新聞の書評欄で見つけた本、小林武彦「生物はなぜ死ぬのか」(講談社現代新書)を読みました。
最近、NHKでも取り上げられていました。
今、話題の名著といったところでしょう。
初版第1刷は2021年4月20日ですが、私がアマゾンで購入したのは7月29日の第8刷の本です。
売れていますね。
ちなみにアマゾンでは、563件ものレビューが寄せられています。
本を覆う幅広の帯(ほとんどカバーと言った方がいい)には、「最先端サイエンスの果てに見えたのは現代人を救う“新たな死生観”だった」とあります。
まるでこの本が新宗教の経典にでもなりそうなキャッチコピーですが、あくまで生物学の基本や最新知見を一般大衆に伝える読み物です。
高校の生物で習ったDNAとRNA、染色体、リボソーム(リボゾームと記憶していました)などについてのおさらいもあります。
私は受験科目にしなかったこともあり、まさにうろ覚えでしたが、懐かしい。
高校1年生のときの生物の先生が担任で、とてもいい人でした。
もっと生物を勉強すればよかったなあ、なんて思い出しながら読みました。
この本で何度も出てくるフレーズが「変化と選択」です。
生物は、「変化(変異)」によって多様性が生まれ、「選択」によって生き残り、その繰り返しによって進化してきたのです。
「絶滅」もまた、進化の原動力だとします。
なお、地球上では過去5回の大絶滅が生じ、現在も大量絶滅時代に突入しているのだそうです。
著者は、「隕石の落下級以上のダメージを人間が地球に与えているのです」と述べています。
加害者である人間も無傷ではいられません。
「私は、何も対策を取らなければ、残念ですが日本などの先進国の人口減少が引き金となり、人類は今から100年ももたないと思っています。」
と、この本の主題からは少し逸れている記述ですが、同感します。
進化の本質は多様性の実現であり、そのために生物は死ななければいけない。
ということかな、と思いますが、そう言われても納得しませんよね。
興味がありましたら、この本を読んでみてください。
ただ、たいへん優しい語り口ですが、門外漢がすらすら読めるほど易しい内容ではありません。