”ギアナ高地”
カリブ海の風とアマゾンの風がぶつかり合うことによって発生する分厚い雲は、永年の間その姿を我々人類の目から遠ざけていた。
最後の秘境、
゛ギアナ高地゛。
大多数の人はギアナ高地と聞いてまず何が思い浮かぶだろうか?
私は゛エンジェルホール゛だった。
おそらく大多数の人がそうなのではないだろうか?
しかし、ギアナ高地の真髄は実はエンジェルホールではなく、ここにあると言っても過言ではないだろう。
「ロライマ山」
知る人ぞしる最後の秘境だ。
聞いたことも見たこともない人が多いのではないだろうか。
もちろん私もだった。
だが、知る人は知っている。
そこが如何に謎に満ちた、mysticな聖地なのかを…。
20億年前の姿を、今なお留める、「ロライマ山」。
話は2億年以上前に遡る。
昔、世界は一つの大きな大陸だった。
”ゴンドワナ大陸”だ。
しかし、約2億5千年前に大陸分裂が始まる。
(そう考えるだけで20億年が気が遠くなるくらい昔だということが実感出来るだろう。)
分裂した大陸は何度も気候変化の影響を受け、それぞれ独自の文化、生命体が誕生した。
しかし分裂の際、回転軸の地点となったロライマ山は、他の大陸のように気候変化を受ける事なく、ゴンドワナ時代の姿を今なお留める、世界でも類を見ない大地となった。
アフリカとロライマ山にしか生息しない蛙。世界が一つだった証拠ですね。
それだけではない。
地上標高差1000m。
断崖絶壁の完璧なるテーブルマウンテンは、永年の間人類からの干渉も防いだ。
まさに大地に浮かぶ孤島。
正真正銘、20億年前の姿を留める
”最後の秘境”なのだ。
頂上面積280平方キロメートル、東京ドーム約6000個分の面積。
ベネズエラ、ブラジル、ガイアナの3つの国境上にあるロライマ山。
登るためにはまず基本はツアーに参加する。
そこでポーター(荷物を運んでくれる人)や食料を手配や自分で準備していよいよ出発だ。
段々歩いて行くにつれ、断崖絶壁のロライマ山の全容が明らかになってくる。
それ以外に特にギアナ高地という気がしないのだが、よく見ると確かに世界中に分布しているマメ科、キク科の姿はなく、ガクが発達したパイナップル科の原子植物の姿が目立つ。
この植物達こそ、ここの植物が他の種と交わらず時を刻んだ証しである。
ロライマに生息する4000種の植物の内、75%が固有種である。
食虫植物も生息しているが、残念ながら今回はその姿を確認することは出来なかった。
こんな河も渡ります。
2日間、ひたすらテーブルマウンテンを登れる入り口まで登り続ける。
そしてそれはやつら、”プリプリ”との戦いでもある。
ギャグじゃないよ。
プリプリと言う名前なの。
刺されると、かゆくてかゆくて仕方がなくなる恐怖の虫、プリプリ。
その痒さ、小ささゆえ、ロンプラではinvisible bugと表記されてた。
さすがに目には見えるが、そう言いたくなるのもうなずける程、やつらは巧妙に私達を狙ってくる。
3日目。
いよいよ登頂を目指して断崖絶壁をよじ登る。
ジャングル探検隊のように熱帯の密林の中を草木を掻き分け、ふさふさした苔を踏み締めながらながら登って行く。
落ちたらただではすまなさそうな崖をなんとかよじ登り、川を渡りしばらくすると、そこには圧倒的なまでの断崖絶壁がそびえ立つ。
こんなに垂直な崖を登ることが出来るのか、一抹の不安を抱えながら更に上へと進んで行く。
岩をよじ登り、崖を飛び越え、遥か上空から流れ落ちる滝の裏を(というより中を?)びしょ濡れになってのぼり、やっと頂上だ!!
頂上での神秘的な景色。
頂上からの景色。
次の日は三国国境が交ざり合う3ポイントまで何とも言えない不思議な景色の中をトレッキング。
ブラジル、ガイアナ、ベネズエラの三国ボーダー地点。
霧も出てるし、迷ったら死ぬね、あれ。
はい、チーズ。
5日目はクリスタルロードやクリスタルリバーを見て下山。
そう、あの宝石のクリスタルだ。
そこに沈んでるのも全部クリスタル。
クリスタルロード。
前日見たクリスタルヒルも本当に純粋にクリスタルだけで出来た丘でびっくりしたが、ここも本当に美しい!
この白く見えるのは全部クリスタル。
道には無数のクリスタルが散らばり、風化によって出来た池や川底にもたくさんのクリスタルが散布している。
もちろん、全部が透明度の高い上等なクリスタルではないが、天然のクリスタルがそこら中に散らばっているのである。
20億年もの歴史とその姿は圧巻だ。
いきなり現れる大きな穴。下には水があり、地下通路のようなものが走りめぐっているとの噂。
まさに”ファイナルファンタジー”、”ドラクエ”の世界!!
男の子は女の子より感激が大きいかもしれないね。
岩と岩の間を進んでいきます。
そして下山。
これがしこたまきつい。
はっきり言って、もう二度と登らないと思った。
今もその気持ちは変わらない。
けど、行って本当によかった。
ロライマ山に登った大多数の人が南米1だと行っていたが、私もそう思う。
貴重な体験をさせてもらったと思う。
これは実際に登ってみないと、私の口から全ての魅力は語り尽くせない。
そして写真じゃ全然魅力を伝えきれない。
奇形の岩たち。ずっとこんな世界が広がっています。
時間がある人もそうじゃない人も、お金がある人もない人も、人生で一度っきりでいい。
最後の秘境、ロライマ山にぜひ一度挑戦してもらいたい。
こんな断崖絶壁を登ったなんて未だに信じられません。
追記:これを読んで登りたくなった女の子たちへ。
いや〜、まじでよかったよ、ロライマ山☆
けどきつい!はっきり言って。
最初から最後まで自分のペースで登れたらいいんだろうけど、大半の人がツアーに参加すると思うのね。
そうするとなかなかきついっす。
まず男の子と女の子の体力と身体能力の差が結構あらわれる。
同じ距離を進むにも、男の子がひょいっと飛び越えるところを女の子は意を決して飛ぶか、一度谷間に降りてまた登らなきゃならない。
男の子が楽々と岩に登るところを、女の子は全身を使ってよじ登らなければならない。
みんな気を使ってゆっくり歩いてくれるかもしれないけど、男の子の半分の力も使わない所やスピードは、ここでは女の子の全力にあたります。
遅れないことに必死になって景色を楽しむ余裕もないかもしれません。
またこういった自然保護地区でよくあるのが、トイレの大が出来ない。
っていうか、持って帰れば問題はないらしいんだけどね。
でもまあこれは我慢出来るとしても、私が一番困ったのがトイレをする場所!
男の子はそこらへんですればいいんだろうけど、特に夜は明かりがなく、足場もすこぶる悪く、下手にキャンプ地から離れたら目印もないので戻ってこれないかもしれないし、雨も降ってることが多いので、トイレ行くにも命懸け!
朝は朝でみんな早朝の天気がいい時にそこらへんでうろうろしてるし、見晴らしがよすぎてどこに行ってもトイレが出来そうな場所がない。
やっと物陰を見つけても一番高台で下界を見下ろしてる人達からは丸見えだし。
トイレ探すのに時間取られて、みんなは最高の景色を見て盛り上がってるのに、私だけ見れなかったのは今でも悔しい思い出。
一生に一度しかないからね。
そして極め付けは生理になったこと。
ただでさえ精神不安定になりそうなのに、この状況下。
人によったり、月によったり、その程度は変わってくると思うけど、食事も炭水化物ばっかりで血は流れて行くばかりで作られる要素も無いし。
トイレは更に面倒臭い事になってくるし、腰は痛いし、全身はだるい。
なのに必死に岩をよじ登る全身運動…。
行きは登りできつかったけど、”なんとか行けるジャン♪”って思えるくらいだったのが、生理になった下りはきつくて、体に全然力が入らなくて(多分精神的なものが大きかったんだろうけど)、自分の体が自分じゃないみたいで、それが悔しくて悔しくて…。
最後ちょびっと泣いちゃったもん。
下に降りたら降りたで、プリプリの攻撃が待ってるしね。
女の子はトイレする時、全部ぬがなきゃ行けないからそれもまためんどい。っていうか、痒い。
本当に、トレッキングの時だけは男の子が羨ましくてしょうがないよ。
もし女の子で登りたい人がいるなら、
まず生理は避けること(普通の状況下じゃないから精神的にやられる)、ポーターはけちらず、極力荷物は持ってもらうこと。
が私が出来るアドバイスかな。
でもでも、こんな思いしてでもまじでロライマ登ってよかったと思う。
そう思えるくらいの場所です。
是が非でも、登ってみてね☆

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