にもなってみろ。」
「じゃあ、我慢しなくてもいいよ。私、頑張るから…。」
「…ホントに止めとこう。俺、桜のこと大事にしたい。な?」
そう言って、彼は私を引き剥がして、ジャンパースカートのファスナーを上げた。

「さて、俺も眠くなってきたから、そろそろ帰ろうかな。」
「…うん。」
「本当はもう少し一緒に居て、二人で初日の出を、というのも悪くないと思ったのだが。」
「…。」
「あまり遅くなると、親に怒られてしまうからな。」
立ち上がった彼が、ハンガーに掛けたコートとマフラーを取って身に着ける。
鞄を持って部屋から出て行こうとする。
「じゃあ、下まで送る。」
「いや、結構。玄関までで良い。」
言われたまま、玄関まで彼と一緒に行く。
「あの、今日は本当にありがとう。それに…すまない。」
「ううん。私の方こそ。初詣楽しかった。ありがとう。それにワガママ聞いてもらって…ごめんね。」
「気にするな。では、次は四日に。戸締り、ちゃんとしろよ。あと、何かあったらすぐに連絡するんだぞ。」
「うん。わかった。薫君も気を付けてね。」
「あぁ、じゃあな。」
そして、彼が私の家を後にした。

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1.出会い
<26.初詣 28.会長の知り合い>
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