孫崎享「不愉快な現実 中国の大国化、米国の戦略転換」(講談社現代新書)を読みました。
著者は、外務省を経て、防衛大学教授を務めた論客です。
通常のマスコミで流れる報道とはまるで違う情報、論点を提示してくれます。
「戦後史の正体1945−2012」(創元社)では、米国の陰謀を暴いてくれました。
今回のこの本、読むと本当に不愉快になります。
たとえば、「第5章 日本には中国との紛争を軍事的に解決する手段はない」では、「自衛隊独自では中国軍に対抗できない/中国が尖閣諸島を占拠しても、米軍は出てこない/中国の核兵器に対し米国の「核の傘」はない/尖閣諸島の「棚上げ」と日本の国益」といった節が並びます。
こんな指摘があります。
今日、日本では「他者への関心」が極端に低い。日本の新聞の国際面の記事がいかに少ないか。一流紙と自称する新聞でせいぜい一面か二面である。世界の一流紙の国際面と比較すれば、「日本の報道がいかに貧弱か」がわかる。
私は、前職で海外出張した際には、ホテルのテレビでCNNニュースを流しっぱなしにしていました。
実に国際ニュースが多いことに気がつきました。
それに比べて、わが国のニュース番組では海外のニュースはわずかです。
もちろん今では、衛星放送で海外ニュースを見ることができますが。
著者は、「領土問題の解決の第一歩は相手の主張を知ることである」と述べています。
尖閣についての中国の主張、竹島についての韓国の主張など、ほとんど報道されていないように思います。
(中国や韓国で日本の主張が報道されているかどうかは知りませんが、わが国は民主主義の先進国のはずです。)
この本では、彼らの主張を紹介しています。
不愉快であっても、現実を直視しなければいけないのは確かだと思いました。
