昨日は頑張って動き回ったお陰でぐっすり眠れ、時差ぼけの心配は無さそうで一安心。
ところで、日本との時差はマイナス15時間だ。
ややこしいので日本は今何時?などと考えないことにし、自然の営みに身をまかせ、これから3日間のロッキーを満喫しようと思う。
街からも見えていたカスケード山と、サルファー山を左に見ながら走り、しばらくすると、ガイドさんが「前のほうに長崎のめがね橋のような橋が見えてきますよ」と説明を始めた。
今バスが走っている国道一号線は「トランス・カナダハイウェイ=大陸横断道路」と呼ばれ、全長7800kmというとてつもない距離があるが、両脇には高さ2.4mのフェンスが張られている。
これは野生動物が道路に飛び出してこないようにする為の対策で、お陰で事故は減ったのだが、反面自然の中で生きる野生動物の生活圏を分断してしまったとの事。
なので、もともとあった獣道を参考に、「アニマル・オーバー・パス」と名づけられた動物のための橋を2箇所に架けたそうだ。
5億円近い費用がかけられたこの2つの橋は、実際に動物たちに活用されているらしい。
ちなみに人間が通れば罰金!
人間の臭いがついたら、動物が警戒して橋を使わなくなるからとの説明を聞いて、なるほどな〜と思った。
またオーバーパスを架ける前に、22箇所の地下道「アニマル・アンダー・パス」が造られたが、残念なことにこれはあまり活用されていないそう。
この国道は大型車の通行も多いので、その振動などのせいで動物が敬遠?
それでも鹿は割合に早く使い始めたようだが、頭の良い狼やコヨーテが出口で待ち伏せすることもあったりで、果たして動物たちには良かったかどうか・・・という事のようだ。
そういえば、昨日はボウ川の近くで野生の鹿と出会ったのだから、もしかして今日も道路際まであいさつに出てくれる動物がいるかもしれない。
普段は乗り物に乗るとすぐ眠くなる私だが、もったいなくて寝てなどいられない・・・と自分に言い聞かせた。
しばらくしたら、進行方向右側にロッキーを代表する山「キャッスル・マウンテン=お城の山」が見えてきた。エジンバラ城に似ているのでこの名が付けられたが、なるほど岩でできた巨大なお城のようだ。
だが、早くからこの地に住んでいた先住民のインディアンは、同じ山を「ロスト・マウンテン=見失う山」または「迷子になる山」と呼んでいた。
彼らは、特徴のある形をしたこの山を狩に出た時の道標にしたのだが、この山は連山なので、他の方向からは全く違う形に見えてしまう。
だから帰りには道標にした山ではないと思い込み、道に迷ってしまったと勘違いしたために名付けられたとの事。
こういう話を聞くと、当時の人たちの戸惑いが目に浮かぶようだ。
それにしても天気が良くてラッキーだ!
雨降りだったら、こんなに綺麗にロッキーの山々は見えずがっかりしただろう。やっぱり私って晴れ女〜♪
ところで、国道の両側にはまっすぐ伸びた針葉樹「ロッジ・ポール・パイン」などが続いている。
同じ針葉樹でもこのロッキーに杉は生息しない・・・と聞いてホッとし、羨ましいと思った人も多かったかも?
ロッジ・ポール・パインは松の一種だが、この他にはモミやトウヒなどの乾燥に強い木々が多い。
昨日散策したボウ川も時々見えているが、樹木の間からの川の色は昨日にもまして何ともいえず綺麗だ。
突然、大陸横断鉄道を走るロッキー・マウンテニア号に出会った。
「めったに見られないんですよ〜」とガイドさんの興奮した様子。
何故めったに見られないのだろう???と思ったが、すぐにその場を通り過ぎてしまったので、もちろん写真は撮れない。
ちなみに、さっきから見え隠れしている標高3543mのテンプル山の上にある氷河には、この鉄道を引く事に貢献したマクドナルドさんの名が付いている。
ところで、氷河は表面がボコボコしていて立体的、雪は山に張り付いていて滑らかと、その見分け方を教えてもらった。
今日夕方には、コロンビア大氷原での散策もあるから楽しみだ。
バスはかなり登ってきたはずだが、それほど高いところにいるという感じがしない。
そもそも空港があったカルガリーで標高1000m、滞在しているバンフは、1400m弱もある。元々高い所にいるので尚更実感がないのだろう。
国道に続き、冬には閉鎖されてしまうという道路をしばらく走り、テンプル山の裏側にある湖モレーン・レイクに到着。
湖岸よりも上から見下ろすと更に色が綺麗とのことで、展望台まで岩山を10分ほど登った。
突然目の前に広がった景色に「わ〜!」と声を上げてしまった。
こういう時に「美しい!」とか、「綺麗!!」という言葉しか浮かばない自分が情けないけれど、本当に綺麗!!
湖の向こうにそびえているのはテンピークス山で、これもスッキリ見えている。
ロッキーで初めて身近に見た湖、モレーン・レイクに、他の皆も感激の様子だった。
昔は海の底だったカナディアン・ロッキーは、長い年月に隆起などを繰り返し今のような山脈になったとのこと。
ここバンフ国立公園は1885年にカナダ初の国立公園に指定されている。
そして他の国立公園(ジャスパー・ヨーホー・クートネー)や州立公園と共に、1984年にユネスコの世界遺産に登録された。
この素晴らしい自然を求め、世界中から年間300万人以上の人々が訪れるというロッキーに、今回来られた幸せをかみしめてしまう。