5年後、10年後に「生き残る会社」
「消えている会社」はどこか?
以下、
週刊現代の2016年05月19日号で取り上げられた記事で、上のタイトルで、全国主要業種の代表的な企業:347社の「近未来の行く末」を大胆に占ったものである。
詳細は以下に7枚の表を添付している。細かい字体なので拡大機能を使ってご覧いただきたい。各界の識者8名による採点には内容はなかなか説得力があり、単なるセンセーショナルな記事ではないと思った。
自分の身近な会社が思ったより低評価だったのは残念だが、変革の時代に対応できない何かがあるのだろう。
少品種・大量生産時代がいよいよ終焉する
まず多くの識者が指摘しおぼたのは、自動車、電機などのモノづくりで巻き起こる歴史的な地殻変動。それは
「インダストリー4・0(第四次産業革命)」と呼ばれるもので、ポイントを一言で言えば、
少品種・大量生産時代がいよいよ終焉する。
これからは、
消費者が自動車や家電を買う際には、商品カタログから選ぶのではなく、ネット上で好みのデザインやパーツなどを選ぶ。
すると、そのデータが即座に生産工場に送られ、
「あなた仕様」のオリジナルな一品を買うことができる。しかも、これまでと同じような価格で—というのが当たり前になる。
人工知能(AI)が劇的な業界再編を促進する
そんな多品種・少量生産時代にはモノづくりの生産現場も様変わりし、消費者のスマホ端末から、完成品メーカー、部品メーカーの生産ラインはネットワークでつながる。
工場では、送られてくるデータを超高性能なAI(人工知能)を組み込んだロボットが即時分析し、消費者ごとのオーダーメイド製品を次々と作り上げていく。
「おのずと
製造業では壮大な合従連衡が巻き起こることになります。それもGMとフォードが組むというような
旧来型の合併ではなく、GMとマイクロソフトやIBMが一緒になるような業界の垣根を越えた再編劇です。
すでにドイツではボッシュやシーメンスが手を組むような動きがある一方で、日本勢は『虎の子』の技術をオープンにすることに消極的で出遅れています。
トヨタや日産、ホンダでさえソフトバンクグループと組むなどしないと、手遅れになりかねません」(セゾン投信代表取締役社長の中野晴啓氏)
各社の採点結果は・・・
今回、
識者8名(最下段に名前を紹介)につけてもらった◎、○をそれぞれ2点、1点として各企業を点数化した。
表中のA〜Hは各界を代表する識者である。
1位に輝いたのは東レ。繊維という斜陽産業から業態転換に成功した「変化力」が評価された。
「東レが開発した炭素繊維はこれからは航空機から自動車のボディにまで採用されて需要増が期待できる」
「出世すべき人が出世していて、人事システムもきちんと機能しているため、中長期的な安定感もある」
東レのカーボンファイバーが最新鋭ジェット機の翼等を構成している。
2位はキーエンス。自動化工場での最新鋭センサなどを作る「知る人ぞ知る会社」である。
「キーエンスは世界的に見て同じモデルがないオリジナルな会社。様々な企業から『ここを改善したい』というポイントを集めて、それに対する解決策を提供する力が圧倒的」
注;キーエンスは大阪市東淀川区東中島に本社を置く、自動制御機器、計測機器、情報機器、光学顕微鏡・電子顕微鏡などの開発および製造販売を行う企業。
各業界ごとの生涯給与ランキングでトップを占める好業績企業のキーエンス
3位以下は業界・業種に関係なく、
リクルートHD、デンソー、 ヤマトHDなどが続いたが、
共通項は「社会性」。
「リクルートHDは女性の転職、地域おこしなどの社会問題を収益の取れるビジネスにする能力が抜群。
デンソーも『移動』というテーマで社会に対してなにができるかを考え、ドローンなどの新しいモビリティ事業を手がけるなど、進取の取り組みに長けている」
「ヤマトHDは高知県のある町で人口減少により需要が減っていたところ、現場の創意工夫で見守りサービスなどを始めて地元に歓迎されている。効率ばかりを求める経営者が増えるなか、地域や社会を考えた経営をする会社が今後は伸びる可能性が高い」
ヤマトHDは地域や社会を考えた経営を指向している。
以下は表を拡大して、興味がおありの業種を中心にご覧いただきたい。
【アンケートに答えた各界の識者】
@いしい・じゅんぞう/'47年生まれ。流通科学研究所所長。神戸大学大学院博士課程修了。同大学教授、学長などを経て現職。著書に『マーケティングの神話』(岩波現代文庫)等
Aおおき・まさみつ/'65年生まれ。ファイブスター投信投資顧問取締役運用部長。早稲田大学法学部卒。日本興業銀行、マッキンゼー・アンド・カンパニー、ドイツ証券などを経て現職
Bこが・さとし/'59年生まれ。ベンチャーキャピタリスト、チームクールジャパン代表。早稲田大学政治経済学部卒。モンサント、シティバンク、マッキンゼー・アンド・カンパニーなどを経て現職
Cたきもと・てつふみ/年齢非公表。京都大学客員准教授。東京大学法学部卒。同大学院助手、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て現職。著書に『君に友だちはいらない』(講談社)
Dなわ・たかし/'57年生まれ。一橋大学大学院国際企業戦略研究科特任教授。東京大学法学部卒、ハーバード大学MBA取得。三菱商事、マッキンゼー・アンド・カンパニーなどを経て現職
Eなかた・やすお/'43年生まれ。元カルビー社長。慶應義塾大学大学院修士号取得。宇部興産、三菱レイヨンなどを経てカルビー入社。同社で創業家以外初の代表取締役社長に就任
Fなかの・はるひろ/'63年生まれ。セゾン投信代表取締役社長。明治大学商学部卒。西武クレジット(現クレディセゾン)を経て現職。著書に『預金バカ』(講談社+α新書)等
Gなるけ・まこと/'55年生まれ。インスパイア取締役ファウンダー。中央大学卒。日本マイクロソフト代表取締役社長などを経て現職。著書に『本棚にもルールがある』(ダイヤモンド社)等

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