昨日、モレラ岐阜のTOHOシネマズで、映画「ハクソー・リッジ」を観ました。
ネットで調べて選んだ作品ですが、7月20日に公開を打ち切るそうです。
見つけられてラッキーでした。
シアター入口のポスターには、「世界一の臆病者が、英雄になった理由とは」とありますが、なんでこんなコピーなのでしょう?
見終わってからは、違和感をおぼえます。
この映画は、「実話に基づいた」ストーリーなどではありません。
最初に「これは真実の話である」というコメントが映されます。
第二次世界大戦中のアメリカ・ヴァージニア州。
主人公の青年デズモンド・ドスは、陸軍に志願します。
彼は、まわりのマッチョらと比べると、やせっぽちのヘナチョコに見えましたが、過酷な訓練では、けっこう身体能力が高いことが示されました。
ところが、彼は、キリスト教の教えを厳格に守るため、銃を持つことを拒否します。
彼は、傷病兵を助ける衛生兵になることを希望していたのです。
しかし、上官らや同僚らからは受け入れられず、ひどいイジメを受けます。
辞めることはできたのです。
上官らからは、除隊するようになんども言われますが、デスモンドは拒否します。
銃を持てという命令にしたがわないため、とうとう軍法会議にかけられてしまいます。
そこで、「良心的兵役拒否者」は銃を持たなくてもいいという軍の方針が示され、無罪となります。
さすが人権の国ですね。
その後、デスモンドらの師団が派遣されたのが、沖縄のハクソー・リッジ(日本名・高田高地)という激戦地。
崖の上には平原が広がり、地下トンネルやトーチカに日本軍がひそんでいます。
いくら海上から艦砲射撃をしかけ、崖を登ったアメリカ兵が機関銃や火炎放射器を使って戦っても、やっつけることはできなかった日本軍陣地です。
そこで、凄惨な白兵戦が展開されます。
これは、すごい映像です。
脚が吹っ飛び、内蔵が飛び出し、見るに堪えない観客も多いかと思います。
私は、正視できましたが。
とうとうアメリカ軍は崖を下って退却します。
しかし、デズモンドは独りそこに残り、自分では逃げられないケガ人を救出し続けます。
日本兵をも救おうとしました。
彼が救ったアメリカ兵は、75人。
そのなかには、彼を認めなかった上官もいました。
その功により、良心的兵役拒否者として、初の名誉勲章を受けることになります。
生前の本人のインタビュー映像も流れます。
以前、「アメリカン・スナイパー」という別の英雄を描いた映画を観ました。
そのときも感じたのですが、アメリカという国は、いろいろと国際的に問題を引き起こす国ではありますが、本当に懐の深い国ですね。
こういう英雄が現れ、こういう映画を作ってしまうのですから。
私は見たことありませんが、予告編では沖縄が舞台であることが示されず、日本兵が映されなかったそうです。
沖縄県民の感情を考慮したのだとか。
ネットのレビューでは、日本兵の描き方を批判する向きもあるようです。
しかし、かなりフェアに描いていたと思います。
どちらの兵隊も勇敢に、精一杯戦っていました。
司令官の割腹自殺のシーンまでありました。
卑怯な手口と言われる戦法もなかったわけではありませんが、子供を自爆テロに使うような現代の戦いとは比べものにはなりません。
ただ、日本兵が皆、体格が良すぎたと思います。
たしかにアジア人の顔をし、日本軍の制服を着ていますが、アメリカ兵と遜色のない体格です。
食べ物に不自由し、痩せて小柄な兵隊たちではありませんでした。
撮影されたオーストラリアで、そんなエキストラは集められなかったでしょうね。
私の評価は、☆☆☆☆☆です。
そういえば、今朝の岐阜新聞に、富士山で米兵が登山者を救助したという記事が載っていました。
着ていたTシャツと金剛杖で担架を作り、被災者を乗せ、7合目から6合目まで駆け下りたようです。
彼らが衛生兵かどうか記事からは不明ですが、デズモンドの後輩たちですね。
