2010/9/1  16:12 | 投稿者: おるん

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注)本文中にある名称は実在の物・人・団体とはなんら関係ありません。
 ウェブカレはリンクシンク社のSNSサービス名です。
 小説内には一部ウェブカレのイベントに近い箇所があります。
 小説内には一部ウェブカレのイベントの内容を引用した箇所があります。(ネタバレ注意)
 小説内の設定は必ずしもウェブカレ公式設定と同じではありません。
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◇◆◇25.雪の帰り道


文化委員や演奏の有志が慌ただしく照明機器や音響機器、椅子や机を片付けている。
生徒会役員はクロークと出口の監視をしている。
何もしないのも申し訳ないので、傍にある椅子を畳んで集めた。
椅子がバランスを崩してガラガラと倒れた。
「きゃっ。」
幸い誰も居なかったし、自分にも当たらずに済んだ。倒れた椅子を起こす。
「おやおや、危ないですね。向こうにしまいますから、運んであげましょう。」
「あ、先生。」
やってきたのは綾川先生だ。
「楽しみましたか?」
「はい。すごいですね。この学校のパーティ。」
「ええ。私が高校生だったときには既にありましたからね。」
「そうなんですね。」
先生が椅子を二脚ずつ、両手でヒョイヒョイと持ち上げた。
「先生、私も手伝います。」
「危ないですよ?」
「少しくらいなら持てますよ。」
別の二脚を持って先生の後ろに着いて歩く。
「…今日、あなたをエスコートしてくれたのは草間会長ですね?」
「な、なんで分かったんですか?」
「そのジャケット。最初の挨拶のときに彼が着ていましたよ。」
「そ、そうなんですね。」
先生にバレてるというのはちょっと照れる。
少しの沈黙の後、先生が唐突に聞いてきた。
「……しちゃいましたか?」
「なっ、なっ、何を!?」
「言っちゃっていいんです?」
「だ、ダメです!」
驚きと慌てで椅子を落としそうだ。
「ふふ、あなたも草間会長もカワイイですね。」
「からかわないでください。」
「すみませんね。ついつい面白くて。」
「先生から見れば、私達なんてコドモですもんね。」
「あはは。そう怒らないで。」
先生が椅子を持ち上げて、収納カートに積む。
「ほら、貸しなさい。」
私の持っていた分も軽々持ち上げて積み上げた。
「さ、もう一回。残りの分も運びましょう。」
またさっきの場所に戻って椅子を持つ。これで私が集めた分は終わり。
「この後も彼に送ってもらうんですか?」
「多分、彼はそのつもりだと思います。」
「雪、うっすら積もってますよ。彼、自転車でしょう?」
「あ…。」
どうするんだろう?歩きだと、私を送って、自分も歩いて帰る…。となると、薫君、家に着くのがすごく遅くなるんじゃない?
「もし、彼が無理そうなら、私が車で送ってあげましょうか?」
「…先生、それはエコヒイキですよ。」
「はは、そうですね。止めておきましょう。」
そう言ってまた収納カートに椅子を積み上げた。
「先生、ありがとうございました。」
「いいえ、どういたしまして。」
先生は他の生徒の片付けを手伝いに行くみたいだった。
「あなたたち、お似合いですよ。指輪、良かったですね。」
私に小さな声でそう言って去っていった。なんか恥ずかしい。


◇◆◇


最後に彼が全員を集めて、挨拶をする。
「皆さん、お疲れ様でした。無事終わりました。気を付けて帰ってください。解散。」
かなり疲れているようで、言葉少なだった。
スタスタと私のところにやってきた彼。
「桜、帰るぞ。」
「うん…。」
彼にジャケットを返し、コートを着る。彼もジャケットとコートを着て、プレゼントのマフラーを巻いた。それぞれ荷物を持った。
「薫君、雪が積もってるって…。」
そう言いながら体育館の出口に立つ。
「これは、見事なホワイトクリスマスだな。」
彼が息を呑んだ。イルミネーションが雪に映える。
「キレイ…。」
その場に居た人たちも外の景色に見とれていた。

「薫君、今日も自転車なんでしょ?」
「あぁ。でも、これでは乗れないな。明日も学校に来るから今日は置いて帰る。」
「どうしよう?」
「どうしようとは?」
「だって、歩きだと、薫君帰るの遅くなっちゃうじゃない。」
「仕方ないな。」
「風邪ひいちゃうよ!?」
「そんなにヤワじゃない。ほら、足元気を付けろ、滑るぞ。」
積もった雪に足跡を付けて歩く。ぬかるみもあり、歩き慣れなくてヨタヨタだ。
「大体、君がそんな歩き方で家まで一人で帰れないだろう?」
「う…。」
確かに。まだ学校からも出ていないのに、三回くらい転びそうになって、今は彼の腕にしがみついて歩いている。
「一体何時間掛かるだろう…。いっそのこと学校に泊まりたい気分だ…。」
彼がため息をついて、頭を抱えている。
「泊まっちゃう?」
「バカ!冗談だ。ほら、頑張って歩け!」
「はぁい。」
薫君、厳しい。そりゃそうか。疲れてるのに。ごめんね。

他の人も同じように歩き慣れていなくて苦労していたけれど、私よりは歩くのが早かった。
学校の外に出た頃には周りには誰も居なかった。
「ねぇ、結城さんはどうしたのかな?」
「さぁな。榎本さんが送ってったんじゃないか?」
「榎本さん、家近いの?」
「知らない。」
「もしかして、ね?」
「まさか、そんな…。」
「私もいいよ、別に。電車も止まってるかもしれない。」
「…。」
彼が生唾飲んだように見えた。分かりやすい。次の一手がどう来るか、しばらく黙って待っていた。
「そしたら、歩いて君の家まで送ってやる!」
「泊まりたくないの?」
「大体、泊まる場所も金もない。」
「うーん。」
「あんまり言うと、本気にするぞ?」
「いいよ。」
「バカ。あんまりワガママ言うな。」
「ワガママなんかじゃないもん。私に付き合ってたら、薫君、家に帰れないじゃない。疲れてるのに、途中で倒れちゃったらどうするの?」
「大丈夫だ。疲れてるといっても、途中で倒れるほどじゃない。」

普段十分程度で歩ける道のりが二十分掛かった。
幸い電車はまだ動いていて、乗ることが出来たが、徐行運転でダイヤは乱れていた。
電車で三駅。あっという間だ。ホームに降り立った彼が言う。
「足、冷たくないか?」
「うん…。多分しもやけになると思う。」
「ちょっと靴脱げ。」
「え?やだよ。」
「いいから。」
私をベンチに座らせて、彼が前にひざまずく。そして私の靴を剥ぎ取った。
「こんな足じゃまともに歩けるわけがないな。」
雪で濡れたタイツ。かじかんだ足をハンカチで拭いてくれた。ポケットから使い捨てカイロを取り出して、足を温める。
「流石に君を負ぶって歩くというのは、俺が転んだら洒落にならない。だから、家まで君に歩いてもらわないと。
今、十時四十分。君を送って、十一時。駅に戻ってきて十一時十五分と見て…。ダイヤは乱れているが、なんとか電車はまだありそうだな。」
「薫君、駅から歩いて家まで帰ったら何時になるの??」
「さぁ、ちゃんと歩いたことが無いからな。自転車で二十分の距離だ。一時くらいには着くんじゃないか?」
「ごめんね。」
「こればかりは仕方が無い。君が悪いんじゃないから気にするな。
そもそも、あの駅じゃなくて、大回りして家の近くの駅に降りればもう少し早く着くだろう。
…さて、行こうか。」
自分で靴を履いて立ち上がる。濡れた靴が冷たいけど、少しマシになった気がする。
「うん。」
二人で階段を降り、改札を出た。また降り出した雪の中を二人で歩く。
何とか私の家まで辿り着いた。
「ありがとう、薫君。ちょっと待ってて、傘持ってくるから。」
「あぁ。」
マンションのエントランスから一旦自宅に上がる。傘を持って降りてくる。
「これ、ビニール傘なんだけど…。」
「ありがとう。助かる。」
「ホントに気をつけてね。」
「あぁ。またメールする。じゃあな。」
そう言って、彼は手を振り、傘を差して帰っていった。

無事家まで帰れますように。風邪ひきませんように。

ホントにお泊まりでも良かったのになぁ。律儀というか真面目というか。

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1.出会い
<24.熱い恋人達 26.初詣>
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2010/9/1  16:08 | 投稿者: おるん

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◇◆◇24.熱い恋人達


イルミネーションのある花壇のベンチに腰掛ける。
「あのね、プレゼント、持ってきたんだ。」
桜がさっきクロークから持ってきた紙袋を俺に手渡す。
「メリークリスマス。開けてみて。」
「あぁ。」
がさがさと中身を取り出す。
透明の袋にラッピングされたマフィンが二つ。それともう一つクリスマスラッピングされた何か。
「…。」
「マフィンは練習したから!多分、食べられる程度には…。」
お菓子をもらって、そんな説明されたことない。ふふっと笑ったら、桜が怒った。
「あー、笑った!でも、怖いから家で食べて。もう一つの方、開けてみて。」
緑色のラッピングの赤いリボンを解く。マフラーだ。
「薫君に似合うと思って。」
「ありがとう。じゃあ、早速。」
マフラーを巻いてみる。肌触りは柔らかく、暖かかった。
「うん。やっぱり似合う、良かった。」
桜が微笑んだ。じゃあ、と俺もプレゼントを渡す。
「これ…。」
「ありがとう。開けていい??」
コクンとうなづく。桜がラッピングを解き、指輪ケースを開く。
「わぁ。これ!!」
「大したものでなくてすまないが…、君に似合うと思って。」
「ありがとう!!すごく嬉しい!これ、あの雑貨屋さんの!!」
「あぁ。」
「これが欲しかったの!この前行った時にはもう売り切れだって言われたから。ありがとう!」
「正直、あの店での買い物は物凄く恥ずかしかった。」
「もしかして、最後の一個、買ったの薫君だったのかなぁ?」
「?」
「店員さんがね、男の子が顔を真っ赤にして買っていって、初々しかったって。」
「!!…さぁ、どうだろうな?」
「ふふ。きっとその男の子も今頃彼女にプレゼントしたのかなぁ…。」
「あぁ、きっとそうだろう。…指輪、嵌めてやる。」
指輪ケースから指輪を取り、彼女の左手の薬指に嵌めてやった。
「うん。似合うな。」
「ありがとう。薫君からのプレゼント、嬉しいな。」

彼女は手を掲げ、指輪を眺めていた。
「あ、雪が降ってきた!」
「本当だ。」
漆黒の空から、白い小さな雪が舞い降りる。
わーいと彼女は立ち上がって、前に進み、くるくると回った。雪なんて何年ぶりだろうと。
この辺りでは毎年、一度や二度は大雪が降るのだが、彼女の住んでいた場所は雪が降らなかったのか。
ワンピースの裾が風を抱いて広がる。はしゃぐ姿が天使か妖精みたいだ。
「ほら、あんまりはしゃぐと転ぶぞ?」
「大丈夫だって…きゃ!」
案の定、こてっと転んでしまった。
「ほら、言ったろう?」
彼女の傍に駆け寄り手を差し出す。
「痛たた。靴がいつもと違うから滑っちゃった。」
彼女が俺の手に捕まって立ち上がる。
「ありがとう。」
勢いづいた彼女の体を支える。
「体がこんなに冷えてるじゃないか。」
「うん…、でも薫君と一緒だからかな?なんだか熱くて。」
「熱があるんじゃないか?」
彼女を抱き寄せて額に触る。冷えて冷たい。
「薫君…。」
「桜?」
彼女が俺の肩に体を預けた。

周りに人が居るかもしれなかったが、そんなこともう構わない。冷えた体を包み込むように抱きしめる。
彼女に出会って、俺は変わってきている。こんなに熱い気持ちがあったなんて。こんなにも気持ちを伝えたくしょうがないなんて。
「薫君、く、苦しいよ…。」
そう言われて腕を緩める。彼女が俺を見上げる。俺は彼女の冷たい両頬を両手で包み込んだ。
彼女が静かに潤んだ瞳を閉じた。
………。
彼女の冷たい唇が俺の体温で微かに温かくなったような気がした。
吐息で眼鏡が曇る。二人の間に残った余韻が心地良い。もう一度その余韻を確かめるようにキスをした。

「ほら、これを着ておけ。いくらなんでも風邪ひくぞ。」
脱いだジャケットを彼女に着せる。
「薫君、寒いでしょ?」
「君にもらったマフラーがあるから大丈夫だ。さあ、中に入ろう。」
「うん。」
熱気のこもる体育館へ戻る。
クロークの受付は安田に変わっていた。俺もそろそろ会場内を見回らないといけない。
マフラーを外してさっきの袋にしまい、クロークのコートと一緒の場所に入れる。
「桜、俺、仕事しないと。」
「うん。手伝おうか?」
「いや、大丈夫。…一人が嫌なら一緒に行くか?」
「あ…、邪魔すると悪いから、やっぱり端っこで待ってるね。」
「大丈夫か?」
「うん。ジャケット借りてるし、指輪もらったもん。」
「じゃあ、後でな。」


◇◆◇


体育館の端の椅子に腰掛けて、ジュースを飲む。
薫君、仕事、どれくらい掛かるんだろう?
ホントは一緒に居たい。でも、仕事の邪魔しちゃ悪い。
熱気と喧騒の中、踊る人たちをぼんやり見ていた。
薫君のジャケット。ちょっと大きい。袖が長くて温かい。

「桜ちゃん。」
誰かが私の前に来て声を掛ける。
「あ、相葉君。メリークリスマス。」
「メリークリスマス。」
「どうしたの?楽しんでる?」
「そっちこそ。一人でそんなトコに座ってさ。」
「うん。ちょっと一休み中なの。」
「ふうん。」
そう言って、私の隣の椅子に腰掛けた。
「桜ちゃん、そのジャケット、彼氏の?」
「え?うん…。」
「そっかぁ…。いいなぁ。」
「何が?」
「恋人が居てさ。しかもキミが彼女だったらどんなに楽しいだろうって。ボクだったら、こんなトコでキミを一人にしたりしないよ?」
「そだね。でも、一人にしたくてしてる訳じゃないもん。彼は今お仕事中。」
彼が居るであろう方向を指差す。もちろん人ごみで彼は見えないのだけど。
「あぁ、なるほど。その服、彼の趣味っぽいね。そっか、ボクとは正反対のタイプだよね。」
相葉君は私の着ているジャケットを見てそう言った。相手が誰だか分かったらしい。
「でも、今退屈でしょ?ボクと踊らない?」
「ダーメ。今日は彼が私をエスコートしてくれてるんだから。」
「ちょっとくらい付き合ってよ。」
「わぁっ!」
相葉君が私の手を引っ張って椅子から立たせた。
「ね、一曲だけ。」
「ちょっ、私、踊り方なんてわかんない。」
「リズムに乗って揺れてるだけで良いんだって。ほら。」
彼が私の前で踊る。なんとなく真似してみる。暗いから下手でも分かりにくいだろう。
「そそ、上手いじゃん。」
「ありがと。」
「…なんで会長なの?」
彼が唐突に聞いてくる。
「なんでかな?」
「質問に質問で答えるの止めてよ。」
「だって、ホントになんて言ったらいいかわかんない。でも、好きになっちゃったから。」
「どこが?」
「ああ見えて、彼…。やっぱやめた!」
「えぇ?」
「彼のイメージが悪くなりそうだから!良くなるかもしれないけど。」
私の答えを聞き損ねて、彼が残念そうな顔をする。
「桜ちゃんだけが知ってる会長か…。桜ちゃんだけが知ってるボクっていうのも教えたいのに。」
「私だけが知ってる相葉君?やだ、相葉君、裏表ないでしょ?」
「そう見えて、ボクにもあるの。裏表。」
「相葉君はモテモテじゃない。いっつもみんなの人気者で。」
「まぁね。でも、違うんだよね。みんなに好かれるもの嬉しいけど、誰かの特別になりたいっていうか。」
いつもニコニコの元気印の彼が珍しく神妙な顔をした。
「あ、それ、なんか分かる。」
「分かる?」
「うん。私、転校することが多くて、いつも友達作るのに必死なの。どうしてもみんなに好かれたいっていうか。で、友達はできるんだけど、嫌われるのが嫌で無理しちゃったりとか。」
「ふぅん。でも、桜ちゃんはいいコだから、そんなの気にしなくても大丈夫なのに。」
「薫君にも言われた。私は私のままで良いって。」
「会長と一緒か…。」
「ふふ。この学園に来て、彼に会って変わったかも。少しくらいワガママ言っても良いんだなって。今まで周りの人を信用してなかったのかも。」
普段の振る舞いからは想像も出来ない程のストレートな熱い感情。今までこれほど直接的にアプローチされたことはなかったから。
「…。」
「だから、彼の特別な人になりたいなぁと。普段出さない彼の感情を全部受け止めたいって。」
「ちぇっ、妬けるなぁ。」
「ごめんね。」
「いいよ。…曲が終わっちゃったね。」
「うん。」
「じゃあね。いいクリスマスを。」
「ありがとう。相葉君もね。」
ちょっと寂しそうな顔をした相葉君をその場に残し、さっきまで居た椅子にまた腰掛ける。


◇◆◇


しばらくしてパーティーも終わりの時間に近づく。MCが入り、次が最後の曲だと告げた。
そこに薫君が戻ってきた。
「待たせた。」
「ううん。」
「退屈しなかったか?」
「まぁ…。相葉君が構いに来てくれたから。」
「え?」
「ごめん、断りきれなくて。でも、妬かないで。」
「まぁいい。最後の曲だから、踊れないけど、…踊ろうか?」
彼が手を差し出した。私が彼の手を取る。
「では、参りましょうか、お嬢さん?」
「ふふ。似合わなーい!」
「ほら、おいで。」
にやける私の手を強引に引いた。
照明が派手なパーティーライトからミラーボールライトに変わった。
ムードのある曲が流れるダンスフロアで彼が私の腰に手を当て、私の体を引き寄せる。
私は彼の肩に手を乗せて彼を見つめた。
「所謂チークタイムというヤツだ。」
「なんか照れるね。」
「好評なのでな。」
「薫君もこういうことしたかったんだ?」
「…まぁな。」
周りにいる人もカップルはみんな同じような感じだった。物凄く照れる。これ、先生も黙認なんだ…。すごい学校だなぁ。
最後の曲が終わる。キスしてるカップルもちらほら。さっきのキスの記憶が蘇って恥ずかしい。

私の頬を温かい手で包み込んで、それから私の唇に彼の唇が優しく触れた。温かかった。気持ちよかった…。
…思い出しちゃった。顔が熱くなる。

しばらく余韻に浸った後、会場の照明が切り替わって、ほんのり全体が明るくなる。彼がそっと私から離れた。
結城さんがアナウンスする。
「白薔薇学園クリスマスパーティはこれにて終了です。お忘れ物などございませんように、お気をつけてお帰りください。皆さん、良いクリスマスをお過ごしください。」
そのアナウンスを聞いて、彼が言う。
「さて、後片付けしないとな。桜、後で送るから隅で待ってろ。」

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1.出会い
<23.クリスマス 25.雪の帰り道>
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