2010/9/15  22:32 | 投稿者: おるん

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注)本文中にある名称は実在の物・人・団体とはなんら関係ありません。
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 小説内には一部ウェブカレのイベントに近い箇所があります。
 小説内には一部ウェブカレのイベントの内容を引用した箇所があります。(ネタバレ注意)
 小説内の設定は必ずしもウェブカレ公式設定と同じではありません。
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◇◆◇29.スキャンダル


翌日にはクリスマスパーティの一件があっという間に校内に知れ渡る。
あんなにたくさんのカップルが居て、私達がクローズアップされるのも不思議な感じだけど、それはきっと会長ファンの女の子達に見られてしまったからだろう。
私達が付き合っているんだと確信した人たちも居れば、会長の職権乱用、あるいは私の強引なお誘いだったのだと思っている人も居るみたい。

彼と廊下で何か話そうものなら、以前より増して、ひそひそ話をされたり、興味津々で見られたりする。
流石の彼も、自分が撒いた種とはいえ、想定外だったみたい。
「これは…やりにくいな。」
「う、うん…。」
「放課後、人が少なくなるまでは会話しない方が良さそうだな。」
「そうだね。じゃぁ、また放課後に…。」
「あぁ。」

教室に戻るとヒトミとアリサが寄ってきた。
「サクラ、思った以上にすごいことになってない?」
「う、うん。困っちゃって。私はともかく、会長に迷惑が掛からないか心配で。」
「逆、逆!会長はともかく、サクラ、あんたが心配!」
「なんで?」
「会長に食って掛かる人なんてそうそう居ないわよ。それからしたら、サクラの方が攻撃しやすいに決まってるじゃない。特に会長ファンにしてみたら、あんた確実に悪者だよ。」
「えぇぇぇ、そんなぁ。」
怖い顔していうヒトミの言葉。私、これから一体どんな目に遭うんだろ??
と思っていたら、廊下からヒトミが呼ばれる。
「え?あ!新聞部の先輩だ…。ちょっと行ってくる。」
アリサと顔を見合わせて言う。
「もしかして、あの人たちが会長ファンなのかな…?怖い…。」
様子を見ていると、なにやら先輩達は私を見ている。ヒトミは頑張って弁解してくれているみたいだけど。
「あ、こっちに戻ってきたよ。」
ヒトミがこっちに戻ってきて言う。
「ごめん、サクラ…。先輩達が顔貸せって…。」
「うぅ…。」
「一緒に行くから、お願い。」
「うん…。」
しぶしぶ、席から立ち、アリサを置いて、ヒトミについていく。
「アンタが谷本桜?」
二人の先輩のうちの一人が私に話しかけてきた。
「は、はい…。」
「何で呼ばれたか分かってんでしょう?」
「あ、いえ…。」
困る私にヒトミが入ってくれる。
「あの、先輩、サクラはとてもいい子なんですよっ。」
「ヒトミ、アンタ関係ないからあっち行ってていいわよ。」
「あっ、すみません…。」
ヒトミが困っている。
「で、ちょっとついてきてよ。」
「はい…。」


◇◆◇


結局、先輩達についていくことになる。ヒトミは追い払われてしまった。
連れて行かれたのは校舎の端にある階段の踊り場。二階と三階の間だ。
隅に追い詰められた私が恐る恐る聞いてみる。
「なんでしょうか?」
「アンタ、ちょっと調子に乗りすぎじゃない?」
黙る私に先輩達が口々に文句を言う。
「あんた、役員でもないのに生徒会に入り浸りすぎでしょ?」
「そうやって、男を手玉に取るんだよね?」
「無理矢理、会長を誘ったんでしょ?」
えぇぇ、そんな事言われても、手伝えって言ったのは薫君だし、告白してくれたのもそうだし、クリパだって…。そもそも付き合ってるんだから!って素直に言っちゃったらタダじゃ済まないよねぇ。
「すみません。そんなつもりないんです。以後気をつけます。」
謝っとけばオオゴトにならなくて済むはず。
「分かってるんだったら良いよ。会長はみんなの会長なんだから!許せるのは綾乃だけだよね。」
「そうそう。綾乃が会長の彼女なんだよ?幼馴染だし一緒に居る姿が自然でしょ?アンタみたいなぽっと出じゃないのよ!」
「アンタみたいなのが間に割って入って、綾乃、かわいそうだよ。あの子、イイ子だから何にも言わないだろうけど。」
えぇぇ、結城さんは彼女じゃないんだって…。榎本さんとイイ感じなのに。当事者の話聞かないで、よくここまで想像できるなぁ。
「すみませんでした。」
ペコリと頭を下げる。
「分かってりゃいいのよ。次、またやったら、容赦しないから。」
ひえぇぇ、何されるんですか?勘弁して欲しい。
そのまま先輩達は階段を上っていった。とりあえず一難去ったらしい。
薫君、放課後って言ってたけど、当分会わないほうが良いなぁ。


◇◆◇


放課後、彼に会わないようにそそくさと昇降口に向かう。
そしたら、彼が先回りして昇降口で待っていた。
「桜、昼休み、なんか先輩に呼び出されたって?」
彼が心配そうに私を見つめて言う。嬉しいけど、私は気が気でなくて慌てる。
「あ、うん。」
「大丈夫か?」
「うん。全然平気だから。私、しばらくお手伝いに行くの、止めておくね。」
「どうして?」
「ちょっと家も忙しいんだ。ごめんね。」
「…そうか、だったら仕方ないな。気を付けてな。」
「ありがと。じゃあね。」
ホントの理由なんて言える訳もなく。

この、ほんの一分ほどを見られてしまったらしい。

「痛っ…!」
翌朝、学校の机に手を入れると痛みが走った。
手を引き抜くと引っかき傷ができていて、血が滲んでいた。
机の中を覗くと、本の間に針が出るようにコンパスが挟んであった。
なにこれ…。あの人たち?怖すぎるんですけど!!

また何か言いにくるのではないかと思っていたけれど、一向に来ない。
なんだ、そんなものなのかと思っていた。

転校生って良くも悪くも目立つ。
珍しいから最初はみんなチヤホヤしてくれる。早く自分の居場所を作りたくて必死に頑張る。みんなに合わせているうちに自分の言いたいことが言えなくなったり。頑張ってるのに最後は調子良すぎっていじめられたり。
そうだった。久々の転校で忘れてた。
相手が学園一の秀才で生徒会長。一緒に居て目立たない訳がない。
こうやってターゲットになってしまうのは、やっぱり私の性格が悪いからなんだろうなぁ。
こんなことは慣れっこだ。相手にすると面白がるから知らない顔をしていればいい。そのうちほとぼりが冷める。

今日も彼とは話さない。そう決めているのに、彼は私をとても心配しているようだ。
移動教室の時、彼が自然に寄ってきて、私の横を少し離れて歩く。
「谷本、顔色が優れないぞ?」
「ううん、平気だから。じゃあね。」
そそくさと逃げるようにして彼から離れる。

今日はあの人たちは来なかったから大丈夫。そう思って翌日。
今度は机に入れていたコンパクトが机の上にあって、開けてみると鏡が割られていた。
うわ…、ヤバイよ。これ。
顔をひきつらせながら、そのコンパクトをゴミ箱に捨てる。結構気に入ってたのに。
次は何されるんだろう?…しばらく大事なものは持って来れないな。

お願いだから、薫君、今日は来ないで。
理由を言えば、彼はもっと心配するに決まってる。私を構えば構うほど悪循環になる。

願いむなしく、昼休みに彼が教室にやってきた。
私の態度にとうとう痺れを切らしたみたいだ。
「谷本、ちょっといいか。」
「あ、今からちょっと当番で、先生のところにね、行かないと…。ごめんねっ。」
彼の顔を見れない。ごめんなさい。きっと心配してくれてるんだと思う。

彼を避けて三日。それでも一日に一回は顔を合わせて何かしら話している。
家でメールをしているけれど、もちろんこんなことになっているとは言ってない。

彼には絶対言わない。いつも彼に迷惑を掛けてばかり。
彼はいつも頑張っているのに、私が邪魔してしまう。
年末もそうだった…。

冬休みに入る前。
体調がちょっと悪かったけど、いつものように生徒会のお手伝い。
気がまぎれるとマシになるかと思ったのに、思惑は外れていよいよ辛くなってきた。
「ふぅ…。もう、立てない…。」
部屋の隅で崩れるように座り込んだ。
どうしよう。家まで帰れそうにないな…。でも、薫君やみんなに迷惑掛けたくないし、もうちょっと頑張れるといいのに。
額に脂汗。手足がガクガク震える。お腹痛い…。
「谷本、どこだ?」
ガタン。膝をついて机の足にぶつかった。
「おい!」
彼がその音に向かって駆け寄ってくる。
「桜!どうした!?」
「か、薫君。なんでもない…の……。」
「なんでもないことあるか!」
「ちょっとお腹痛くて…生理痛…。」
「バカ!こんなになるまで我慢するな!」
「ごめん…。」
「仕方ない。家まで自転車で送ってやるから、ちょっと待ってろ。」
「薫君、仕事終わってないんでしょう?」
「そうだ、終わってない。でも、この状態の君を置いておけない。」
「そんな…。」
「往復一時間位か、その分残って作業する。他の役員にも説明してくるから、待ってろ。」
「大丈夫。一人で帰れるから。」
「そんな訳無いだろう!まったく手の掛かるヤツだな!」
結局、彼の自転車の荷台に乗って、家まで送ってもらう。
彼はそれ以上私を責めたりしなかった。きっと一人残って仕事を片付けることになったのに。

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1.出会い
<28.会長の知り合い 30.深まる誤解>
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2010/9/8  13:40 | 投稿者: おるん

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◇◆◇28.会長の知り合い


冬休みも終わり、三学期が始まった。
久々の学校。朝、アリサと駅で出会う。
「アリサ、あけおめ。年賀状着いた?」
「ことよろ。見たよ。折角の五十円なんだからもうちょっと中身書きなよ。」
「やっぱダメだった?メールも送ったからいいかな?って。たはは。」
「別にいいけど。お年玉、切手シートでも当たれば許してやろう。」
「えー。なにそれ。あはは。」
「桜、お正月、どこか行った?」
「ううん。どこにも。両親は田舎に行ったけど、私はずっと家に居た。アリサは?」
「ウチは温泉旅行。これ、お土産。」
「あ、ありがとう。湯の花?」
「そ、使ってみてね。」
「うん。」
話しながら、階段を上る。
「お正月、一人だったの?」
「え?うん…。まぁ…。」
薫君とのアレを思い出して赤面する。それを見たアリサが目を輝かせて聞いてくる。
「あ!なんかあったな?」
「う…。会長とね、年越し初詣に。」
「え?もしかして、付き合ってる?」
「う、うん…。言ってなかったけど、ちょっと前から…。」
「そうなんだ!ずっと仲良いなと思ってたけど、クリパから?」
「うん、まぁその辺かな…。ごめんね。なんか言うタイミングが分からなくて。」
ホントは文化祭の時からだから、もう二ヶ月。ホントにごめん。
「で?で?そういうコトしちゃったんですか??」
「し、し、してないしてない!!」
「うそだぁ、何もないなら、そんなに顔赤くならないでしょ?」
「う…。その…直前まで。私が恥ずかしがったから彼がやっぱやめとこって。」
「うわー、直前ってキスじゃないよね!?それより先ってこと!?堅物会長がそんなこと。意外ー!」
ホームに上がると、いつもの電車が滑り込んできた。
「や、やめて、恥ずかしい!もうこの話は終わり!」
「詳しく聞きたかったのにー。」
「こんなトコで話せる訳ないでしょ!」
「じゃあ、後で聞かせてくれる?」
「だーめ。」
「えー。」
二人で電車に乗り込む。
「いやー、とうとうくっついたのかー。良かったね。サクラ。」
「うん。」
「転校してきてから、会長、隣のクラスなのに結構、サクラのこと構いに来てたもんね。」
「そ、かな?」
「そうだよ。これはヒトミにも教えておかないと。」
「そだね…。」
私と薫君が付き合っていることを知っている人は少なくとも二人。相葉君と綾川先生。
後は、生徒会のメンバーは知っているかもしれないけど、友達にこうやって話すのはなんだか照れる。


◇◆◇


「アリサ、サクラ、おはよー。」
廊下でヒトミと合流。
「おはよー。」
「サクラ、聞いたよ?クリパ、会長と一緒だったって?」
早速ヒトミが聞いてくる。
「え?うん…。」
「ヒトミ、耳早いね!」
「まぁね。新聞部(ウチの部)、会長ファンが多いからね。彼女達の間では結構その話題で持ちきり。」
「うそ…。」
「ヤバくない?それ。」
アリサの顔色が変わる。
「ちょっとねー。サクラ、気を付けなよ。」
「って言われても…。」
「サクラ、会長と付き合ってるんだって。」
「やっぱりそうなんだ。仲良いよなーってずっと思ってた。」
「ご、ごめん。言いそびれて。」
「別にいいって。でも、ファンは納得してくれないだろうしな。あんまり酷いのがあったら言って。間に入ったげるから。」
「ありがとう。」
ヒトミはあっさりした姉御肌。もし、そんなことがあったら相談しよう。ないことを祈るばかりだけど。
三人で教室に入った。今のところはいつもどおりの平穏な日々。
ファンって言っても、今までも何もなかったんだから、気にすることは無いよね。うん。気にしない、気にしない。
友達でさえ、付き合ってるかどうか分からなかったんだから…。
デートらしいデートも数回だし、後は毎日学校で生徒会か図書館で勉強だし…。大丈夫だよね。
彼には心配を掛けたくないし、いつもどおりで。このことは黙っておこう。


◇◆◇


放課後、彼と一緒に図書館で勉強。今は生徒会も閑散期だから問題ない。
薫君のお陰で宿題も完璧。これまでのところの復習としばらくの間の予習も出来ているので、成績アップも現実的。
毎日、放課後に図書館で勉強した後、駅まで薫君に送ってもらっている。

いつもの通学路を二人で歩いていた。
「ほら、早く行くぞ。」
「うん。」
自転車を押す彼に追いつこうと狭い歩道を小走りで走る。
「きゃっ。」
「おい!気をつけろよ。」
歩道の凹みにつまづいて転びそうになったのを彼が支えてくれた。
「ごめん…。」
「いつも危なっかしいな、君は。」
次の角の出会い頭、見知らぬ高校生が通りかかって、彼に声を掛けた。
「あれ?草間君じゃないか?久しぶり。」
「??……あぁ、君か。久しぶりだな。何年振りだろうか?」
名前を呼ばれた薫君が立ち止まってその高校生を見る。一瞬思い出せなかったようだけど、知り合いらしい。
「ええっと、三年振りくらいになるのでは?」
「ふむ。」
「草間君のことだから、きっと高校でも活躍しているんだろう?」
そう言いながら、その知り合いが私を頭から足までしげしげと見る。鼻で笑われた?なんとなく嫌な感じ。
その視線に気付いた薫君が、腕を引いて私を自分の背後に立たせた。
薫君の背中、なんとなく怒ってる?…いや、怖がっているのかもしれない。
「…そうだな。それでは先を急ぐので失礼する。」
鋭い目つきの薫君が自転車を押して歩き始める。私の手を引いて歩くように促す。よく分からないまま、その知り合いをその場に残して歩き出した。
知り合いの気配が感じなくなった頃、彼に言ってみる。
「なんとなく、あの人、感じ悪い…。」
「そう感じるのは…、きっと昔の私が嫌な奴だったからだ。」
無表情で彼がそう言った。いつもと違う言葉遣い。彼の過去って…。今、彼の暗い部分を見た気がする。
「嫌な奴なんかじゃないないよ!…昔の薫君って?」
「…聞いても楽しい話じゃないぞ。」
「言いたくないならいいけど…。」
ちょっと拗ねてみる。彼がちょっと悲しそうな顔をした。
「いつか、ちゃんと話そう。その時は…聞いてくれるか?」
「うん、薫君のこと、もっと知りたい。」
「…君と話していると、何故か心が軽くなるな。…これからも傍に居て欲しい。」
「うん。」
彼が微かに微笑んだ。彼を信じて待っていよう。
「さて、帰ろうか。」

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1.出会い
<27.初○○○ 29.スキャンダル>
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