タンデムバイクのディスク化についてです。
古いタンデムロードバイクに、なんとかディスクブレーキを搭載したいという思いだけで、やってみました。
参考になれば幸いですが、強度的な問題とかもあると思いますので、まったく同じようにすればよいというわけでありません。その点は十分ご理解ください。
まずはホイール組みからです。
パーツ集めで一番苦労したのは、やはりロードバイクのリアエンド幅130mmに使える、ディスクブレーキ対応ハブの入手です。
有名どころではWhite Industryなどから発売されていますが、非常に高価です。また入手も困難な状況でした。この要素のため、二の足を踏んでいたわけです。
今回、検索に検索を重ねたところ、Novatec社のハブが見つかりました。前後セットでも手の届く価格なので、思い切って購入してみました。
リムは中古の29er対応リムを入手。スポークは寸法を測って調達しました。DTのチャンピオン(プレーンスポーク)#14を32本です。
スポーク本数は弟が長年タンデムバイクに乗っている経験を頼りにしました。「32Hでも、#14プレーンスポークでちゃんと組めば問題無い」ということだったので、36Hにせず32Hにしました。
次に課題だったのがこれ。ディスク台座です。後付けするとなると通常は溶接などをするか、ディスクマウントアダプターなどを介して取り付ける必要があります。たまたまebayでこんなものを見つけましたので、入手してみました。ちなみに、Made in USAのものです。(外見を真似ただけの中国製は曲がってしまうらしいです。)
前用、後ろ用といろいろな種類があります。ディスクブレーキを取り付けてみるとこんな感じです。
鉄板は1mmくらいあり、結構厚いです。
販売元のサンプル写真ではエンドの内側に取り付けてあったので、ハブの加工が必要なのかと心配しました。(購入する際もそれが気になった点でした。)
実際、取り付ける場合に本当にエンドの内側に取り付けなければならないのか、位置関係を確認してみたところ、どうもエンドの外側でよいみたいです。(適当だなぁ)
このバーツは10mmスルーアクスルでも通せるようです。今後いろいろな状況での取り付けを考えると、助かります。
このパーツをフレームに取り付けるためのブラケットは、部品として付属するのですが、タンデムロードのシートステイのパイプ太さとまったく合わなかったので、ブラケットを自作することにしました。写真の部品は、ベルかリフレクターの取り付け部品かなんかを加工して作りました。それと、台座がフレームにあたる部分は、応力が集中して座屈する可能性があるので、パイプに補強を巻くことにしました。気休めかもしれませんが、肉厚1.0mmのステンレスパイプを切って当てました。フレームのパイプはおそらく肉厚0.8mmとか0.9mmとかだと思うので、けっこういい補強になっていると思います。また半円形をしているので座屈には強いのではないかと期待するのです。

(ホイールが反対向きに取り付けてありますが、気にしないでください(笑))
ホイールを組み上げて取り付けてみたところ、160mm径のディスクローターは取り付けできないことがわかりました。そこで140mm径のディスクローターを調達しました。
仮組みするとこんな感じです。なんとか収まってくれるようです。
さて、ここまで来たのでリアブレーキの制動力や制動時の挙動についてテストしたいところですが、実はフロントフォークは別のバイクに搭載するため外してしまってあり、走れません。そこで新たに組み立てる必要がありました。
このタンデムロードフレームは古いものなのでヘッドチューブ径は1インチJISです。1インチJISのディスクブレーキ対応フォークというのは絶滅種と言ってよく、まず手に入らないのですが、ごくごく廉価品ではあるものの、たまたま入手できました。
ところがこいつはねじ切りコラムなのです。
ヘッドセットはアヘッドタイプを調達してありました。ねじ切りのヘッドセットは締める際にヘッドスパナが必要ですし、個人的にあまり良い思い出が無いので使いたくありません。
ねじ切りのコラムにアヘッドのステムをつけてみたところ、固定する部分にねじ切りがあるので、やはり固定力が弱いです。基本的に周面摩擦で固定するものですから、ねじ切りがあっては固定力が確保できません。
さてどうするか。
a)パテなどでネジを埋めてしまう。
b)ねじ切りのヘッドセットを使う。
私としては、なかなか究極の選択でした。a)は、やってしまうと取り返しがつきません。考えに考えました。
考え付いたのが
c)アヘッドのヘッドセットをねじ切りナットで固定する。
です。これならばネジをつぶさずに使えますし、コラムを切る必要もありません。また、ヘッドスパナを使わずに締めることができますので、心配も減ります。
部品箱をいろいろと探して、1インチのねじ切りナットを2つ見つけてきました。あと手頃なスペーサーですね。なんとか形になりました。球あたりの調節もできるので、たぶん大丈夫かなと思います。
フロントフォークが付き、ようやく車体として走れそうになってきました。
あとはブレーキホースの長さ調整です。タンデムバイクは全長が長いので、後ろブレーキはワイヤーの長さが余分に必要になります。ディスク台座はフレーム後端にありますので、2m近く必要になりますが、切り売りのホースがありますので長さは自在です。便利ですね。
オリーブとインサートの規格が微妙に違うところをうまくクリアしつつ、組み立て、オイル充填をしました。ディスクブレーキの組み立ては結構好きです。
で、ようやく走れる形となりました。
140mmのディスクローターでも、クリアランスはわずか2mm程度です。エンド幅130mmでは、160mmのローターを使うのはかなり難しいのではないかと思います。細いクロモリパイプでコレですから、カーボンパイプなどではもっと厳しいのではないでしょうか。世の中の流れ的には、ディスクロードはMTBと同じくリアエンド135mm幅になっていますが、ディスク対応ハブの入手性と、ローターの許容サイズを考えると必然のように思えます。
走れる状態になったので、ひとまず町内をぐるりと走ってみました。おお、ちゃんと効きます。台座の固定もねじれたり曲がったりせず、良好です。なんとかいけそうです。
確認できたところで、最終局面になりました。台座の固定はパイプ部分での固定と、クイックシャフトでの固定の、2箇所で行っていますが、これではクイックシャフトをはずした際に台座が回転してずれてしまいます。
「やはり溶接だろうか」とか考えましたが、ほかに何か方法は無いものか。
近所のアストロパーツさんに行ってみたところ、エポキシ接着剤でなかなか強力そうなものを見つけました。こいつでなんとかできないでしょうか。
ネットで調べたところ、なかなか強力のようです。注意点はないか調べて、トライすることにしました。下地処理として、接着面をヤスリで磨き、地金を出します。
接着剤をチューブから出し、よく練り混ぜます。
接着剤をフレーム側、台座側の両方によく塗って、貼り付けます。完全固定まで24時間ということなので、それまでしっかり圧着するため、ボルトナットで固定しました。ボルトナットは一緒にくっつくと困るので、ピニールで覆ってあります。
気の早い私は、5時間経過した頃にチェックしてみました。まだ全体がペタペタして、布で擦るとガムのようにこそぎ取れます。ボルトナットを外してひねってみると、フレームから浮いてしまいますorz。
「これは失敗だったかな」ネットで調べると、練り混ぜが不十分だったり、2液の調合具合が悪いと固まりにくいようです。まあ、失敗したらまた削ってリトライです。
翌日。心配していた接着剤の硬化は、問題ありませんでした。しっかり固定され、ガシガシと硬い塊になっています。台座をひねっても、フレームから浮いてしまう気配もありません。バッチリです。
あとは滑らかに整形して、ちょっと塗装してやりますかね。これでディスク化は達成できたと思います。
後日、実走を重ねて動作チェックや安全性について確認したいと思います。