ぎゅーって  気のまま雑記

写楽をつれてスーパーマーケットに行った。
レジに並んでいると、私は後ろから突然つきとばされた。
なにごとかと思って振り向くと、10歳ぐらいの女の子が写楽をみつけて突進してきたのだった。
その子が、買い物用カートについている子供用椅子に座っていた写楽のところにかけよるため、私が邪魔だったのだろう。
だから私は突き飛ばされたのだ。
その女の子は、障害のある子のようだった。おそらくダウン症ではないかと思う。


その子は、写楽に向かって「何歳?かわいいね!ガールでしょ?」と息をつくひまもなく矢継ぎ早に話しかけ、驚いている写楽をぎゅーっと抱きしめた。
「よしよし、いい子だねー。ハグしてあげるからね。大丈夫よー。グッドガールねー。」と言いながら、ぎゅーっと抱きしめて離さない。
今度は、激しいほおずり。
そして、自分のおでこと写楽のおでこをコッツンとぶつけながら、「いい子ねー。かわいいねー」と繰り返す。
コッツンと書くとかわいいが、実際はゴンッゴンッである。その激しさは、そう、まるで頭突き。
まだ手加減を知らないのだ。激しい。
突然の抱擁にびっくりしただろうし、たぶん頭突きは痛かったと思うのだが、写楽はじっとされるがままになっていた。
そして次の瞬間、写楽も「ぎゅー」と言いながら、自分からその女の子の背中に手を回した。

スーパーマーケットのレジの前で、抱き合う写楽と女の子。
その瞬間、天井からさーっと二人に光があたったような気がした。


これは、二人の神様なのか?


この女の子は神様がつかわした人なのかもしれないと本気で思った。
神様のつかわした人同士が、今ここで交流していると思った。
その光景をみて、鼻の奥が痛くなった。
いかん、涙が出そう。ここはスーパーマーケットやぞ。


われにかえった私は、写楽と抱き合っている女の子の背中をトントンとゆっくりなで、「ありがとうね。小さい彼女をかわいがってくれて。おかあさんが心配しているから、もうおかあさんのところに行ったほうがいいよ。」と言った。


その子は、にーっと笑って、すんごい速さでぴゅーっとどっかに走っていった。


写楽に「よかったねー。おねえちゃん、ぎゅーってしてくれたねー」と言った。
写楽は「ぎゅーって。ぎゅーって。」と繰り返した。


きっとその子は、家でいつも抱きしめられているんだろうね。
「グッドガール」といわれながら、いつもいつもほおずりされて、おでこコッツンされて、抱きしめられているんだろう。
自分がいつもされているように、写楽にしたんだろうね、きっと。


愛されてるねんな。幸せな子やな。
自分がうけた愛情は、知らず知らずに、他の人に受け継がれる。

その女の子をいつも抱きしめてほおずりして「かわいいね。いい子やね。」と言っている彼女の親に会いたくなった。
きっと素敵な人に違いない。


愛されてる気持ち、充足感、いっぱいいっぱい味わえ。
それが大人になったとき、自信になる。強さになる。
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