2010/9/15  22:39 | 投稿者: おるん

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注)本文中にある名称は実在の物・人・団体とはなんら関係ありません。
 ウェブカレはリンクシンク社のSNSサービス名です。
 小説内には一部ウェブカレのイベントに近い箇所があります。
 小説内には一部ウェブカレのイベントの内容を引用した箇所があります。(ネタバレ注意)
 小説内の設定は必ずしもウェブカレ公式設定と同じではありません。
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放課後、いそいそと帰ろうとする桜を捕まえる。
「谷本!」
「は、はい。な、なに?会長??」
「ちょっと来たまえ。」
「わ、私、ちょっと急いでるから。ごめ…。」
「少しくらい時間を取れるだろう?」
「う…。」
しぶしぶついてきている感じだ。また生徒会資料室に入る。
「前もこんなことがあったな。」
椅子を出して桜を座らせる。
「うん…。」
「最近なんかおかしいぞ?何があった?」
「別におかしくなんかないよ?」
もう一つ椅子を出して、桜の隣に座る。
「俺が何か怒らせるようなことをしたか?」
「ううん、何にもないんだったら。」
「じゃあ、どうして?俺のこと、避けてないか?」
「そんなことないよ。」
「顔色も良くないし、最近、笑ってるところを見てない。」
「ちょっと忙しいから、余裕ないんだ。あはは。」
「…俺が何もわからないと思ってるのか?」
問い詰められて、とうとううつむいてしまった。君にこんな顔させたい訳じゃない。
「…。」
「…君が弱音を吐けないほど、俺は頼りにならないのか?」
「そんなこと…。私、薫君の足手まといになりたくないから。」
「足手まといってなんだ?俺、桜のこと、そんな風に思ったことないぞ!」
「だって、そうじゃない。薫君、いつも一生懸命勉強も生徒会も頑張ってるのに、私が邪魔しちゃってるもん。薫君の仕事手伝って、ちょっとでも楽してもらえたらって思って、でも結局邪魔してばかり。その上に…。」
「その上??」
「な、なんでもない。」
「桜…。君は…他の男には相談できて、俺には相談できないのか?」
「え?」
「綾川。食堂の裏から出てきただろう?」
「あ、あぁ…。見られてたんだ。」
「たまたま、だがな。で?やっぱり、俺には言えない?」
コクンとうなづく。
「ごめんね。これは私の問題だから。綾川君にも相談なんてしてないんだよ?」
「桜…。」
「大丈夫、心配しないで。平気だから。」
桜が椅子から立ち上がって鞄を持って部屋から出て行ってしまった。


◇◆◇


やっぱり薫君には言えないよ。
頼りにならないなんて思ってない。だけど、こんなつまらないことで悩ませたくない。
資料室を飛び出して、階段を下り始めたところで、例の先輩達と鉢合わせした。
「あんた、まだ懲りないの?」
「なんのことですか?」
前は二人だったのに、人数増えてるじゃない。今度は五人か、暇なんだから。
「まだ生徒会室に入り浸って、痛い目見ないとわかんないの?」
「忘れ物取りに来ただけです。もう帰りますから。そこ通してください。」
「生意気言うじゃない?」
「そっちこそ、頭数揃えないと来れないの?…いいや、退かないんなら向こうから行けばいいし。」
面倒なので、下りた階段をまた上ろうとする。
「ちょっと待ちなさいよ!」
後ろから鞄を持つ腕を引っ張られた。
「ちょっ、危ないじゃない!離してよ!」
もう片方の手で手すりにつかまった。
どうしよう、変に振り払って相手が落ちても困るし…。

「桜!」
騒ぎに気付いた薫君がやってきた。
「君達、何をしているんだ!」
「!!」
彼が現れて、しまったと思う。場所が近すぎて面倒に巻き込んでしまった。
「か、会長!」
怒鳴られた相手が驚いて私の腕を離す。
「谷本、これはどういうことだ?」
「す、すみません。ちょっとふざけてました。」
薫君、上から見下ろす眼鏡の奥が眼光鋭くて怖い。静かだけど物凄く怒ってる。
「ほんとうに??」
嘘なんて言わせてくれない怖さ。
「う…。」
目を逸らしたいけど、逸らすのも怖い。
「君達、そうなのか?」
「は、はい。谷本さんが…。」
「何人かは知っているが…君達のクラスと名前を念のために聞いておこうか?」
「え…と…。」
「言えないのか?何かやましいことでも?」
「いえ。…2-Dの山崎です。」
「次は?」
「2-Cの橘です。」「2-Cの坂本です。」「3-Aの足立です。」「3-Aの矢島です。」
「ほう、三年生まで。この前、昼休みに来ていた人ですね。受験は終わりましたか?
それに二年生…、みんな新聞部員だったな?…来年度のクラブ予算、縮小予定なんだが…候補にさせてもらおうか。」
「!!」
…薫君、脅し方が、半端なく汚い。こわっ。
「次、またふざけたりしたら今度はどうなるか、覚悟してください。」
「す、すみません!」
「ちなみに、谷本は俺の命で生徒会室に来ていますから。役員達も了承済みですよ。…では皆さん、失礼。」
彼が踵を返したところで、みんなすごすごと階段を下りていく。私だけ放心状態。
「谷本、行くぞ。」
彼に呼ばれて、ハッと正気に返る。彼を追いかけて階段を上った。


◇◆◇


桜を連れて、また生徒会資料室に戻る。
「で?なんだったんだ?さっきのは。」
「あ、ありがとう。薫君…。」
「で?」
「いや、ほんと、ふざけてただけなんだって。」
視線を泳がせて言っても説得力のかけらもない。
桜、本気で俺を怒らせたいのか?既に七割のレベルで頭に来てるが。
「そんな文句が通用すると思っているのか?この俺に。」
壁際に立つ桜の目の前に立つ。
「あの、その…、えっと…。」
まだ言わないか。往生際の悪い。君もなかなか頑固だな。
…一度本気で怒ってみようか?
「桜、答えろ。さっきのはなんだったんだ?」
「だ、だから、なんでもない…!!」
「…あのなぁ。いい加減にしないか!」
ダン!と音を立てて、彼女の顔のすぐ脇の壁に手を突く。
彼女がビクッと震えて目を瞑った。
彼女にキスする。そして耳元で囁く。
「会長命令だ…。」

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彼女が俺の胸に寄りかかる。
「かおるくん、ずるい…。」
「ずるくて結構。さ、話してもらおうか。」
「…できれば言いたくなかったんだけど…。」
そう言って、彼女は俺の腕の中でポツポツ話し始めた。
「ふむ。」
「クリスマスパーティでね、さっきの人たち、薫君と一緒に居るのを見てたらしくて、嫉妬されちゃって…。」
「ほう。」
「生徒会室に入り浸って、薫君を手玉に取ったんだろうって。」
「ふふ、あながち間違いではないが。」
「もう、笑い事じゃないって。」
「すまない。」
「で、机に針仕込まれてたり、物が壊されたり、失くなったり、嫌がらせをされて。」
「そんなことが?いつから?」
「新学期が始まって翌日からだから…、先週水曜かな?」
「おい、週を跨いでるそ!なんでずっと黙ってたんだ!?」
「だって、心配掛けたくなかったし、こんなの慣れっこだから。まだ四日だし、すぐに収まると思ったの。」
「君ってヤツは…。」
彼女が俺の胸から離れて、拳を握る。
「イザとなったら喧嘩上等!って思ってたんだけど、階段だったから…。」
「君が?喧嘩上等?」
思わず笑いそうになる。
「あ、ナメてる?本場仕込みの関西弁だよ?」
「はは、そうか。それは迫力ありそうだな。」
「うーん、でも、薫君の迫力には負けるかも。脅し方が汚い!」
「あぁ、なんとでも言ってくれ。職権は使えるだけ使ってやる。その分の仕事はしているつもりだし。足りなかったらその分の責任はきちんと取ってやる。」
「あの人たち、もう来ないかな?」
「俺がいるから安心していい。また助けてやる。」
「職権、乱用すると、信用なくすよ?」
「少しくらい大丈夫だ。」
ドアに向かって歩く。
「さて、今日は切り上げて帰ろうかな。君を家まで送ろう。」

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1.出会い
<30.深まる誤解 32.カカオに罪はない>
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2010/9/15  22:36 | 投稿者: おるん

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◇◆◇30.深まる誤解


放課後、急いで昇降口に行って、靴箱を開ける。
「あ、しまった。」
やられた。
机ばかりだと思って、ここは注意してなかった。
革靴隠されちゃった。多分、近くのゴミ箱か焼却炉だな。…池というパターンもあるけど、考えたくないなぁ…。
ちょっと探して見つからなければ上履きで帰っちゃえ。
あっちへうろうろ。こっちへうろうろ。探しても見つからない。
焼却炉に向かう途中の体育館裏で綾川君に出会う。
「よぉ、桜。どーした?」
「ん?別に何もないよ?」
「何もなくてこんなとこ一人でトボトボ歩かねぇよ。」
「そっちこそこんなところで何してるの?」
「一服。表立って吸えねぇだろうが。」
「そりゃそうだね。体に悪いよ。」
「で、お前は?」
「んー。ちょっと探し物をね。」
「こんなとこで?」
「ここじゃなくて、もうちょっと向こうに用事があるんだけど。」
「向こうって、焼却炉しかないぜ?」
「うん。」
「おい、なんか変だぞ?お前?」
「そうでもないよ。」
「ほら、なんかあるなら言ってみ?」
彼は煙草の火を消し、通り過ぎようとする私についてくる。
「なんにもないって。」
結局、焼却炉にまでついてきた。
案の定、ゴミの山の上に私の靴があった。幸い、汚れても痛んでもいなさそう。
「あ。お前、いじめられてんの?」
彼が山の上から靴をヒョイっと取ってくれた。
「あ、ありがと。」
靴を履き替えながら言う。
「やっぱり、これってイジメかな?はは。」
「お前なぁ、笑い事じゃねぇぞ?」
「仕方ないよ。私、性格悪いんだもん。きっと生意気なんだよね。」
履き替え終わって校門に向かって歩き出す。彼もそれについてくる。
「で、相手誰なんだよ?」
「わかんないよ。わかってても何もしないけど。」
「俺が締めてやる。」
「やめてよ。余計訳わかんなくなるって。…そもそも綾川君だってファンが多いんだから、その人たちまで敵に回したら、私もう学校に来れないよ。」
「なんだ?じゃあ草間の?」
「わ、わかんないけど、多分。」
「じゃあ、草間に締めてもらえば?」
「ダメだって。迷惑掛けちゃうもん。」
「言ってねぇの?」
「言えないよ。心配掛けたくない。」
「まだ、付き合ってねぇの?」
「う…、つ、付き合ってるけど…。」
「なんだ、やっぱり付き合ってんのか…。ちぇっ。」
「残念だった?」
「あぁ、残念。…だったら余計、草間に言った方がいいんじゃねぇの?」
「…うん…。でもこんなことで彼の手を煩わせたくないの。私がちょっと我慢すれば、じきに収まると思うし。」
「そんなもんなのかねぇ?」
「わかんないけど…。私、薫君に迷惑掛けてばかりで。これ以上彼の重荷になりたくない。」
「アイツのためにこんな事言うの嫌だけど、彼女が自分に相談してくれないって傷付くと思うぜ?」
「そうなのかな…。でも、言えないよ…。」
「…。ま、愚痴ってスッキリするくらいなら、俺でもいいぜ。」
「あはは、大丈夫。ありがと。もしホントに辛くなったら彼に相談するね。じゃあね!」
食堂の脇で彼と別れる。上履きを鞄に入れて、走って学校を出た。


◇◆◇


翌週、アリサと一緒に登校してきた私を見て、ヒトミが気付く。
「サクラ、なんか荷物多くない?」
「え?そうかな?あはは…。」
「もしかして、なんかされてるんじゃない?」
「あぁ、まぁね。学校に置いとくと失くなっちゃいそうなんだよね。」
「先輩達かな?」
「うーん、わかんないけど、多分そう。仕方ないから予防策でね。」
「なんとかならないかな…。三年の人、…結城さんとかに相談してみるとか。」
「ううん、大丈夫。平気だからね。」
そう言ったものの、平気な訳ない。
授業中はいい。特に何もないから。怖いのは移動教室の時とか、休み時間。
廊下歩いてる時とか、席を立った後に戻ってきた時が物凄く怖い。
最初に呼び出されてから登校してる日は今日で四日。確実にエスカレートしてきた。
緊張状態が続いて、流石にへたってきた。
来るなら直接来ればいいのに。受けて立ってやるのに。


◇◆◇


桜のヤツ、なんか余所余所しい。

先週金曜日の放課後、生徒会室のゴミが溜まっていたので、ゴミ捨てに行った。途中で綾川と一緒に居る桜を見た。
何を話しているかわからなかったが、楽しそうな話ではないのは確かだった。
桜が手に鞄と上履きを持っていて、うつむき加減になにやら話していた。綾川は手を頭の後ろで組んで、こちらも心配そうな顔で桜に話しかけているようだった。
何か相談事??綾川にはできて、俺にはできないことなのか?
二人とも俺には気付かなかった。
他愛のない話だったのかもしれないが、やはり、他の男と二人で居るというのは気になるものだ。

今日も廊下ですれ違っても俺を見ようとしない。
土日もメールはいつもどおりだったのに。
俺がまた君を怒らせるようなことをしたんだろうか?心当たりがないのだが。
何か悩みがあるなら、俺を頼って欲しいのに。言っただろう?君を守りたいって。

今日こそ捕まえて問いただしてやる。

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1.出会い
<29.スキャンダル 31.なじる会長>
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