部活改革 日曜オフ、年休あり 強豪 近大付高バスケ部「モーレツ」に一石
産経新聞 5/27(土) 14:41配信
過度な練習や指導する教員の負担が課題となっている運動部活動で、全国大会常連の近大付属高校(大阪府東大阪市)バスケットボール部が慣例に縛られない独自の制度を取り入れている。顧問の大森健史教諭(42)の発案で日曜日を休みにし、部員が自由に練習を休める年休を導入。「部活改革」はスポーツ庁も有識者による検討会議を29日に初開催する予定となっており、強豪クラブの取り組みが一石を投じそうだ。(大宮健司)
◆全国切符を確保
同部は過去5年で夏の全国高校総体と冬の全国高校選抜優勝大会に3回ずつ出場した大阪の強豪校。もともと文武両道の方針から練習時間は短く、月曜日を部活休みにしていたが、大森教諭は「月曜は登校日で、実際には休めない」と考えていた。
自身も校内で教員の仕事や責任が増大する立場となり「疲れやストレスで生産性が落ちている」と感じていたという。
平成27年冬に同部を初の全国選抜ベスト8に導いたことが、改革に踏みきったきっかけ。「結果を残した今しか変えられない」と、昨年から週末の練習試合は土曜日に組むようにし、日曜日は大会や遠征がない限りは完全オフに変更。居残り練習もやめ、部員を早い時間に帰宅させている。当初は「強くなるわけがない」といった批判的な声がほとんどだったというが、28年も夏冬の全国大会の切符は確保。すると、学内外から「日曜を休みにし、どう変わったの?」と関心を持たれるようになった。
◆休むのも自主性
もう一つの独自制度が年10日の年休だ。「クラブ休暇取得届」の用紙に理由を書いて3日前までに申請すれば、部員は自分の意思で練習を休むことができる。80人の大所帯ながら、レギュラーや補欠を問わず、等しく「休む権利」が与えられている。
取得理由は通院や休養などさまざま。2年の野崎海斗さん(16)は「テスト前の勉強のために使った」という。年休をすべて使い切る部員は今のところいないものの、大森教諭は「家族旅行に使ったっていい。休むのも自主性」と強調する。練習時間が短くなる分、3年の能登慎也さん(18)は「練習中のシュート一本一本を大事にしている」とメリハリを大事にしている。
◆先生もメリット
3年で主将の柳原捷壱(しょうい)さん(18)は「自分の計画が立てられるようになった」とメリットを話す。今春の卒業生の中には、年休をうまく使いながら冬の全国選抜まで部活を続けて受験勉強と両立させ、難関の国立大に現役合格した部員もいる。大森教諭自身も日曜日は休み、リフレッシュした頭で学校や部活のことを考えられるようになったという。
スポーツ庁の検討会議では、実態調査などを基に、指導の充実や適切な休養日の設定などを議論する。長時間にわたる部活が教員の働き方改革の課題になっているとの指摘もある中、大森教諭は「僕も含め、日曜日は部活をするのが当然という考え方にとらわれていた。高校生もスポーツ以外のいろんな世界を見て自主性を養うべきだと思う」と話している。

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