JTBパブリッシングという出版社からタイトルの「幻の国鉄車両」という本が出ていたので思わず購入しました。

「幻の・・・」とあるように、実際に具現化された車両はありませんが、戦前から国鉄末期までの間に計画策定された車両が計画図を元に紹介されています。
たとえば戦前に計画されていた「弾丸列車」。東京から下関まで広軌新線を作り、そこに専用の蒸気機関車、電気機関車けん引の列車を走らせる計画。今でいう新幹線です。機関車けん引というのがなんとも時勢を反映していますが、東海道新幹線の建設用地のほとんどがこのときに接収されたのは有名なお話です。
他にも直流急行型寝台電車とか横軽を自力走行できる特急形電車とか、趣味的には面白いけど、素人目にも費用対効果が薄い車両が掲載されています。
一方で「幻」と言いながらも、形を変えて具現化された車両もあります。昭和59年に「次世代新幹線」ということで個室、二階建て車両の構想があったそうです。これは後の100系新幹線で具現化されています。
また新幹線での貨物電車輸送の計画もあり、イラストを交えて紹介されています。新幹線ではありませんが、これはご存じM250系スーパーレールカーゴとなっており、先のイラストの車両もどことなくM250系に似ていたりしています。
他にもE231系近郊型シリーズなどは、その原型がなんと昭和36年に構想されていました。つまり4扉クロスシートの車両ですが、401系登場後、東海道東京口の111系投入前の比較検討資料だったようです。姿図はまるで101系そのままですが、室内はオールクロスシートで4扉。乗降混雑を考慮したようです。
見た感じピンと来ないものから、あったら面白いと思う車両まで、興味深く読むことができる一冊でした。

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