東北に今も残る民俗伝承
「オシラサマ」と「座敷わらし」
今日は、若い頃から好きだった
柳田國男の「遠野物語」の中から、
「オシラサマ」、「座敷わらし」のついて話をしたい。
今から10年以上前になるが、3月初旬に遠野を旅したことがある。とても厳しい寒さで、食堂にもこたつが置いてあり、その中にもぐり込んで食べた熱々の「すいとん」がとても美味しかったのを覚えている。
そのおり、郷土史館に立ち寄ると
オシラサマが飾ってあった。ちょうど下の写真のような感じだったが、
とても不思議な世界に迷い込んだような、えも言われぬ気分になったことを思い出す。
おしらさま(遠野市・伝承園)
岩手県と言えば、
宮沢賢治のファンタジー・ワールドが現代人の人気を集めているが、それ以前から
東北地方には素晴らしい「民話と伝承の世界」が存在し、そうした土壌の上に宮沢賢治ワールドが形成されたのではないかと(勝手に)思っている。
遠野を回った時も、
河童が川から顔をのぞかせ、古い民家には
座敷わらしが住みついていると言われても、別に驚くに値しないような雰囲気が漂っていた。
人間が、科学で知りうる世界だけが真理で、それ以外はまやかしと言うのは人間の傲慢さだと常々感じている。心を白紙にして以下の話に耳を傾けていただきたい。
本題には全く関係ないが、遠野の「猫」は雪に強い。人間でも凍えるような雪原の中でたわむれている。
雪の中で遊ぶ遠野の猫〜ブログ「不思議空間:遠野」より
1.オシラサマ/おしら様
オシラサマ(おしら様)は、日本の東北地方で信仰されている
家の神であり、一般には蚕の神、農業の神、馬の神とされる 。茨城県などでも伝承されるが、
特に青森県・岩手県で濃厚に残り、宮城県北部にも密に分布する。(ウイキペディアより)
東北地方に古くから伝わるオシラサマ信仰は、
柳田國男の「遠野物語」(明治43年)のオシラサマ伝説によって広く世に知られるようになった。
古くから、東北地方は
良馬の産地として知られ、
曲り屋の中に馬屋があり、馬と家族同然の暮らしをしていた。そんな中より生まれた馬と娘との婚姻の話は、決して突飛すぎる訳ではないのだろう。(岩手県立博物館)
この写真は、私が交誼を得ている
ブログ「はまかぜ畑」のたか子さんのご実家に祀られているオシラサマである。
現代においても、なお東北地方の北部では、こうして家々に語り伝えられていることに感銘を受ける次第である。
「おしらさま」は今もおられる(ブログ「はまかぜ畑」より、実家の「おしらさま」)
◎遠野物語・六十九話
昔ある処に貧しき娘あり。妻はなくて美しき娘あり。また一匹の馬を養ふ。
娘この馬を愛して夜になれば厩舎に行きて寝ね、ついに馬と夫婦に成れり。
ある夜父此事を知りて、其次の日娘に知らせず、馬を連れ出して桑の木に
吊り下げて殺したり。
その夜娘は馬の居らぬより父にたずねてこの事をしり、驚き悲しみて桑の
木の下に行き、死したる。
馬の首にすがりて泣きゐたしを、父は之を悪みて斧を以て馬の首を切り落
せしに、忽ち娘はその首に乗りたるまま天に昇りて去れり。
オシラサマと云うはこの時より成りたる神なり。馬を吊り下げたる桑の枝に
てその神の像をつくる。
遠野の語り部の女性が、「オシラサマ伝説」を語っておられる。
以下のYou-tubeをお聴きいただきたいが、私にはあまり聴きとることができない。
2.座敷童子
座敷童子(ざしきわらし)は、主に岩手県に伝えられる精霊的な存在である。
座敷または蔵に住む神と言われ、家人に悪戯を働く、見た者には幸運が訪れる、家に富をもたらすなどの伝承がある。
座敷童子がいる家は栄え、逆に座敷童子の去った家は衰退すると言われる。
座敷童子は
奥座敷におり、その存在が家の趨勢に関ると言われるため、これを手厚く取り扱い、毎日膳を供える家もある。
柳田國男の「遠野物語」や「石神問答」などでも知られ、
「遠野物語」には17話に、「この神の宿りたまふ家は富貴自在といふことなり」と記載されている。
何かの本で読んだことがある。ある時、座敷で子供たちが遊んでいた。
お互い見知った顔で7人いたそうな。遊びが終わって、いざ帰る段になると何度数えても
全部で6人しかいない。
もちろん途中で帰った子供は誰もいない。でも7人のうち誰がいなくなったのか一向に思い出せない。
いなくなった一人がその家の座敷わらしだったという話である。
ワンダー・ワールド「遠野」らしい話である。この座敷童子については、
宮沢賢治の童話集の中にも出てくるので、You-tubeでご覧いただきたい。
3.民話と伝承を生み出す遠野ワンダー・ワールドを写真で
遠野の象徴的存在;早池峰山〜ブログ「不思議空間:遠野」より
遠野市青笹町の荒神神社。実に小さな祠である。
荒神(アラガミ)様。普段は家に置いていて、お宮にはお札をあげておくそうである。同じ家にはオシラサマもいて、正月にはオシラサマとアラガミサマの両方を並べて拝むのところもある由。
「山の神」だろうか。社が見られないから山全体が社なのだろう。
河童淵から河童が顔を出しそうな雰囲気・・それが遠野だ。
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