今月のテーマ 

2009/6/2

肺血栓梗塞症  臨床レポート

現在当院には、「肺血栓梗塞症」と「肺性心」という病気を持った方が、「息が苦しい」事を主訴として来院されています。

症例の紹介をする前に、今日はこの「肺血栓梗塞症」を紹介しようと思います。


どんな病気?

心臓から肺へ血液を運ぶ血管である肺動脈に、塞栓子(血液の塊(かたまり)、脂肪の塊、空気、腫瘍細胞など)が詰まり、肺動脈の流れが悪くなったり閉塞してしまう病気を広く肺塞栓症といいます。

このなかで血液の塊(血栓)が原因で起こったものを肺血栓塞栓症と呼び、肺塞栓症の大部分はこれにあたります。
 
肺梗塞症は、肺塞栓症によって肺組織への血流が途絶え、その結果、その部分から先の肺が壊死(組織が死んでしまうこと)してしまった状態をいいます。


どのようにして起こるの?

最も多いのは、下肢の静脈内でできた血栓が原因となるものです。近年問題になっている、いわゆる「エコノミークラス症候群」もこのひとつです。
 
海外旅行などで長時間飛行機に乗ると、座ったままで長時間同じ姿勢を保つため、下肢の深部静脈で血液が固まり血栓ができます。飛行機から降りようと立ち上がった時に、血栓が血液の流れに乗って移動し、肺動脈を閉塞するというものです。

病気や手術のため長い間寝たきりの人なども、同じように下肢静脈での血液の流れが悪くなり、血栓をつくりやすい傾向にあります。

予防としては下肢の屈伸運動をしたり、長時間の座位を避けるようにする、脱水にならないように水分を十分に摂るようにするなどがあげられます。


どんな症状?


肺血栓塞栓症の3つの徴候として、突然の胸痛、呼吸困難、頻呼吸(呼吸が浅く回数が多い)があげられます。血栓が小さい場合には症状がないこともありますが、血栓が大きく、太い血管に詰まった場合には、ショック状態となり死に至ることもあります。
 
肺梗塞症を合併すると胸痛のほかに、血痰(けったん)や発熱、発汗が現れます。


治療の方法は?

発症直後の治療としては、基本的にヘパリンなどの血液が固まらないようにする抗凝固薬を点滴静注で使います。重症の場合には組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)といった血栓を溶かす薬(血栓溶解薬)を使って積極的に治療します。そのほかに、手術やカテーテルで血栓を取り除く方法もあります。

肺血栓塞栓症は再発が多く発症すると命に関わることがあるため、病状安定後であっても予防的治療として抗凝固薬(ワルファリン)の内服を少なくとも3カ月、危険因子をもつ人は一生涯服用します。下大静脈にフィルターを留置して肺動脈に血栓が流れ込むのを予防する方法もあります。


当院にお越しになった患者さんは、左のヒラメ筋の静脈瘤で生じた血栓が右の肺につまり(梗塞)、右肺が萎縮してしまっています。

現在は病院からワルファリンを処方されて、40日に1回薬の効果を判定する検査を受けているのですが、医師の思うように血栓が減っていないようです。


明日は「肺性心」を紹介します。
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