木曽川の河原に雪が。
そういえば今日はクリスマス。初めての雪景色を見て心が浮き立った。
この日は、水中乾燥をしていた勢山さん所有の木曾ヒノキの製材をするとのこと。以前カヤの木の製材に立ち会ったことはあるがヒノキの製材は初めてだ。
製材を待っていた4本のヒノキはさすがに太い。
厳しい自然の中でここまで立派に育つには、多くの試練と競争に打ち勝たなければいけなかったのだろう、と数年前に訪れた瀬戸川沿い(木曽ヒノキの産地の一つ)を思いだす。
勢山さんから「木をいかすも殺すも製材にかかっている」という説明を聞いても、私にはどういうことなのかが理解できないままカメラを準備した。
製材とは原木を角材に加工することだ。
当たり前の事だけど、木は切ってみないと中がどうなっているのかわからない。
勢山さんが信頼を寄せる池田木材さん。
社長の池田さんや製材機械を操作するハンドルマンさんは、勢山さんが求める製材を良く理解し作業をすすめているようだ。
長いお付き合いとの事だけあって意志の疎通が素晴らしく、互いに妥協を許さない姿勢は真剣そのもの。素人の私でさえ見ていて気持ちが高ぶる。
その様子に、もっとも大事な事は、木の癖や質を見極め予測し、的確な方針で製材することなのだということがおぼろげながら解ってきた。
何でもそうだが流れが解ると面白い。
ただよう緊張感に片時も目が放せず、ドキドキ感までもが伝わってきた。
4本のうちの一番太い木曽ヒノキにのこぎりが入れられ、美しい木肌が現れた時には期せずして歓声が起きた。
満面に満足そうな笑みを浮かべた3人をカメラにおさめながら私も嬉しくなった。
2本の原木の製材が終わるまでに約3時間。まだ2本残っている。
「長時間になりそうなので、一通り撮り終わったら暖かいうちに散歩でもしてきたら」と勢山さん。
雪景色を見た時にうずうずしたのを見抜かれていたのかもしれない。
陽が傾くとともに気温が下がりはじめ、あたりが闇に包まれたころようやく製材が終了。
“同行させてもらって良かった”と思いながら、帰りの新幹線の中ではさすがにうたた寝を。
木曽ヒノキから大切なものをもらった!
あの木曽ヒノキからどんなお像が生まれるのだろう。楽しみだ。