昨夜、岐阜県中小企業家同友会の西濃地区例会が開催されました。
未来工業社長の山田雅裕氏の経営報告を聞きました。
山田雅裕氏は、創業者で現・相談役の山田昭男氏のご子息です。
昭男氏が社長を退任された後の3人目の社長として、雅裕氏が、昨年6月に就任しました。
それから、まだ1年経っていません。
未来工業の社長として報告することは無理だと、前職の子会社での体験をお話いただきました。
その子会社は、神保(じんぼ)電気といい、スイッチやコンセントを製造しています。
実は、未来工業よりずっと歴史のある会社です。
しかし、いいモノを作るのですが、納期遅れが当たり前という信じられない社風でした。
当然、評判は悪く、赤字続きで、取締役会の席上、昭男氏からは、「おい、ビンボーデンキ」と呼ばれたそうです。
そこで雅裕氏は、5年間社長を務めました。
その間、リーマンショックがあり、東日本大震災がありました。
そういうピンチを乗り越えながら、会社の体質が変わりました。
東日本大震災後の仮設住宅には、大量の商品を納期に遅れずに完納しました。
被災者の現状と製品の必要性を伝え、励ましただけだったそうです。
神保電気の業績は見事に回復し、晴れて親会社の社長として迎えられたわけです。
私が、同友会に入会して間もない頃、神保電気の人の報告を聞き、たいへん驚いたことがあります。
神保電気は、社員たちがダメな経営者を追い出し、未来工業に買ってくれるよう頼んだというのです。
一種のクーデターですよね。
(会社は誰のモノだろう?)と、疑問に思ったのをおぼえています。
しかし、神保電気の業績が当時から振るわなかったのは、経営者が悪かっただけではなかったようです。
社員さんたちの考え方、会社の風土がおかしくなっていたのではないでしょうか。
もちろん、その責任も経営者にあるわけですが。
あのカリスマ経営者の息子さんですから、相当のプレッシャーを受けてきたのではないでしょうか?
で、その後の懇親会で尋ねたら、
「もう50歳ですから、そんなことは感じなくなりました。」
と言われました。
たいへん謙虚で正直な方でした。
