昨年10月末から吉祥天(きっしょうてん)立像(りゅうぞう)の制作に取り組んできました。
彫刻教室が中止になって、手持ち無沙汰になり、あり合わせの材料で彫れるものとして選びました。
それから3か月余りで、ほぼ完成しました。
以前報告したように、私たちの彫刻作品展に同じ題材が出品されていました。
それと比較すると、残念ながら、完成度がかなり低いと言わざるを得ません。
しかし、現在の私の技量では、直しようがありません。
こんな具合です。
たまたま当てた照明の効果ですが、周囲にオーラを放っているように見えるのが、ご愛敬です。
本体は、中津川市で安く買ってきた東濃ヒノキ。
台座や光背は、師匠のゴミ箱からあさってきた木曽ヒノキ。
決して東濃ヒノキが劣っていると言いたいのではありません。
師匠の木曽ヒノキは天然物で木目が細かくて目立ちません。
東濃ヒノキは植林されたもので、木目が目立ちます。
そこで、次の作品は、師匠に天然木曽ヒノキ材を調達してもらいました。
大まかな形を切り出す「木取り(きどり)」までやっていただきました。
さあ、この材料からどんな仏像になるでしょう?
答えは、毘沙門天(びしゃもんてん)立像です。
毘沙門天は、別名を多聞天(たもんてん)といいます。
四天王の一員としては、多聞天と称されます。
単独の場合、あるいは七福神の一員としては毘沙門天と呼ばれます。
ゲームのキャラクターにもなっているそうです。
古来、「武神」として、たいへん人気のある神様です。
上杉謙信は、自らを毘沙門天の生まれ変わりだと信じていたといわれます。
大河ドラマでも「毘」1文字を軍旗にしていましたね。
彫刻の教科書では、岩座に立つ姿になっています。
しかし、それでは物足りません。
やはり、邪鬼を踏んづける姿にしたと思います。
実は、師匠は、現在、神奈川県のお寺に納める四天王像を制作中です。
等身大より大きなものです。
そのなかの多聞天は、真っ先に形ができてきています。
それをお手本に彫り進めたいと思います。