レバンガ北海道、闘病中の佐藤竜弥と1日限定契約
男子バスケットボールNBLのレバンガ北海道は20日、東海第四高時代にU−18日本代表を経験し、悪性リンパ腫で闘病中の佐藤竜弥(39)と1日限定で選手登録する契約を交わし、入団会見を行った。
佐藤は5月2日の三菱電機名古屋戦で憧れのマイケル・ジョーダンと同じ背番号23を付けてベンチ入りする予定。現在、札幌市内の中学校で教員をしており、「僕が教えてきた生徒やお世話になった方々に恩返しできれば」と力強く話した。
佐藤の日体大時代の友人が作った「佐藤竜弥を元気にする会」から病状を聞いた北海道の折茂武彦代表兼選手(45)らがNBLに事情を説明。NBLでは臨時理事会を経て入団を了承した。選手登録期限の2月26日を過ぎ、しかも上限12人のベンチ入りを13人にする異例の決定。折茂は「1日であったとしてもプロとして戦ったことが記録に残る。チームの一員として勝つことを目標に戦いたい」と話した。
190センチ、80キロ。高校卒業後は、日体大に進み4年連続でインカレで優勝している。治療の合間の参戦で体力が戻らないため、コートには立てない。ユニホームに袖を通した佐藤は「病気に打ち勝って、バスケットに関わっていくことができたらと思い挑戦しました。本当に感謝しています」と本番を心待ちにした。
入退院を繰り返し、闘病する姿を見た日体大の同期生・浦崎楽さん(38)らが「佐藤竜弥を元気にする会」を設立。会員は170人も集まり、佐藤さんの夢だったプロ選手としてコートに立つ希望をかなえようとレバンガに陳情。チームはNBLに入団を認めてもらうよう要請。熱意が通じ、リーグはシーズン終盤の登録とベンチ入り13人の特例を認めた。最終戦で右足故障からの復帰を予定する折茂武彦選手兼代表(45)は「佐藤さんの加入は、大きなエネルギー。一緒に道民へ勇気を与えたい」と話した。
会見場には沙織夫人(33)、長男・賢将君(7)、次男・聖将君(6)も同席。ミニバス選手の賢将君は「(父の)ユニホーム姿がカッコ良かった。僕も将来、プロ選手を目指したい」と目を輝かせた。多くの応援に感激した佐藤さんは「病気に打ち勝ち、またバスケットに携わり、生徒が待つ教壇にも戻り、応援に恩返しをしたい」と決意を新たにした。(小林 聖孝)
◆悪性リンパ腫 血液のがんの一つ。わきの下や首、太ももの付け根にあるリンパ節から全身に広がるリンパ組織内の細胞が悪性化していく病気。胃や大腸などの消化器官にしこりや潰瘍(かいよう)ができたり、肝臓や脾臓(ひぞう)など腹部の臓器や、気管や食道が腫れたりすることもある。現在は抗がん剤などが発達しており、快方に向かう人も多い。
◆佐藤 竜弥(さとう・りゅうや)1977年6月9日、江別市生まれ。38歳。大麻小5年からバスケットボールを始めた。大麻中から東海大四高に進み、全国高校総体、選抜で8強。家族は夫人と2男。190センチ、80キロ。血液型O。

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