被災ペットの現状伝えたい!
…川崎の獣医師、児童書刊行
前回、
「待ち続ける動物たち/福島第一原発20キロ圏内のそれから 」(飛鳥新社、大田康介、1365円)についてご紹介したが、以下は、3月14日の読売新聞に載っていた、
ある獣医師による児童書刊行のニュースである。
こうした地道な取り組みを続けておられる方々には、本当に頭が下がる。
せめて、この本を買うことで少しでも助けになればと思って本を買った。孫はまだ生後2ヵ月なので、
いずれ童話が分かる歳になったら、贈呈することにしよう。
東京電力福島第一原発から
20キロ圏の警戒区域内に取り残された犬や猫の救助活動を行ってきた
川崎市の獣医師、馬場国敏さん(63)が、自ら見てきたことを基に
児童向けの物語を書き、昨年末、出版した。
この児童書は
「さくら 原発被災地にのこされた犬たち」(金の星社、1365円)。
海の見える町に住む少女と愛犬さくらの物語だ。
地震の後、少女は「すぐに迎えにくるから」と告げてさくらを自宅に残して避難。さくらは鎖をひきちぎって逃げ、ほかの犬たちと暮らす――。
すぐに帰れると思っていた家族。必ずもどってくると待っていた犬たち。あたり前だった毎日があたり前ではなくなったあの日から、生きるために歩きつづける原発被災地にのこされた犬たちの物語。
少女と愛犬、それぞれの苦悩が描かれている。
「福島原発20キロ圏内 犬・猫救出プロジェクト」によって原発警戒区域から保護された猫たち
馬場さんは昨年6月から8か月間、日本動物愛護協会などがつくる
「緊急災害時動物救援本部」の一員として、福島県南相馬市、浪江町、大熊町などの警戒区域内に入り、
犬と猫約100匹を保護した。
その際、
餓死した犬や
野生化して群れになっている犬たちを何度も目にした。
一時帰宅でペットの惨状を知り、泣き崩れる避難者たちの様子も目に焼き付いている。
福島原発20キロ圏内で保護された犬。痩せ衰えていた。
こうした現地の光景を思い出しながら、やりきれない思いをぶつけるように執筆したという。
「『さくら』はフィクションだが、事実を基にした物語。被災動物の苦しみを知って」と
馬場さんは訴える。
馬場さんらが保護した犬や猫の一部は新しい飼い主のもとに渡った。
「さくら」を出版した馬場さん。川崎市内で運営する野生動物
ボランティアセンターで保護したペットの世話をしている。
しかし、
老いたりけがをしたりした犬と猫22匹は引き取り手がなく、
馬場さんが川崎市内に経営する動物病院や野生動物ボランティアセンターで世話をしている。
「まだ助けなければいけないペットは、たくさんいる」と話す。
「さくら」は昨年12月の出版以来、反響を呼び、「初めて知った」「かわいそう」といった手紙が寄せられているという。
同書の印税は全額、被災動物の救護活動に使われる予定。
不安そうな表情で飼い主の迎えを待ち続ける猫

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