いつもは複数社から競作となった製品は、どちらか一方に絞るのですが、E231系常磐快速については珍しくT社K社の2本が揃いました。折角ですからちょっと比較して見ましょう。とはいっても専門家ではないので、あくまでも私見です。細かいツッコミはご容赦くださいませ(笑)実物写真がないので、模型だけでの比較です。
まずは1号車、クハE230。

手前側がKATO、奥がTOMIX。ちなみにマイクロ製のは持っていません。パッと見、どちらも違和感なく受け入れられると思います。最終的には好みの問題になるのでしょうか。ただ、パーツで見ていくと屋上機器の無線アンテナと信号炎管はKATOの方が若干デカ目。実物写真を見てみるとKATOの方がスケールに近いのでしょうか?
正面に回り込んで見ます。

スカートの形状の違いはインプレでもご紹介したとおり。最新の状態を再現したKATO、登場直後を再現したTOMIX。発売時期の違いもあるわけですから当然の結果です。このあたりは形態の違いを楽しめば良いと思います。あとは前面ガラスパーツの着色表現。TOMIXは透明ガラスパーツ無着色。後発の強みかKATOは行先表示部周りを黒、サンバイザーにクリアブルーを入れています。

全体的な塗装表現ですが、一目で違いがわかるのは床下機器。台車を含め、KATOはダークグレー系でTOMIXはライトグレー系。明るさがだいぶ違います。この辺も好みの問題でしょうか?肝心のボディーですが、銀色部分ではTOMIXの方がやや暗めに感じます。帯色はどちらも同じ程度。前面オオイのFRP部分では逆にTOMIXが明るい白に見えます。また前面帯についてはKATOの方はやや下地の白が透けてしまっているように感じられます。
さて、屋上機器を見ていきます。

まずはパンタグラフ部分ですが、床下同様、色の違いがパンタグラフにも現れています。ともに形状は良好でしっかりと開閉できます(爆)

でもちょっとしたところですが、配管の違いが見られます。「パンタ鍵外し」の配管らしいのですが、KATO製は直角に曲がっていますがTOMIX製は鋭角に曲がっているという違いがあります。雑誌記事によると実物どおりなのは、手前側KATO製品。奥のTOMIX製の配管は209系500番台などに見られる形状のようです。でもこんなの両社を比べてみて初めて判ることですから、気になるようでしたら配管ぐらい自分で治せば良いんじゃないかなって思います(←「配管ぐらい」って簡単に言うな!)
続いてクーラー。

側面枠がFRP製のAU726Aを搭載しています。網越しのファンまでもが表現されているのがKATO製。この辺はもう定番ですね。

10号車クハE231。KATO製の新スカート装備車は1号車と比べて切り欠きが大きくなっています。10号車側に付属編成を連結するため電気連結器が装備されており、その分だけ大きく切り欠かれていると言うわけです。またジャンパ連結器用の切り欠き蓋が向って左側にモールドされています。もちろん実車にもあるんですが、たぶん甲種回送時にでも使うものと思われます。一方TOMIX製の旧タイプスカートは電連のあるなしに関わらず、同一形態のスカートを装備しています。
さて、1号車のツラ位置を併せて10号車のケツを上から撮ってみました。

つまり編成長の比較です。TOMIX製はTNカプラー装備ですので、かなりリアルな連結面間隔でもって1cm弱KATOより短くなりました。
また、この上画像からお判りのように、無線アンテナと信号炎管の取り付け位置が若干違うことが判明しました。ただし残念ながら、決定的な資料が見当たらなかったので、このまま放置。「まあどっちでもいいじゃん」ってことで。
続きまして、付属編成11号車クハE230。

形式は1号車と同じですが、連結器が電連です。だからといって番台区分されているわけでもなく、基本編成の続番が振られています。ちなみにKATO製についてはスカートも電連対応となっています。ジャンパ連結器の切り欠き蓋は右側にあり、クハE231とは違うパーツが正しく使われています。
最後は付属編成の15号車クハE231。

形式、形態ともに10号車のE231と同じです。「15号車だから電連はいらないのでは?」と思いましたが、雑誌の記事を読んでみると、『付属編成2連の10両での運用もある』とのこと。基本編成検査時の代走としてなので、レアケースらしいですがそんな準備もされているようです。
さてこんな感じで2社競作のE231常磐快速を比較してきましたが、個人的感想では「どっちも良い」と言う結論(爆)コストパフォーマンスで考えると、KATO製のほうが2000円ほどリーズナブルです。加えてTN化だの側面シールだのとなればさらにKATOの圧勝です。TOMIXの利点は車番インレタですが、今やこれもトミーテックの通販で購入可能ですし、何よりTOMIX製は市場在庫が薄いので販売店で見つけるのも困難な状態。コスト面からも再販は期待薄なのかな・・・。
各メーカー間での競作はメリット、デメリットがあると思います。うまい具合に分配されて、多くの車両が製品化されるのもうれしいことですが、それで品質が落ちてしまえば本末転倒。当然ながら良いものが売れるわけですから、競作になるならば各メーカーさんには切磋琢磨して頑張って良いものを作ってもらいたいと思います。

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