Kさんの右手にはいつも
乾燥させた茶ガラを詰めた
手袋クッションが握られている。
これはKさんの奥さんがつくった
リハビリの品だ。
他にも柔らかなボールをダンベル状に
つなげたものや、天井から紐で吊るしたカスタネット、
ボタンでビニール玉が飛び出すおもちゃなど、
病室にはアイデアの宝庫である。
Kさんが脳梗塞で倒れて1年
寝たきりと宣告されて
一度は絶望の淵に立ったが、
そこから新しい人生を歩み始めたのである。
リハビリを重ねて左手が動くようになり、
ピアノも弾れるほどに回復した。
ベッドの横には聖林院の種銭が置いてある。
今、二人の目標はもう一度
みみづくさんにお参りすること…。
小さな奇跡が今日も起きいるのだ。
きっとお参りできるに違いない。
今日の一日(ひとひ)、
願いを込めて生きる・・・。
合掌

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