2009/4/15
マタニティ最後の日 マタニティ・ライフ
2009年3月11日(水)
昼間、いつもどおり約90分位、ジョギングとウォーキングに出かけた。
ほど良い汗をかき、とても快調。
深夜、一時間にたぶん3回位の、強いお腹のハリと痛みで度々目が覚めるが、眠たさの方が勝っていたので、気にせずそのまま眠る。
2009年3月12日(木)
朝、おしるしと言われるものが見られた。
予定日は一週間後だし、おしるしがあっても直にお産につながるとは限らないと聞いていたので、ハリと痛みは続いていたが、のんきに過ごしていた。
昼からジョギングに出かけようと外に出たが、やっぱりなんか嫌な予感がしたので、何かあってもすぐに帰れる様に家の近くを歩く事に。
なんだか、お腹のハリが増してきた。
早めに家に戻るが、この時点でもまだこれが陣痛へつながるハリだとは思ってもいなかった。
20:40頃
ハリに伴う痛みに不安を感じ、病院へ電話。
その一時間後には、痛みの間隔が10分を切る。
22:00頃
もう一度病院に電話をし、
いちおう、入院セットを持って受診しに行く。
ここではじめて、これが陣痛なんだとわかる。
そのまま入院決定。
夫にもついてきてもらっていたが、助産師さんに、初めてのお産なので今から24時間はかかるでしょうと言われ、一旦帰って休息をとってもらうことになった。
しかし2:00頃
あまりの痛さに、巡回中の助産師さんに訴え、受診してもらうと、予想以上に進んでおり、そく、分娩室へ移動になる。
はずだったが、、、
なんと、私の他にも同時に5人の妊婦さんのお産が始まっているらしく、分娩室がいっぱいで、急遽手術室でのお産が始まった。
あとで分かった事だが、この日は満月だった。
2:30頃
電話を受けた夫が、慌ててかけつけてくれた。
私入れて6人のお産に臨む妊婦さんに対して助産師さんはたったの2人。
当然、手が回るわけがない。
「陣痛が来たらいきんどいてね〜」
と言われたまま、夫と私二人っきりになった。
予想もしなかった。
放置・・・。
辛い、不安、恐怖、、、。
やり方も何も分からないし、それが正しいかどうかも分からなかったが、陣痛が来たと思ったら、とにかくめいっぱいお腹に力を入れた。
時々、助産師さんがバタバタと駆けつけて様子を見にきてくれるが、5分も経たないうちにまた他の分娩室に消えてしまう。
そうこうしているうちに、陣痛が2〜3分おきの間隔に狭まり、想像を絶するほどの痛みと辛さで、途中逃げ出したくなった。
本当に辛くてめげそうになった。
あきらめそうになった。
自分の母親の顔が浮かんだ。
こんな辛い思いをして私を産んでくれたのか・・・。
私より先にママをしている友人の顔が浮かんだ。
多くの母を尊敬した瞬間でもあった。
ようやく分娩室が空き、手術室から車椅子での移動。
分娩台の上で何度も気を失いかけた。
足や腕がつりだし、思うように力が入らない。
血管が切れてこのまま私死んでしまうのではないだろうかという恐怖心。
途中、大量に嘔吐したり、いきみすぎて点滴が詰まり血液が逆流したり、心肺が弱まってきていると、酸素マスクを装着された。
こんなことなら麻酔を打ってお腹を切って出して欲しい・・・。
最後の最後まで試練は尽きなかったが、神様が私といろはの生命力を試しているのだとも思えた。
そんな時目に入ったのが、いろはの心拍数。
何度も何度も心拍数が半分以下に下がる。でもその度に、直後に力強く、もとの心拍数に戻してくる。
いろはも頑張っている。
外の空気を吸うために一生懸命頑張っている。
生きようとしいてる。
私といろはの頑張りを見てか、夫も肝を据え、ぶっ倒れずに冷静に今の状況を見て伝えてくれた。
「いろはの頭の髪が見え隠れし始めたよ。」
助産師さんは側にいない。夫を頼るしかない。
もうやるしかなかった。
夫がいきむタイミング、休むタイミングを合図してくれるので、それを信じて呼吸を合わせる。いろはを感じながら。
がんばれ!がんばれ!がんばれ!・・・・・・
私と夫といろはの呼吸が全てうまく合った時、いろはが外の世界に顔を出した。
すぐに助産師さんが来てくれて、いろはを取り上げてくれた。
か細い声だった。「ふぇ〜ん、ふぇ〜ん」
いろはの泣き声を聞いた瞬間、夫と顔を見合わせ、ホッとして涙を流した。
2009年3月13日(金) AM6:17
2725g 48,5cm 元気な女の子 誕生
最初から最後までずっと励まし続け、一緒にお産に立ち向かってくれた夫に感謝の気持ちでいっぱいになった。
あまりにも激動の時間で、いろはにかけた第一声が思い出せない。
「よく頑張ったね」だったかな。
途中めげそうになって、逃げ出しそうになって、あきらめかけて、意識を失いかけそうになって、、、
それでもよく耐えれたなぁ、、、
お産直後、ものすごい満足感と幸福感で満たされた。
きっと、子供を産んだ女性にしか味わえない気持ちなんだろう。
その瞬間、自分が女性である事を誇りに思った。
自分が自分である事を誇りに思った。
命がけで産んだ生命。
生命の重さ、生命の素晴らしさ、生命の尊さ、生命の強さを知った瞬間だった。
いろはが教えてくれた。
いろは、父ちゃん母ちゃんのところへ産まれてきてくれてありがとうね。
本当にありがとう。
いろはがこれからどんな人生を歩み、どんな事を学び、どんな人に出会い、どんな人になっていくのか。
父ちゃん母ちゃんは楽しみで仕方ない。嬉しくて仕方ない。
走っている時も思った。
登っている時も思った。
何かと真剣に向き合う時いつも思う。
自分が生きた形跡を残したい。
自分がこの世に存在した証が欲しい。
今、自分が生きている実感が欲しい。
どんなに一生懸命やっても、いつもどこか物足りなさを感じていた。
けれど、そんな思いは、今、いろはによって満たされている。