息子が大学生だったころ、通学用に中古のバイクを買いました。
私は、二輪車に興味はありませんが、一応どんなバイクなのか訊きました。
そしたら、スーパーカブだというのです。
それを聞いて、「そば屋の出前か!?」
と、馬鹿にしたように言ってしまいました。
今では、反省しています。
スーパーカブは、世界で1億台も売り上げた名車なのです。
ということを知ったのが、この本。
中部博(なかべひろし)「スーパーカブは、なぜ売れる」(集英社インターナショナル)です。
スーパーカブは、ホンダを代表するブランドのひとつです。
敗戦後の日本で、創業社長である本田宗一郎氏が庶民のモビリティ(移動手段)として開発しました。
そして、創業の相棒・藤澤武夫氏がビジネスモデルを確立しました。
60年間で生産累計1億台に達したのですが、その多くは、日本製ではありません。
どんどん海外に生産拠点を作っていったからです。
そして、スーパーカブは現地化していきました。
現地化しないと売れなかったのです。
アメリカ、ヨーロッパ、東南アジア、中南米、中国、とそれぞれの消費者の好み、ニーズを探求し、スーパーカブは大胆に変身していきました。
そうなると、どれがスーパーカブシリーズの範ちゅうの機種で、どれが別種なのかあいまいになりそうです。
しかし、そんなことより重要なのは、消費者が魅力を感じて買ってくれることです。
本書は、たいへんな力作です。
ノンフィクションライターの中部氏もまた、スーパーカブに惚れ込み、25年をかけて世界をめぐり、スーパーカブが乗られ、作られている現場を取材しました。
これから、電動のスーパーカブが新聞配達に使われるようになるのでしょうね。