2009/11/15
運動制御 二足歩行
足の可動部分が増えると確かに不整地への適合性は上がるのですが、同時に不安定性も出てきます。
可動部分である関節に緩みが全くなければ、カチッとした動きが出来るのですが、不規則な面に対しての適合性は低下します。
ある程度の緩みや捻れがあれば、その僅かな動きにより不整地に追従していくことも出来るのですが、緩みや捻れが大きすぎると不安定性が大きくなることになり、まともに動くことが出来なくなります。

人間の関節の機能においては、ある時には筋肉や関節の面構成などが組み合わさって関節をカチッと安定させて力をしっかりと伝える事が出来るのですが、同じ関節をべつの場面ではフニャッとさせることで、衝撃吸収や不整地への適合を高めることが出来るようになっています。
つまり、スムーズな動きをするためには、軸の定まったカチッとした動きと、ある程度の遊びを持ってフニャッと適合させていくという、相反する機能を上手く使い分けていくことが必要になってきます。
この様な複雑な仕組みはほとんど全ての可動関節において常に行われているのですが、私たち人間が意識的にやっている訳ではありません。
つまり、無意識に全自動でこれらの複雑な動きをつくりだしているのです。
ロボットでこの仕組みを再現しようとすると、可動部には運動方向別に人間の筋肉の働きをするモーターが必要になります。もちろん運動方向全てに別のモーターが必要です。
また、動きを安定させるためには人間の靱帯のはたらきをするスタビライザーが必要になります。これはある程度バネのような「しなり」のある材料が必要になります。
可動部の動きの軸には動きをスムーズにするためのベアリング…これは人間では関節の中の滑液になるのですかね?
また関節に遊びを出すためにはゴムのブッシュなども必要になります。これも、部位別に負荷が変わってくるので、部位に応じた適切な硬さ(柔軟さ)の選択が重要になります。
そして、これらを組み合わせて適切に機能させるためには関節の位置関係や地面の状況を知るためのセンサー(人間では固有受容器)が必要になります。
このセンサーからの情報を元に、随時適切な判断を下し、動きを出すか安定させるために締めるか、どのくらい力をかけるかなどをこまめに切り替えていきます。
この判断を下しているのが、コンピューターの運動制御プログラム(人間では脳が行っています)ということになるのです。
すごい仕組みですよね
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可動部分である関節に緩みが全くなければ、カチッとした動きが出来るのですが、不規則な面に対しての適合性は低下します。

ある程度の緩みや捻れがあれば、その僅かな動きにより不整地に追従していくことも出来るのですが、緩みや捻れが大きすぎると不安定性が大きくなることになり、まともに動くことが出来なくなります。


人間の関節の機能においては、ある時には筋肉や関節の面構成などが組み合わさって関節をカチッと安定させて力をしっかりと伝える事が出来るのですが、同じ関節をべつの場面ではフニャッとさせることで、衝撃吸収や不整地への適合を高めることが出来るようになっています。
つまり、スムーズな動きをするためには、軸の定まったカチッとした動きと、ある程度の遊びを持ってフニャッと適合させていくという、相反する機能を上手く使い分けていくことが必要になってきます。

この様な複雑な仕組みはほとんど全ての可動関節において常に行われているのですが、私たち人間が意識的にやっている訳ではありません。
つまり、無意識に全自動でこれらの複雑な動きをつくりだしているのです。

ロボットでこの仕組みを再現しようとすると、可動部には運動方向別に人間の筋肉の働きをするモーターが必要になります。もちろん運動方向全てに別のモーターが必要です。
また、動きを安定させるためには人間の靱帯のはたらきをするスタビライザーが必要になります。これはある程度バネのような「しなり」のある材料が必要になります。
可動部の動きの軸には動きをスムーズにするためのベアリング…これは人間では関節の中の滑液になるのですかね?
また関節に遊びを出すためにはゴムのブッシュなども必要になります。これも、部位別に負荷が変わってくるので、部位に応じた適切な硬さ(柔軟さ)の選択が重要になります。
そして、これらを組み合わせて適切に機能させるためには関節の位置関係や地面の状況を知るためのセンサー(人間では固有受容器)が必要になります。

このセンサーからの情報を元に、随時適切な判断を下し、動きを出すか安定させるために締めるか、どのくらい力をかけるかなどをこまめに切り替えていきます。
この判断を下しているのが、コンピューターの運動制御プログラム(人間では脳が行っています)ということになるのです。

すごい仕組みですよね


2009/11/10
ブリキのロボット 二足歩行
今日は、二足歩行ロボットの仕組みを考えてみましょう
人間と見分けがつかない位にスムーズに動くことが出来るロボットの開発は世界中で行われているのでしょうが、今のところ完成されていないと思われます。
私たちが現在目にすることが出来るリアルなロボットたちは、昔に比べればいろいろな動きやポーズが出来るようになったとはいえ、やっぱりロボットらしい動き方をしています。
では、ロボットらしい動きとはどのような動きを言うのでしょうか?
おそらく、人間のようにスムーズに動くことが出来ない「ぎくしゃくした動き」をロボットらしいと感じているのでしょう。
だから、足の調子が悪くて上手く歩けていない人や、足腰の弱った年配の人の歩きかたを見ると「ロボットみたいな歩き方になっているなぁ」と感じたりもするのでしょう。
そこで、人がスムーズに動くことが出来るために何が大切かを、二足歩行ロボットの仕組みを考えてみることで理解していきましょう。
まずは初級編、「ブリキのロボットの仕組み」くらいから始めましょう。
もっともシンプルなロボットは、腕と身体がくっついていて足だけが動きます。

部品構成は、頭と腕と胴体が一体化したパーツ、左右の脚のパーツ、これらのブリキのパーツは中が空洞になっており、外板が骨格を兼ねている構造になっています。
これは、カニなどの甲殻類や昆虫にみられる外骨格構造になっているので、二足歩行するカニロボとも言えます。
そして、胴体のパーツの中に動力源であるゼンマイのユニットがあり、そこから出たアームが胴体の股関節付近から左右に突き出して左右の脚のパーツに付いています。
このロボットの可動部は左右の股関節だけということになり、可動方向も前後方向に楕円形の動きをするだけです。
当然ですが、このようなシンプルな(ある意味カニ以下)構造では、不整地に対して適合できるはずも無く、少しの傾斜や段差でも転倒してしまいます。
転ばないように歩くためには様々な仕組みが必要になってくるのですが、まずは足の裏が地面にきっちりと着かなければ歩行は始まりません。というか立つことすら出来ません。
不整地に足の裏をきっちりと適合させるには、足の可動部分を増やす必要があります。可動部分、つまり関節が多いほどあらゆる不整地に対して適合できる範囲が広がるのですが…
そんなに簡単にはいかないのです。
つづく
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人間と見分けがつかない位にスムーズに動くことが出来るロボットの開発は世界中で行われているのでしょうが、今のところ完成されていないと思われます。
私たちが現在目にすることが出来るリアルなロボットたちは、昔に比べればいろいろな動きやポーズが出来るようになったとはいえ、やっぱりロボットらしい動き方をしています。

では、ロボットらしい動きとはどのような動きを言うのでしょうか?
おそらく、人間のようにスムーズに動くことが出来ない「ぎくしゃくした動き」をロボットらしいと感じているのでしょう。
だから、足の調子が悪くて上手く歩けていない人や、足腰の弱った年配の人の歩きかたを見ると「ロボットみたいな歩き方になっているなぁ」と感じたりもするのでしょう。
そこで、人がスムーズに動くことが出来るために何が大切かを、二足歩行ロボットの仕組みを考えてみることで理解していきましょう。

まずは初級編、「ブリキのロボットの仕組み」くらいから始めましょう。
もっともシンプルなロボットは、腕と身体がくっついていて足だけが動きます。

部品構成は、頭と腕と胴体が一体化したパーツ、左右の脚のパーツ、これらのブリキのパーツは中が空洞になっており、外板が骨格を兼ねている構造になっています。
これは、カニなどの甲殻類や昆虫にみられる外骨格構造になっているので、二足歩行するカニロボとも言えます。

そして、胴体のパーツの中に動力源であるゼンマイのユニットがあり、そこから出たアームが胴体の股関節付近から左右に突き出して左右の脚のパーツに付いています。
このロボットの可動部は左右の股関節だけということになり、可動方向も前後方向に楕円形の動きをするだけです。
当然ですが、このようなシンプルな(ある意味カニ以下)構造では、不整地に対して適合できるはずも無く、少しの傾斜や段差でも転倒してしまいます。

転ばないように歩くためには様々な仕組みが必要になってくるのですが、まずは足の裏が地面にきっちりと着かなければ歩行は始まりません。というか立つことすら出来ません。
不整地に足の裏をきっちりと適合させるには、足の可動部分を増やす必要があります。可動部分、つまり関節が多いほどあらゆる不整地に対して適合できる範囲が広がるのですが…
そんなに簡単にはいかないのです。

つづく

2009/10/30
人の歩行の秘密 二足歩行
5趾サポーターを履く事により足にとっても、身体にとっても様々な良いことが起こるのですが、その事をお伝えする前に、話しておきたい事があります。
皆さんの足の指は何本に分かれていますか?
先天的な問題がある方を除けば、おそらく5本に分かれている筈です。
そして、多くの人がこの5本に分かれている指を、先が分かれていないいわゆる普通の靴下を履くことで、わざわざひとまとめにしているのです。
人間は、生物の中でも稀な2足歩行動物です。
世の中の二本足の構造物をみてもらえば解ると思いますが、たとえば二本足の看板などは、何かにもたれさせるか、地面に足を突き刺さなければ上手く立たせる事はできません。
地面の上にポンと置いて安定して立たせるためには、少なくとも3本以上の足が必要になってきます。イーゼル(絵やポスターを飾る台)や譜面台なども3本足です。
さらに安定した上での動きが必要な、たとえばコマ付きの椅子などは、4本ではまだまだ不安定で最近では5本足が主流になっています。(ちなみに私の職場の椅子は6本足です)
ところが 人間は二本足で立ち、時には1本足で立つことさえ出来ます。また、トレーニング次第では体操選手のようにさらにアクロバティックなポーズさえ出来るようになります。
つまり、人間は本来安定した状態で立たせることさえ困難な二足での歩行を円滑に行うための特別な仕組みを持っているといえるのです。
この仕組みを研究することで二足歩行のロボット開発が行われているのですが、いまだに人間と見分けがつかないくらいにスムーズに歩行できるロボットはできていません。
映画の「ターミネーター」に出てくるようなロボットが出来るのにはまだまだ時間がかかりそうです。
けれども、現在レベルの二足歩行ロボットの仕組みを知ることが、人間の二足歩行における5本指の関わりを理解しやすくしてくれます。
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皆さんの足の指は何本に分かれていますか?

先天的な問題がある方を除けば、おそらく5本に分かれている筈です。

そして、多くの人がこの5本に分かれている指を、先が分かれていないいわゆる普通の靴下を履くことで、わざわざひとまとめにしているのです。

人間は、生物の中でも稀な2足歩行動物です。

世の中の二本足の構造物をみてもらえば解ると思いますが、たとえば二本足の看板などは、何かにもたれさせるか、地面に足を突き刺さなければ上手く立たせる事はできません。

地面の上にポンと置いて安定して立たせるためには、少なくとも3本以上の足が必要になってきます。イーゼル(絵やポスターを飾る台)や譜面台なども3本足です。
さらに安定した上での動きが必要な、たとえばコマ付きの椅子などは、4本ではまだまだ不安定で最近では5本足が主流になっています。(ちなみに私の職場の椅子は6本足です)

ところが 人間は二本足で立ち、時には1本足で立つことさえ出来ます。また、トレーニング次第では体操選手のようにさらにアクロバティックなポーズさえ出来るようになります。
つまり、人間は本来安定した状態で立たせることさえ困難な二足での歩行を円滑に行うための特別な仕組みを持っているといえるのです。

この仕組みを研究することで二足歩行のロボット開発が行われているのですが、いまだに人間と見分けがつかないくらいにスムーズに歩行できるロボットはできていません。
映画の「ターミネーター」に出てくるようなロボットが出来るのにはまだまだ時間がかかりそうです。

けれども、現在レベルの二足歩行ロボットの仕組みを知ることが、人間の二足歩行における5本指の関わりを理解しやすくしてくれます。

