4月初めの週末、午後から急に風が強く吹き出した。
「散る桜も風情があって良いよ」とは、今月からお世話になる写真講師の言葉。
数日後に予定している初めての撮影の日の予報は雨なので、もしかして中止になるかもしれないと思ったらいてもたってもいられない。
最後の桜をほんの少しだけでも・・・と出先から足を延ばし鎌倉へ向かうことにした。
若宮大路はさすがに人出が多い。
段葛(だんかづら)の桜は散り始めだが、訪れた人は嬉しそうに記念写真を撮っている。
この時期に、鶴岡八幡宮を訪れるのが初めての私も心が浮き立つ。
見慣れた景色のはずなのに、思わず歓声をあげそうになった。
夏の蓮も見事だが、源氏池にこれほど桜が多かったとは!
風に花びらが舞い、水面が桜色に染まっている。
柳の若葉が優しげで、桜と共に春を感じさせてくれた。
あっという間に一時間半ほどが過ぎた。ゆっくりしたいのは山々だが、4時近いのでもう余り時間がない。
でも、せっかくだから雪ノ下あたりまで足をのばすことに。
雪ノ下は瑞泉寺方面への通り道なので、通るたびに桜の時期はさぞかし良いだろう・・・と思っていたので嬉しい。
後ろから通り過ぎた人力車が、散り行く桜と素晴らしくマッチしている。
いい画だな〜と思っているうちにシャッターチャンスを逃した。悲しい・・・
帰り道、お母さんに抱かれていた小さな子が、踏み切り前で、間をあけず左右から通り過ぎた電車を見て、「(電車が)もどってきたの?」と。
そのあどけなさに思わず笑みがわいた。
そういう、不思議に思う心を忘れたくないなと思った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
雨戸を開けたら青空が。
予報は見事にはずれ、第1回目の講師同行の撮影会は予定通りだ。
北鎌倉から歩いて建長寺へ。
なんと、生徒二人に先生一人だから贅沢このうえない。
途中、ちょっといいな〜と思う景色があったけれど、初めてだから少し遠慮をして通り過ぎまっすぐ建長寺へ。
鎌倉は大好きで良く訪れているのに、鶴岡八幡宮と同じくこの時期の建長寺は初めて。
到着するなり先輩の方がカメラを出した。特に先生は何も言わない。どうも自由に撮ってよいような雰囲気だ。
さすがに大本山だけあり、山門をはじめ各お堂が大きい。
数日前には強い風が吹いたから桜はもうおしまい?と思ったが、そうでもなくて一安心。特に枝垂桜が見ごろだ。
先生にそのうち何か言われるだろうか・・・と心配しながら、思うままにシャッターを押すが何も言われない。つい一つの被写体に夢中になっても、じっと我慢強く見守っていてくれると言う感じだ。
しばらくして半蔵坊方面に向かったが、途中で右へ曲り今まで歩いたことがない方向へ。
道筋にはムラサキハナナやシャガ、ツバキやユキヤナギが咲き、リスまでもが顔を見せてくれた。
ヤマザクラだろうか、満開の桜がしっとりとした風情。ボケの花はあでやかでお互いを引き立てている。
いきなり大粒の雨が落ちてきた。
空を見上げたらいつの間にか真っ黒い雲が!
「散る桜も風情があって良いよ」は本当だった。
雨に打たれたのは可哀想だけれど、散ってからも美しい桜が無性に愛おしい。
撮影中質問を幾つかしたが、講師の先生からは何も言われなかった。
ということは、自分の中で目的意識を持ち投げかけをして学ぶ・・・
という、一番大変な勉強のしかたになりそう。
頑張らなければ!