2016/1/21
バス事故で気になったこと、考えたこと 気になったニュース
先日の軽井沢のバス事故では15人もの死者が出て、助かった乗客の殆ども重軽傷を負う大惨事となった。過去の事故を受けて、これまで何度か法改正が行われ、規制も厳しくなり、安全対策も練られて来たと思うが、再び今回のような事故が起きてしまった(未来ある若者が多数犠牲になったのは本当に痛ましい。お子さんを失った親御さんの悲嘆は察して余りある。ウチの息子も深夜バスは何度も利用して来たので、今回の事故はけっして他人事ではない。コスパ優先で新幹線より長距離深夜バスを選びたがる息子とは、よく言い争いになったものだ)。
今回の事故で改めて露わになったのは、こうした長距離バス運行会社の綱渡り経営だ。ツアー会社からの下請けで、経営的にギリギリのところで人材確保にもきゅうきゅうとしている構図が浮かび上がっている。そこでお座なりにされたのが、本来なら最も優先されるべき運行の安全性だったのだろう。
既にニュースでも触れられているのだろうが、バス事故が増えている原因のひとつに運転手の高齢化があると思う。運転中に体調不良に陥るケースが増えているのではないか?また今回亡くなった運転手のように、リタイヤ後の人生が長くなり、老後の生活の糧に運転手になる人もいて、高齢の運転手であっても、必ずしもベテランとは限らないようでもある。
運転手の高齢化と言う点では、私が普段利用するバス会社も運転手は見たところ50代のベテランが多く、ここ何年も運転手の求人広告が車内に貼られたままだが、若い人の新規参入は殆ど見たことがない。寧ろ最近は、30〜40代の女性運転手が増えているくらいだ。
イマドキの若い男の子は(特に公共交通機関の発達した都会では)、そもそも昔のように自動車への憧れもないし、バスの運転手に仕事としての魅力を感じないのだろうか?とは言え、仕事は生活の糧を得る手段でもある。
最近は若者の非正規雇用による低収入が問題になっている。それが非婚化、ひいては少子化の一因になっているとされる。バスの運転手の収入は他業種に比べてそんなに悪くないし、私が利用しているバス会社の場合、正規雇用である。それなのに、人が集まらないのはどうしてか?目の前に人参がぶら下がっているのに、なぜ食いつこうとしないのか?(大人になっても親の収入を当てにして、いつまでも夢を追いかけたり<本来、夢を追いかけるなら、それなりの努力と覚悟が必要>、「自分探し」と称して自立を先送りしたり、仕事を選り好みしている若者が多いのだろうか?それとも現代の格差社会では、バスの運転手を務められるような<教育レベルの>中間層が薄くなっているのか?)。
言うまでもなく、社会はさまざまな職業で成り立っている。それぞれの職業に、個々の能力や適性に応じて、満遍なく働き手が揃わないと、社会はうまく機能しなくなってしまう。バス業界に若い世代を誘い込むにはどうしたら良いのだろう?
政府は一億総活躍社会を謳っているから、バスの運転手の世界にも、女性の進出が今後増えるのだろうか?すでに海外では、女性のバスの運転手の比率は高いようだし、同じ大型免許でも女性のトラック運転手は、日本でも増えているようである。
中流以下の専業主婦は高度経済成長が生み出した副産物で、それ以前は女性も有産階級でない限り男性と同等に働くことが当たり前だったとは言え、男性より女性の方が労働力として当てになる現代社会って…大家族同居の昔と違い核家族化が進んでいる今、子供を産み育てながら働ける環境を社会全体で真剣に整備しないと、ますます少子化が進行してしまいそうだ。
今回の事故で改めて露わになったのは、こうした長距離バス運行会社の綱渡り経営だ。ツアー会社からの下請けで、経営的にギリギリのところで人材確保にもきゅうきゅうとしている構図が浮かび上がっている。そこでお座なりにされたのが、本来なら最も優先されるべき運行の安全性だったのだろう。
既にニュースでも触れられているのだろうが、バス事故が増えている原因のひとつに運転手の高齢化があると思う。運転中に体調不良に陥るケースが増えているのではないか?また今回亡くなった運転手のように、リタイヤ後の人生が長くなり、老後の生活の糧に運転手になる人もいて、高齢の運転手であっても、必ずしもベテランとは限らないようでもある。
運転手の高齢化と言う点では、私が普段利用するバス会社も運転手は見たところ50代のベテランが多く、ここ何年も運転手の求人広告が車内に貼られたままだが、若い人の新規参入は殆ど見たことがない。寧ろ最近は、30〜40代の女性運転手が増えているくらいだ。
イマドキの若い男の子は(特に公共交通機関の発達した都会では)、そもそも昔のように自動車への憧れもないし、バスの運転手に仕事としての魅力を感じないのだろうか?とは言え、仕事は生活の糧を得る手段でもある。
最近は若者の非正規雇用による低収入が問題になっている。それが非婚化、ひいては少子化の一因になっているとされる。バスの運転手の収入は他業種に比べてそんなに悪くないし、私が利用しているバス会社の場合、正規雇用である。それなのに、人が集まらないのはどうしてか?目の前に人参がぶら下がっているのに、なぜ食いつこうとしないのか?(大人になっても親の収入を当てにして、いつまでも夢を追いかけたり<本来、夢を追いかけるなら、それなりの努力と覚悟が必要>、「自分探し」と称して自立を先送りしたり、仕事を選り好みしている若者が多いのだろうか?それとも現代の格差社会では、バスの運転手を務められるような<教育レベルの>中間層が薄くなっているのか?)。
言うまでもなく、社会はさまざまな職業で成り立っている。それぞれの職業に、個々の能力や適性に応じて、満遍なく働き手が揃わないと、社会はうまく機能しなくなってしまう。バス業界に若い世代を誘い込むにはどうしたら良いのだろう?
政府は一億総活躍社会を謳っているから、バスの運転手の世界にも、女性の進出が今後増えるのだろうか?すでに海外では、女性のバスの運転手の比率は高いようだし、同じ大型免許でも女性のトラック運転手は、日本でも増えているようである。
中流以下の専業主婦は高度経済成長が生み出した副産物で、それ以前は女性も有産階級でない限り男性と同等に働くことが当たり前だったとは言え、男性より女性の方が労働力として当てになる現代社会って…大家族同居の昔と違い核家族化が進んでいる今、子供を産み育てながら働ける環境を社会全体で真剣に整備しないと、ますます少子化が進行してしまいそうだ。
2016/1/19
2015年後半を振り返る(2)<10〜12月の鑑賞記録> 映画(今年公開の映画を中心に)
引き続き10月から12月の鑑賞記録。
★1点、☆0.5点で、★★★☆以上の作品なら「見て損はない」だろうか?基本的に映画大好き人間なので、「どんな作品にも創られた意味がきっとあるはず」「作り手の思いが込められている」と言う前提で、評価は全体的に甘めかもしれない。月間ベスト作品には
を付けている。
青色表記は邦画、オレンジ色は邦画以外のアジア映画、それ以外は洋画等。邦画以外の作品についてはタイトルの後に原題も付記。タイトルにアンダーラインの付いている作品は当ブログ内にレビューあり。失礼ながら文中の人物は敬称を省略させていただいている。
【10月 10本】
(26)マイ・インターン(THE INTERN) ★★★★
:アン・ハサウエイとロバート・デ・ニーロの共演でも注目された本作。デ・ニーロの役は元々ジャック・ニコルソンにオファーがあり、彼が断った為、デ・ニーロに回って来たらしい。老境に入ったデ・ニーロは、それまでの強面の役柄から、今回のようなコメディ路線までこなせるようになり、役の幅が広がったと思う。アカデミー賞受賞後の出演作に苦慮している女優が多い中、ハサウエイは今の自分にぴったりな役柄を得て生き生きとして見えた。異なる世代間の交流と協力によって、直面する問題の打開策を見出すと言うストーリーは、幅広い年齢層の支持を得ると思う。それはそのまま社会の本来あるべき姿でもあるからだ。
(27)図書館戦争 ラスト・ミッション ★★★☆:作品の映像化が相次ぐ人気作家、有川浩(ありかわひろ=女性)原作の映画化作品の第2弾。言論弾圧に動く政府直轄の"メディア良化隊"の攻撃から「言論の自由」を守る牙城として存在する図書館。その図書館を武装して守る"図書隊"と"メディア良化隊"との「戦争」を描く。劇画的味付けの作品ではあるが、描かれていることの意味は深い。
(28)岸辺の旅 ★★★☆:第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で監督賞を受賞した本作。しかし、このカンヌと言うのが案外クセもので、映画の芸術性に重きを置いた選考なので、"分かり易さ"を求める一般的な映画ファンの期待を裏切ることが多い。だからカンヌ受賞作の謳い文句に惹かれて映画館を訪れた人の中には、その"分かりにくさ"に戸惑う人も少なくないのだろう。タイトル「岸辺の旅」の岸とは"彼岸"のこと。亡くなってから3年後に突然姿を現した夫の亡霊(浅野忠信)を違和感なく受け入れる妻(深津絵里)。夫婦二人で、妻の知らぬ場所で客死した夫の失踪中の足跡を辿る旅をする。終始一貫、静かで不思議で不気味な空気感が漂う。妻も夫と共に彼岸の周辺を彷徨っていたのか?非日常感を味わうと言う意味では、映画らしい醍醐味の作品。
(29)アデライン〜100年目の恋(THE AGE OF ADALINE) ★★★★:主演のブレイク・ライヴリーは、今やNYのセレブ高校生達の生態を描いたテレビドラマ「ゴシップガール」でブレイクした女優として知られているが、私にとっては「旅するジーンズと16歳の夏」の彼女が馴染み深い。当時の彼女はサッカーに夢中な普通の女子高生だった。インタビューでも「本格的に女優の道を目指すかどうか分からない」と答えていたのだ。それが今や堂々たる人気女優である。本作は100年以上不老の状態で生き続けた美しい女性の物語。不老不死は人間が叶えたくても叶えられない夢のひとつだが、実際に叶うと、必ずしも幸福をもたらすものではないのかもしれない。そのことを実感させる作品。人生にはいつか終わりがあるから、私達は今を生きていられるのかもしれない。
(30)バクマン ★★★★:あの「DEATH NOTE」を手掛けたコンビ、大場つぐみ(原作)と小畑健(作画)による人気漫画の実写化。プロの漫画家を目指す高校生コンビの苛烈な生き様を描く。その猛烈ぶりに、早死にした人気漫画家達の生前の苦闘が忍ばれる(正に命を削って漫画を描いていたんだなと)。今をときめく若手俳優陣(佐藤健、神木隆之介、染谷将太)の競演も見もの。
(31)ジョン・ウィック(JOHN WICK) ★★★:キアヌ・リーブス主演のアクション映画。最愛の妻を喪い、妻の忘れ形見である犬と二人で暮らす元殺し屋。その彼を本気で怒らせたロシアン・マフィアの運命はいかに?と言う展開のドラマなのだが、いろいろな意味で新味に乏しい。それでもキアヌ人気?で続編制作が決定らしい。
(32)天空の蜂 ★★★☆:当代随一の人気作家、東野圭吾原作小説の映画化。原発利権蠢く日本では映像化が難しいとされていた本作だが、5年前の東日本大震災での原発事故を機に、原発の危険性、テロに対する脆弱性を描くタブーは解禁されたようだ。日本発のアクション映画としては、それなりに出来の良い作品と言えるのではないか(それでもまだまだ米国やお隣の韓国の作品には見劣りする)?原作は20年前に刊行されたものだが、日本メーカーによる大型ヘリの開発(三菱重工による国産旅客機の開発)や原発へのテロの脅威など、東野氏の理系出身の作家らしい先見の明に驚かされる。
(33)アクトレス〜女たちの舞台(SILS MARIA/CLOUDS OF SILS MARIA) ★★★★:仏独スイス合作映画。これはジュリエット・ビノシュありきの作品。彼女の成熟した女性としての美しさ(衰えの美、と言うのもある)と堂々たる大女優の貫録で魅せてくれる。ほぼスイスの山間の街や山荘を舞台に物語は展開し、台詞劇と言っても良い趣。だからこそ、彼女の存在感と演技力が光る。原題はスイスのある地方に、ある期間だけ見られる自然現象を指す。雲海が谷間を通り抜けるその現象は、それをビノシュが高台から見下ろす形で作品にも登場する。
(34)ヒトラー暗殺 13分の誤算(ELSER/13 MINUTES) ★★★★:史実に基づくドイツ映画。ヒトラー暗殺を単独で企てた男がヒトラー暗殺を企てるに至った経緯と逮捕後の様子を交互に描いて、独裁政権下の時代の空気を映し出す。ごく普通の手先の器用な男性が、独裁者を暗殺する為に爆弾を製作するまでに至ったところに、普通の人生、普通の暮らしを奪われた男性の悲しみと怒りの深さを感じる。極限状況下に置かれると、人間の理性に獣性が勝ることの恐ろしさや虚しさも感じた。善良で控えめな人間ほど、時代の横暴に蹂躙されるのだろう。
(39)エール!(LA FAMILLE BELIER/THE BELIER FAMILY) ★★★★
:フランス映画。原題はヒロイン一家の名前。いつも邦題と原題の乖離には戸惑ってしまう。フランスの田舎町で農業を営む一家。ヒロイン以外は全員が聾唖者と言う家族の中で、ヒロインの役割は家族と社会の橋渡し役である。そんな彼女が歌の才能を見出され、パリの音楽院で学ぶチャンスが訪れる。ストーリー展開は凡庸だが、普遍的な温かな家族愛を描いて、本国でも人気を博したのは分かるような気がする。見終わった後に、わが子の巣立ちを応援する親の愛など、自分自身に投影してしみじみとした気分になった。

【11月 10本】
(40)サバイバー(SURVIVOR) ★★★☆:ミラ・ジョボヴィッチ主演のサスペンス映画。ミラ演じるヒロインは国務省の優れた情報分析官で、ロンドンの米大使館に赴任する。米国へのテロを画策するテロリスト達の米国への侵入を、的確な情報分析で未然に防ぐ、水際でくい止めるのが彼女の仕事なのだが、これがいろいろと大変で(テロリストの人物像も本当にさまざまで、絞り込むのが難しい)、正に命懸けなのだ。誰を信じ誰を疑うか、疑心暗鬼の中で、ヒロインは戦い続ける。エンドロールで彼女のような情報分析官らの活躍により、9.11以降、50件あまりのテロを未然に防げたとのテロップが流れ、その現実感に戦慄する。米国は本当に敵が多いと言うか、人の恨みを買っている国なんだなと思う。
(41)トランスポーター イグニッション(THE TRANSPORTER REFUELED) ★★★:主演も新たにキャストの若返りを図った人気シリーズの最新作。しかし、本職は人気ラッパーだと言う新ヒーローは、スタイリッシュでクールでセクシー(女性ファンの心を鷲掴み・笑)だったジェイソン・ステイサムの初登場時のインパクトを超えられない。トランスポーターと言えばイコール、ジェイソンと言うイメージだ。これはジェイソンを凌駕するような新人の登場でもない限り、変えられない。
(42)グラス・ホッパー ★★★:映像化が多い人気作家の伊坂幸太郎の原作と聞いて期待したが、肩透かしをくらった感じ(過去には「アヒルと鴨のコインロッカー」「重力ピエロ」「フィッシュストーリー」「ゴールデン・スランバー」etcと面白い作品が目白押しなのだ)。稀代のストーリーテラーの原作の良さを生かしきれなかったのか?(殺し屋同士が対決する)サイドストーリーの盛り上がりに比べ、主演(生田斗真)の存在感の希薄さが気になった。
(43)サヨナラの代わりに(YOU'RE NOT YOU) ★★★★:
若くして米アカデミー賞を2度も受賞している演技派ヒラリー・スワンク主演のヒューマン・ドラマ。才能に恵まれ、優しく有能な夫と幸せに暮らしていたヒロインを突然病魔が襲う。病気の進行で全面的な介護を必要とし、人生に絶望した彼女の前に介護役として現れたのは貧しい女子学生。あまりにも育った環境が違い過ぎる二人で上手くやって行けるのか、観客は固唾を飲んで見守るのだ。病を得たことで失ったものの大きさと、新たに得たものの尊さ。自分の余命を知った後の生き方や命の尊厳について、改めて考えずにはいられない作品。
(44)コードネーム〜UNCLE(THE MAN FROM U.N.C.L.E.) ★★★★:冷戦時代の米ソのスパイが協力して、国際的な悪の組織に立ち向かうスパイ・アクション。設定からして荒唐無稽だが、ガイ・リッチー監督の持ち味が生かされたスタイリッシュで軽快な本作は、笑える小ネタも満載で最初から最後まで楽しめる。
(45)尚衣院〜サンイウォン ★★★★☆
:タイトルの尚衣院とは、朝鮮王室の衣服を誂える部署のこと。その尚衣院を舞台に愛憎渦巻く人間ドラマが展開する。幼い頃から研鑽に励み、確かな技術を身に付けた尚衣院の仕立て師(ハン・ソッキュ)の前に現れたのは、奔放で天才肌の職人(コ・ス)だった。長い時間をかけて王の信頼を勝ち得た仕立て師にとって、女遊びに興じながら、次々と斬新なデザインを生み出す職人の才能は脅威でしかなかった。その職人が才能を認められ王室に出入りするようになり、仕立て師の焦燥と嫉妬は募る一方だ。そうした二人のライバル関係に王室の複雑な事情も絡み合って、物語は思わぬ展開を見せて行く。誰かが指摘していたように、これは正にサリエリとモーツァルトを連想させる"才能への愛と憎しみ"の物語だ。今回もまた、長尺ながら一切の中だるみもなく、スリリングな展開で観客を惹きつけて止まない韓国映画の演出の巧みさには脱帽だ。登場する衣装も絢爛豪華で美しい。
(46)Re:LIFE〜リライフ(THE REWRITE) ★★★★☆
:ハリウッドでの活躍も最早過去の栄光となった中年の脚本家が、新たに得た仕事は東海岸の小さな大学での教職。当初は学生相手にシナリオの書き方を嫌々指導していた彼も、さまざまな背景を持つ学生との触れ合いから、徐々に教職にやりがいを見出してゆく。やさぐれた主人公の脚本家をヒュー・グラントが演じて、その姿に時の流れを感じると同時に、彼のどこか脱力した軽妙な持ち味が主人公のキャラによく嵌って、作品としては楽しい仕上がりであった。長年のファンとしては、もっとヒュー・グラントの活躍を見たいところ。
(47)ミケランジェロ・プロジェクト(THE MONUMENTS MEN) ★★★☆:これも原題と邦題との乖離が甚だしい。原題のTHE MONUMENTS MENは先の大戦時にナチスドイツによって収奪された美術品を奪還すべく暗躍した実在の人物達の呼び名だ。監督も務めたジョージ・クルーニーを筆頭に、マット・デイモン、ビル・マーレイ、ジョン・グッドマンとキャスティングは豪華で、取り上げたテーマも興味深いものだが、いかんせん演出が平板で盛り上がりに欠ける。メンバーが死ぬ場面など、悲しみや憤りが湧き上がるべきところだと思うが、描き方があっさりし過ぎて今一つ感情移入できなかった。監督の演出力の問題かなと思う。作り方次第で幾らでもドラマチック(もっと印象深い仕上がり)になったであろうに、けっして作品として面白くないわけではないが、素材を生かしきれなかった残念さがある。
(48)007 スペクター(SPECTRE) ★★★★:ダニエル・ボンド最後の作品になるであろうと言われる本作。前作に引き続きサム・メンデス監督は過去のシリーズ作品で見られたような軽妙さを抑え、あくまでもハードボイルドタッチで、007の活躍を描く。尤も、本作のように度々主演・監督を変えて長期に渡るシリーズとなると、描かれる人物像も時代の空気を色濃く反映したものになるのは当然か?今は現実の世界が相次ぐテロや紛争で重苦しい雰囲気を湛えているがゆえに、ボンド映画にもかつてのような軽妙さを許さない。主役はもちろん、ボンド・ガール像にも隔世の感がある。その重みも変化した。片や美しくセクシーだが若くはない。片や若いがセクシーさに欠ける。どちらも些かインパクトに欠ける。そのせいか、ボンドとの絡みも中途半端で、ボンドとボンド・ガールとの関係性に説得力がない。それでも豪華な仕掛けと「女王陛下の007」としての品格で、本作の王道のスパイ映画としての地位は揺るがない。とりわけ映画冒頭のアクションシーンは圧巻だ。もしかしたらそのシーンが、私の中では興奮度MAXだったかも(笑)。
(49)黄金のアデーレ(WOMAN IN GOLD) ★★★★☆
:昨年は戦後70年の節目と言うことで、先の大戦時を振り返る作品が数多作られた。本作もそのひとつだ。ユダヤ人所有の美術品がナチス・ドイツによって収奪されたエピソードを描いた作品と言えば、最近では「ミケレンジェロ・プロジェクト」があるが、本作は米国人による作品の奪還を描いた冒険活劇風味の「ミケランジェロ・プロジェクト」よりも、ユダヤ人の気高さと知性と粘り強さを描いたと言う意味で、2010年に製作された「ミケランジェロの暗号」にテイストが近い。ユダヤ民族の成功のバックボーンにあるのは、「他者の妬みを買うほどの勤勉さ」と、「教育の重要性を他の誰よりも認識して子弟の教育に力を注いだこと」だと思う。大戦時のユダヤ人を描いた作品では、2006年のポール・ヴァーホーヴェン監督作「ブラック・ブック」も併せて見ていただきたい作品である。

【12月 9本】
(50)ハッピーエンドの選び方(MITA TOVA/THE FAREWELL PARTY) ★★★☆:なかなか見る機会のないイスラエル映画。チネチッタに感謝である。かつて私が住んでいた中東の都市ではイスラエルのテレビも見ることが出来た。ただし理解できるのは挨拶の「シャローム」だけ。「神のご加護がありますように」と言う意味だ。本作はイスラエルの老人ホームが舞台。自身の死が間近に迫っていることを悟った男性が、友人に安楽死させてくれるよう頼むところから物語は動き出す。イスラエルの老人と言えば、あのホロコーストを生き抜いて来た人々のはず。しかもユダヤ教徒である。それでも安楽死を望むところに、彼らが直面する現実の厳しさを感じずにはいられない。それなりに葛藤を経てとは言え、最終的には安楽死を承諾する家族の姿に、違和感を覚える日本人も多いのではないだろうか?日本は本人が望まなくても、あらゆる手段を講じて家族が延命させるケースが少なくない国である。死する時は天命に委ねるべきか?自ら決めるべきか?それとも、家族が決めることなのか?簡単には答えの出ない難しい問題である。
(51)FOUJITA ★★★☆ 20世紀前半、エコール・ド・パリで活躍した日本人画家、藤田嗣治の伝記映画。藤田を演じたオダギリジョーが醸し出す品の良さが、さまざまな文献資料から垣間見える藤田本人の雰囲気をよく伝えていたと思う。しかし、小栗康平監督の持ち味でもある暗い色調の画面を見続ける集中力が続かず、時々失念してしまった(汗)。
(52)私はマララ(HE NAMED ME MALALA) ★★★★
:マララ嬢の懸命の努力にも関わらず、先日も彼女の母国で大学が襲撃され、大勢の学生が殺害される事件が起きた。教育の破壊者は、教育の力を最も恐れている者だ。自分達の劣勢を、暴力で巻き返そうとしているに過ぎない。それが虚しい行為であることに気付かないほど愚かなのか、或いは分かっていながら敢えて目をそむけているだけなのか?いずれにしても、正義は教育の普及活動を積極的に推し進めるマララ嬢の側にある。
(53)海難1890 ★★★★:1890年に起きた和歌山近海でのトルコ軍艦エルトゥールル号遭難事故から125年経ったのを記念して、後に長年に渡る日本とトルコの友好関係のきっかけとなった当時の経緯を克明に映像化した日本とトルコ両国による合作。自分達が日々食べる物にも事欠く貧しい漁村の人々が懸命に遭難者を救助し、故国に帰国するまで村総出で世話を続けた姿には胸を打たれた。奇しくもその95年後にはイラン・イラク戦争に巻き込まれたイラン在住日本人が、トルコの救援機によってイラン脱出を果たすのだが、ここではイラン在住のトルコ人市民の扶助精神に感銘を受けるのだった。何れの時代も民衆レベルで助け合う姿が印象的だ。エンドロールではトルコのエルドアン大統領自ら出演してメッセージを寄せているのに、日本の首相の顔が見えないのは、日本トルコの友好関係を記念しての合作映画だけに残念だった。
(54)Orange ★★★☆:人気漫画の映画化。主演の土屋太鳳と山崎賢人は朝ドラに続いての共演。この世代に他に目ぼしい俳優はいないのだろうか?それはさておき、二人は醸し出す清潔感で、20歳過ぎながら高校生の役を演じても違和感がない。土屋太鳳は相変わらず声が小さく、か細い。今は若さで許されるが、今後年を重ねて行った場合、女優としてどうなのか?活躍の場として、テレビはともかく舞台は無理だろうなあ。物語は「過去の自分」から届いた手紙に書かれた"願い"に応える形で進む。奇想天外な話だが、SFかファンタジーとして受け止めれば、どうにかついて行けそうだ。ファンタジーだから、根っからの悪人は登場しない。ヒロインを取り巻く友人達も皆いい子ばかりだ。物語の結末も、女子中高生達の願望を叶える形?での着地で、大人にはちょっと物足りないかな(笑)。
(55)I love スヌーピー(THE PEANUTS MOVIE) ★★★☆ 私も10代の頃に一端の見栄を張って、スヌーピーのペーパーバッグを買ったっけ。漫画のスヌーピーが動画になって縦横無尽に動き回るさまには、ちょっと不思議さと違和感を覚えた。映画館には映画公開に合わせて、スヌーピーの等身大?のぬいぐるみが飾られていた。正直、あまり可愛くなかった。それでもスヌーピー愛に変わりはない。劇場内には、かつて子供だった人達が大勢、リアル子供達に混じって、スクリーンの中のスヌーピーやチャーリー・ブラウン達の姿に見入っていた。見るからに幸せな光景だ。
(56)完全なるチェックメイト(PAWN SACRIFICE) ★★★★
:米ソ冷戦時代にチェスで繰り広げられた代理戦争を描く。トビー・マグワイヤ演じる主人公が、勝利に拘るあまりエキセントリックな言動を続けるところに、正気と狂気のギリギリのバランスで生きる天才の生き辛さを感じずにはいられなかった。エンドロールで流れる実際の本人の晩年の映像が、その印象を決定づけたと言っても良い。結局、主人公もロシア系と言うことで、チェスによる代理戦争は実質ロシア人の独壇場ではないかと思った。米国はさまざまな民族の才能を吸い取って成長し続ける国と言うことなんだろう。
(57)母と暮らせば ★★★☆:山田洋二監督作品。台詞は不自然だし、(舞台劇ならともかく)吉永小百合は相変わらず年齢不詳の聖母を演じているし、加藤健一を除く出演者の長崎弁はお世辞にも上手いとは言えないのだが、大学で講義を受けている主人公が原爆で命を落とす瞬間の描写が秀逸。このシーンを見ただけでも、本作を見て良かったと思う。容赦なく人々の命を奪う原爆の残酷さと恐ろしさと無慈悲さを見事に表現している。誰もがこれまでに何度も目にしたであろう、あのきのこ雲の下で、何が起きていたのか?それをほんの数秒のシーンでイマジネーション豊かに描いている。これぞ映像の力である。
(58)サンローラン(SAINT LAURENT) ★★★☆:サンローランものの映画作品は本作を含めて3本見た。本作はその中で最も作家性の強い作品なのかもしれない。サンローランの天才性の反面にある退廃性が耽美的な映像で表現されていたのが印象的。天才の脆さと凄みがスクリーン越しにビンビン伝わって来る。
★1点、☆0.5点で、★★★☆以上の作品なら「見て損はない」だろうか?基本的に映画大好き人間なので、「どんな作品にも創られた意味がきっとあるはず」「作り手の思いが込められている」と言う前提で、評価は全体的に甘めかもしれない。月間ベスト作品には

青色表記は邦画、オレンジ色は邦画以外のアジア映画、それ以外は洋画等。邦画以外の作品についてはタイトルの後に原題も付記。タイトルにアンダーラインの付いている作品は当ブログ内にレビューあり。失礼ながら文中の人物は敬称を省略させていただいている。
【10月 10本】
(26)マイ・インターン(THE INTERN) ★★★★

(27)図書館戦争 ラスト・ミッション ★★★☆:作品の映像化が相次ぐ人気作家、有川浩(ありかわひろ=女性)原作の映画化作品の第2弾。言論弾圧に動く政府直轄の"メディア良化隊"の攻撃から「言論の自由」を守る牙城として存在する図書館。その図書館を武装して守る"図書隊"と"メディア良化隊"との「戦争」を描く。劇画的味付けの作品ではあるが、描かれていることの意味は深い。
(28)岸辺の旅 ★★★☆:第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で監督賞を受賞した本作。しかし、このカンヌと言うのが案外クセもので、映画の芸術性に重きを置いた選考なので、"分かり易さ"を求める一般的な映画ファンの期待を裏切ることが多い。だからカンヌ受賞作の謳い文句に惹かれて映画館を訪れた人の中には、その"分かりにくさ"に戸惑う人も少なくないのだろう。タイトル「岸辺の旅」の岸とは"彼岸"のこと。亡くなってから3年後に突然姿を現した夫の亡霊(浅野忠信)を違和感なく受け入れる妻(深津絵里)。夫婦二人で、妻の知らぬ場所で客死した夫の失踪中の足跡を辿る旅をする。終始一貫、静かで不思議で不気味な空気感が漂う。妻も夫と共に彼岸の周辺を彷徨っていたのか?非日常感を味わうと言う意味では、映画らしい醍醐味の作品。
(29)アデライン〜100年目の恋(THE AGE OF ADALINE) ★★★★:主演のブレイク・ライヴリーは、今やNYのセレブ高校生達の生態を描いたテレビドラマ「ゴシップガール」でブレイクした女優として知られているが、私にとっては「旅するジーンズと16歳の夏」の彼女が馴染み深い。当時の彼女はサッカーに夢中な普通の女子高生だった。インタビューでも「本格的に女優の道を目指すかどうか分からない」と答えていたのだ。それが今や堂々たる人気女優である。本作は100年以上不老の状態で生き続けた美しい女性の物語。不老不死は人間が叶えたくても叶えられない夢のひとつだが、実際に叶うと、必ずしも幸福をもたらすものではないのかもしれない。そのことを実感させる作品。人生にはいつか終わりがあるから、私達は今を生きていられるのかもしれない。
(30)バクマン ★★★★:あの「DEATH NOTE」を手掛けたコンビ、大場つぐみ(原作)と小畑健(作画)による人気漫画の実写化。プロの漫画家を目指す高校生コンビの苛烈な生き様を描く。その猛烈ぶりに、早死にした人気漫画家達の生前の苦闘が忍ばれる(正に命を削って漫画を描いていたんだなと)。今をときめく若手俳優陣(佐藤健、神木隆之介、染谷将太)の競演も見もの。
(31)ジョン・ウィック(JOHN WICK) ★★★:キアヌ・リーブス主演のアクション映画。最愛の妻を喪い、妻の忘れ形見である犬と二人で暮らす元殺し屋。その彼を本気で怒らせたロシアン・マフィアの運命はいかに?と言う展開のドラマなのだが、いろいろな意味で新味に乏しい。それでもキアヌ人気?で続編制作が決定らしい。
(32)天空の蜂 ★★★☆:当代随一の人気作家、東野圭吾原作小説の映画化。原発利権蠢く日本では映像化が難しいとされていた本作だが、5年前の東日本大震災での原発事故を機に、原発の危険性、テロに対する脆弱性を描くタブーは解禁されたようだ。日本発のアクション映画としては、それなりに出来の良い作品と言えるのではないか(それでもまだまだ米国やお隣の韓国の作品には見劣りする)?原作は20年前に刊行されたものだが、日本メーカーによる大型ヘリの開発(三菱重工による国産旅客機の開発)や原発へのテロの脅威など、東野氏の理系出身の作家らしい先見の明に驚かされる。
(33)アクトレス〜女たちの舞台(SILS MARIA/CLOUDS OF SILS MARIA) ★★★★:仏独スイス合作映画。これはジュリエット・ビノシュありきの作品。彼女の成熟した女性としての美しさ(衰えの美、と言うのもある)と堂々たる大女優の貫録で魅せてくれる。ほぼスイスの山間の街や山荘を舞台に物語は展開し、台詞劇と言っても良い趣。だからこそ、彼女の存在感と演技力が光る。原題はスイスのある地方に、ある期間だけ見られる自然現象を指す。雲海が谷間を通り抜けるその現象は、それをビノシュが高台から見下ろす形で作品にも登場する。
(34)ヒトラー暗殺 13分の誤算(ELSER/13 MINUTES) ★★★★:史実に基づくドイツ映画。ヒトラー暗殺を単独で企てた男がヒトラー暗殺を企てるに至った経緯と逮捕後の様子を交互に描いて、独裁政権下の時代の空気を映し出す。ごく普通の手先の器用な男性が、独裁者を暗殺する為に爆弾を製作するまでに至ったところに、普通の人生、普通の暮らしを奪われた男性の悲しみと怒りの深さを感じる。極限状況下に置かれると、人間の理性に獣性が勝ることの恐ろしさや虚しさも感じた。善良で控えめな人間ほど、時代の横暴に蹂躙されるのだろう。
(39)エール!(LA FAMILLE BELIER/THE BELIER FAMILY) ★★★★




【11月 10本】
(40)サバイバー(SURVIVOR) ★★★☆:ミラ・ジョボヴィッチ主演のサスペンス映画。ミラ演じるヒロインは国務省の優れた情報分析官で、ロンドンの米大使館に赴任する。米国へのテロを画策するテロリスト達の米国への侵入を、的確な情報分析で未然に防ぐ、水際でくい止めるのが彼女の仕事なのだが、これがいろいろと大変で(テロリストの人物像も本当にさまざまで、絞り込むのが難しい)、正に命懸けなのだ。誰を信じ誰を疑うか、疑心暗鬼の中で、ヒロインは戦い続ける。エンドロールで彼女のような情報分析官らの活躍により、9.11以降、50件あまりのテロを未然に防げたとのテロップが流れ、その現実感に戦慄する。米国は本当に敵が多いと言うか、人の恨みを買っている国なんだなと思う。
(41)トランスポーター イグニッション(THE TRANSPORTER REFUELED) ★★★:主演も新たにキャストの若返りを図った人気シリーズの最新作。しかし、本職は人気ラッパーだと言う新ヒーローは、スタイリッシュでクールでセクシー(女性ファンの心を鷲掴み・笑)だったジェイソン・ステイサムの初登場時のインパクトを超えられない。トランスポーターと言えばイコール、ジェイソンと言うイメージだ。これはジェイソンを凌駕するような新人の登場でもない限り、変えられない。
(42)グラス・ホッパー ★★★:映像化が多い人気作家の伊坂幸太郎の原作と聞いて期待したが、肩透かしをくらった感じ(過去には「アヒルと鴨のコインロッカー」「重力ピエロ」「フィッシュストーリー」「ゴールデン・スランバー」etcと面白い作品が目白押しなのだ)。稀代のストーリーテラーの原作の良さを生かしきれなかったのか?(殺し屋同士が対決する)サイドストーリーの盛り上がりに比べ、主演(生田斗真)の存在感の希薄さが気になった。
(43)サヨナラの代わりに(YOU'RE NOT YOU) ★★★★:
若くして米アカデミー賞を2度も受賞している演技派ヒラリー・スワンク主演のヒューマン・ドラマ。才能に恵まれ、優しく有能な夫と幸せに暮らしていたヒロインを突然病魔が襲う。病気の進行で全面的な介護を必要とし、人生に絶望した彼女の前に介護役として現れたのは貧しい女子学生。あまりにも育った環境が違い過ぎる二人で上手くやって行けるのか、観客は固唾を飲んで見守るのだ。病を得たことで失ったものの大きさと、新たに得たものの尊さ。自分の余命を知った後の生き方や命の尊厳について、改めて考えずにはいられない作品。
(44)コードネーム〜UNCLE(THE MAN FROM U.N.C.L.E.) ★★★★:冷戦時代の米ソのスパイが協力して、国際的な悪の組織に立ち向かうスパイ・アクション。設定からして荒唐無稽だが、ガイ・リッチー監督の持ち味が生かされたスタイリッシュで軽快な本作は、笑える小ネタも満載で最初から最後まで楽しめる。
(45)尚衣院〜サンイウォン ★★★★☆

(46)Re:LIFE〜リライフ(THE REWRITE) ★★★★☆

(47)ミケランジェロ・プロジェクト(THE MONUMENTS MEN) ★★★☆:これも原題と邦題との乖離が甚だしい。原題のTHE MONUMENTS MENは先の大戦時にナチスドイツによって収奪された美術品を奪還すべく暗躍した実在の人物達の呼び名だ。監督も務めたジョージ・クルーニーを筆頭に、マット・デイモン、ビル・マーレイ、ジョン・グッドマンとキャスティングは豪華で、取り上げたテーマも興味深いものだが、いかんせん演出が平板で盛り上がりに欠ける。メンバーが死ぬ場面など、悲しみや憤りが湧き上がるべきところだと思うが、描き方があっさりし過ぎて今一つ感情移入できなかった。監督の演出力の問題かなと思う。作り方次第で幾らでもドラマチック(もっと印象深い仕上がり)になったであろうに、けっして作品として面白くないわけではないが、素材を生かしきれなかった残念さがある。
(48)007 スペクター(SPECTRE) ★★★★:ダニエル・ボンド最後の作品になるであろうと言われる本作。前作に引き続きサム・メンデス監督は過去のシリーズ作品で見られたような軽妙さを抑え、あくまでもハードボイルドタッチで、007の活躍を描く。尤も、本作のように度々主演・監督を変えて長期に渡るシリーズとなると、描かれる人物像も時代の空気を色濃く反映したものになるのは当然か?今は現実の世界が相次ぐテロや紛争で重苦しい雰囲気を湛えているがゆえに、ボンド映画にもかつてのような軽妙さを許さない。主役はもちろん、ボンド・ガール像にも隔世の感がある。その重みも変化した。片や美しくセクシーだが若くはない。片や若いがセクシーさに欠ける。どちらも些かインパクトに欠ける。そのせいか、ボンドとの絡みも中途半端で、ボンドとボンド・ガールとの関係性に説得力がない。それでも豪華な仕掛けと「女王陛下の007」としての品格で、本作の王道のスパイ映画としての地位は揺るがない。とりわけ映画冒頭のアクションシーンは圧巻だ。もしかしたらそのシーンが、私の中では興奮度MAXだったかも(笑)。
(49)黄金のアデーレ(WOMAN IN GOLD) ★★★★☆




【12月 9本】
(50)ハッピーエンドの選び方(MITA TOVA/THE FAREWELL PARTY) ★★★☆:なかなか見る機会のないイスラエル映画。チネチッタに感謝である。かつて私が住んでいた中東の都市ではイスラエルのテレビも見ることが出来た。ただし理解できるのは挨拶の「シャローム」だけ。「神のご加護がありますように」と言う意味だ。本作はイスラエルの老人ホームが舞台。自身の死が間近に迫っていることを悟った男性が、友人に安楽死させてくれるよう頼むところから物語は動き出す。イスラエルの老人と言えば、あのホロコーストを生き抜いて来た人々のはず。しかもユダヤ教徒である。それでも安楽死を望むところに、彼らが直面する現実の厳しさを感じずにはいられない。それなりに葛藤を経てとは言え、最終的には安楽死を承諾する家族の姿に、違和感を覚える日本人も多いのではないだろうか?日本は本人が望まなくても、あらゆる手段を講じて家族が延命させるケースが少なくない国である。死する時は天命に委ねるべきか?自ら決めるべきか?それとも、家族が決めることなのか?簡単には答えの出ない難しい問題である。
(51)FOUJITA ★★★☆ 20世紀前半、エコール・ド・パリで活躍した日本人画家、藤田嗣治の伝記映画。藤田を演じたオダギリジョーが醸し出す品の良さが、さまざまな文献資料から垣間見える藤田本人の雰囲気をよく伝えていたと思う。しかし、小栗康平監督の持ち味でもある暗い色調の画面を見続ける集中力が続かず、時々失念してしまった(汗)。
(52)私はマララ(HE NAMED ME MALALA) ★★★★

(53)海難1890 ★★★★:1890年に起きた和歌山近海でのトルコ軍艦エルトゥールル号遭難事故から125年経ったのを記念して、後に長年に渡る日本とトルコの友好関係のきっかけとなった当時の経緯を克明に映像化した日本とトルコ両国による合作。自分達が日々食べる物にも事欠く貧しい漁村の人々が懸命に遭難者を救助し、故国に帰国するまで村総出で世話を続けた姿には胸を打たれた。奇しくもその95年後にはイラン・イラク戦争に巻き込まれたイラン在住日本人が、トルコの救援機によってイラン脱出を果たすのだが、ここではイラン在住のトルコ人市民の扶助精神に感銘を受けるのだった。何れの時代も民衆レベルで助け合う姿が印象的だ。エンドロールではトルコのエルドアン大統領自ら出演してメッセージを寄せているのに、日本の首相の顔が見えないのは、日本トルコの友好関係を記念しての合作映画だけに残念だった。
(54)Orange ★★★☆:人気漫画の映画化。主演の土屋太鳳と山崎賢人は朝ドラに続いての共演。この世代に他に目ぼしい俳優はいないのだろうか?それはさておき、二人は醸し出す清潔感で、20歳過ぎながら高校生の役を演じても違和感がない。土屋太鳳は相変わらず声が小さく、か細い。今は若さで許されるが、今後年を重ねて行った場合、女優としてどうなのか?活躍の場として、テレビはともかく舞台は無理だろうなあ。物語は「過去の自分」から届いた手紙に書かれた"願い"に応える形で進む。奇想天外な話だが、SFかファンタジーとして受け止めれば、どうにかついて行けそうだ。ファンタジーだから、根っからの悪人は登場しない。ヒロインを取り巻く友人達も皆いい子ばかりだ。物語の結末も、女子中高生達の願望を叶える形?での着地で、大人にはちょっと物足りないかな(笑)。
(55)I love スヌーピー(THE PEANUTS MOVIE) ★★★☆ 私も10代の頃に一端の見栄を張って、スヌーピーのペーパーバッグを買ったっけ。漫画のスヌーピーが動画になって縦横無尽に動き回るさまには、ちょっと不思議さと違和感を覚えた。映画館には映画公開に合わせて、スヌーピーの等身大?のぬいぐるみが飾られていた。正直、あまり可愛くなかった。それでもスヌーピー愛に変わりはない。劇場内には、かつて子供だった人達が大勢、リアル子供達に混じって、スクリーンの中のスヌーピーやチャーリー・ブラウン達の姿に見入っていた。見るからに幸せな光景だ。
(56)完全なるチェックメイト(PAWN SACRIFICE) ★★★★

(57)母と暮らせば ★★★☆:山田洋二監督作品。台詞は不自然だし、(舞台劇ならともかく)吉永小百合は相変わらず年齢不詳の聖母を演じているし、加藤健一を除く出演者の長崎弁はお世辞にも上手いとは言えないのだが、大学で講義を受けている主人公が原爆で命を落とす瞬間の描写が秀逸。このシーンを見ただけでも、本作を見て良かったと思う。容赦なく人々の命を奪う原爆の残酷さと恐ろしさと無慈悲さを見事に表現している。誰もがこれまでに何度も目にしたであろう、あのきのこ雲の下で、何が起きていたのか?それをほんの数秒のシーンでイマジネーション豊かに描いている。これぞ映像の力である。
(58)サンローラン(SAINT LAURENT) ★★★☆:サンローランものの映画作品は本作を含めて3本見た。本作はその中で最も作家性の強い作品なのかもしれない。サンローランの天才性の反面にある退廃性が耽美的な映像で表現されていたのが印象的。天才の脆さと凄みがスクリーン越しにビンビン伝わって来る。



2016/1/19
2015年後半を振り返る(1)<7〜9月鑑賞記録> 映画(今年公開の映画を中心に)
新年に入って既に1月も半ばを過ぎてしまったが、昨年度後半の映画鑑賞の振り返りをしようと思う。テレビでの鑑賞分は含んでいない。
昨年度9月から12月は映画館で56本の新作映画を鑑賞。因みに前半は58本なので、昨年度は1年間で合計114本の映画を鑑賞したことになる。
ライトアップしたチネチッタ外観
昨年度は例年になく見応えのある作品に恵まれたように思う。映画ファンとしては幸せな一年であった。特に良質な単館系作品を積極的に上映した地元の映画館チネチッタの貢献度は高い。
私はそんなチネチッタに対し、一映画ファンとして感謝のメールを送ったこともある。チネチッタからは支配人名義で、「今後とも素晴らしい映画をお届けしたい」旨の返信のメールが届いた。
全国展開する大手シネコンチェーンと違い、チネチッタは独立系のシネコンなので、独自性を前面に出さなければ熾烈な顧客獲得競争の中で生き残れないことを熟知している。だからこそシネマ・ソムリエなる担当者が幅広いジャンルから、これぞという作品を選び抜いて、チッタ・セレクションと銘打って上映している。
この為、地元にはチネチッタを含め3つのシネコンがあるが、地元どころか神奈川県全体で見てもチネチッタ独占上映の作品が少なくない。これこそ、チネチッタが「独立系シネコンの雄」と言われる所以である。今年も一映画ファンとしては、チネチッタの慧眼にはおおいに期待している。
それでは、本題に入る。前半の振り返りでも書いたが、私独自の基準で各作品をratingしており、★1点、☆0.5点で、★★★☆以上の作品なら「見て損はない」だろうか?基本的に映画大好き人間なので、「どんな作品にも創られた意味がきっとあるはず」「作り手の思いが込められている」と思っており、評価は全体的に甘めかもしれない。月間ベスト作品にはratingの後に
を付けた。
青色表記は邦画、オレンジ色は邦画以外のアジア映画、それ以外は洋画等。邦画以外の作品についてはタイトルの後に原題も付記。タイトルにアンダーラインの付いている作品は当ブログ内にレビューあり。
【7月 10本】
@アリスのままで(STILL ALICE) ★★★★アルツハイマーを患い、仕事で得た地位も家庭の幸せも、そして"自分自身"も失うキャリア女性の焦燥感と喪失感を描く。子供たちの中で親の介護を担うのは結局誰なのか、見ていて身につまされる人もいるのではないだろうか?また、夫婦関係の描き方が日米間の違いを際立たせて興味深い。本作の演技で、ジュリアン・ムーアは米アカデミー賞主演女優賞を受賞。
Aアベンジャーズ ザ・エイジ・オブ・ウルトロン(THE AVENGERS) ★★★★:お馴染みのアメコミ・ヒーロー達が束になって活躍するドラマの続編。フツーに面白い。
Bきみはいい子 ★★★★
:高良健吾演じるヘタレな新米教師が直面する、子供たちのそれぞれの家庭事情が痛ましい。豊かなはずの現代社会が抱える様々な問題が家庭に集約され、その犠牲となる子供たち。
Cターミネーター 新起動/ジェニシス(TERMINATOR: GENISYS) ★★★:久しぶりのターミネーター・シリーズへの期待が大きかっただけに、何でもアリな展開にはガッカリ。新作のT2超えはやはり至難らしい。旧作がいかに時代を先取りしていたのかも改めて実感する。
Dチャイルド44(CHILD 44) ★★★★
:原作小説を知らずに見たからか、私は十分楽しめた。二分された巷の評価に、高評価な小説の映画化の難しさを感じる。主演のトム・ハーディは今後注目したい俳優のひとり。
Eアリのままでいたい ★★★:昆虫の生態を迫力ある接写で見せてくれるのだが、一時期流行った「ムシキング」を意識し過ぎな演出が残念。大人だって見るんだから…
Fボヴァリー夫人とパン屋(GEMMA BOVERY) ★★★★ :南仏の陽光の下で、大人のアヴァンチュールをコメディタッチに描いたと思いきや、意外にブラックなのにちょっと驚き。
Gチャップリンからの贈り物(LA RANCON DE LA GLOIRE/THE PRICE OF FAME) ★★★☆:チャップリンの死後、実際に起きた事件を描く。豊かな国スイスで、社会の底辺に暮らす人間(おそらく移民?)が起こした浅はかな犯罪劇の顛末に、格差社会の難しさと悲哀を感じる。
Hインサイド・ヘッド(INSIDE OUT) ★★★★:人の喜怒哀楽の感情を擬人化して描いたディズニーアニメ。映像の美しさと共に物語の展開も意外に楽しめた。
I人生スィッチ(RELATOS SALVAJES/WILD TALES) ★★☆:あまり見る機会のないアルゼンチン映画。ブラック・コメディなのだろうが、あまりにもブラック過ぎて笑えない。これも文化の違い?

【8月 9本】
Jセバスチャン・サルガド/地球へのラブレター(THE SALT OF THE EARTH) ★★★★☆
:ブラジル出身の世界的な写真家セベスチャン・サルガドの半生と共に映し出される彼の作品の数々に圧倒される。国際機関職員から戦場カメラマンに転身し、その後、秘境まで分け入って地球上のあらゆる風景を撮り続ける彼の眼差しは正に"神の如き"だ。
Kミッション・インポッシブル5 ローグ・ネーション(MISSION: IMPOSSIBLE ROGUE NATION) ★★★★:007シリーズと違い、哲学のないスパイ映画としては、方向性としてアクションの追及に向かわざるを得ない。そこにトム・クルーズの限界も感じるが、それでも彼は堂々たるスターである。
Lジュラシック・ワールド(JURASSIC WORLD) ★★★★☆
:絶滅したはずの恐竜を映像の世界で見事に甦らせたシリーズの久方ぶりの最新作。神の如く生命操作を試みる人間への痛烈な皮肉とも取れるメッセージ性は本作でも健在だ。ロンドンの自然史博物館の機械仕掛けの恐竜の展示に、本作の影響を感じたのは私だけではないだろう。本作がそれだけ現実の世界にも大きなインパクトを与えたと言うこと。SWにも言えるが、主題歌のインパクトも相当なもの。あの壮大なテーマ曲と共に、映像が脳裏にまざまざと浮かびあがる。
M日本のいちばん長い日 ★★★☆:昨年は戦後70年という節目でもあり、例年以上に先の大戦を振り返る映像作品が多かったように思う。本作もその一環だったと思うが、日本が敗戦を自覚し、ポツダム宣言を受諾するまでの政府と軍部の葛藤を描いた内幕物である。松坂桃李演じる将校の純粋で一途さゆえの暴走が、当時の人々の置かれた状況を伝えて悲しい。
Nふたつの名前を持つ少年(LAUF JUNGE LAUF/RUN BOY RUN) ★★★★:これまでユダヤ人迫害を描いた映画は数多く作られて来たが、本作もその系譜に繋がるものだ。実話に基づいた児童文学の映画化で、強制収容施設から逃れた少年が、名前を変えてポーランド人になりすまし、過酷な状況下を生き抜く物語である。少年の聡明さと生への執念に感服するとともに、彼を取り巻く人々の姿に、人間の愚かさと優しさを感じるのである。
Oミニオンズ ★★★☆:まあフツーに面白いが、やっぱり子供向けであった。ロンドンを舞台にしたシーンが結構大胆で楽しい。
Pナイト・クローラー ★★★★:映画の肝は「脚本の良さ」と言うことを実感させてくれる本作。主演のジェイク・ギレンホールの役作りも素晴らしく、後味はけっして良くないが、見応えのある作品である。
Q at Home アットホーム ★★★★:一見ごく普通の仲の良い5人家族には、人には言えない秘密があった。「家族」とは何なんだろう、と考えさせられる、意外な人間ドラマが展開する。かつては「美男子」が売りのアイドル俳優だった竹野内豊が、中年期に入ってその円熟味で再び活躍する姿は必見。同世代の他の俳優とは何が違うのか?(例えば、かつて月9で共演した反町隆史とか)
Rわたしに会うまでの1600キロ ★★★☆:荒んだ自身の生活を人生を立て直すべくヒロインが選んだのは、大荷物を背負っての全長1600キロにも及ぶトレッキング。実話に基づく話らしいが、そもそも、なぜ一般人がいとも簡単に麻薬に手を染め、堕落するのか、日本で地味ながらも平穏に暮らす私には理解し難いのである。よくよく考えてみれば、転落からの再生は確かに称賛されるべきことだが、転落せずに地道に暮らすこともまた日々自制と忍耐を必要とし、称賛に値する生き方だと思うのである。

【9月 8本】
Qテッド2(TED 2) ★★★★:ちょっと頼りないおっさんになってしまった元少年と不良おっさんテディベアの友情を描いたバディ・ムービーの続編。テディベア・フリークを自認する私としては、テッドのお下品ながらも憎めないキャラに評価がどうしても大甘になってしまう。冒頭で見せる往年のグランド・ミュージカルを彷彿させるシーンには、おバカ映画にも手を抜かないハリウッド映画の余裕を感じる。さらに今回は配給会社のキャンペーン懸賞で「おしゃべりテッド」もいただけたので、なおさら文句は言えない
←オイオイ
Rヴィンセントが教えてくれたこと(St. VINCENT) ★★★★
:ダメ親父の典型ヴィンセントが、ひょんなことから隣に越して来たシングルマザーの一人息子オリバーの面倒を見ることになる。誰の目にもヘンテコな組み合わせだが、これもまたバディ・ムービーのひとつと言えるだろうか?ヴィンセントの破天荒な指南で、ひ弱なオリバーが成長して行く姿が見もの。
SDear ダニー 君へのうた(DANNY COLLINS) ★★★★
:老境に入ったアル・パチーノの、俳優としての魅力を再認識させてくれる作品。相手役のアネット・ベニングも相変わらず素敵。
(21)キングスマン(KINGSMAN: THE SECRET SERVICE) ★★★★:英国紳士コリン・ファースを、あの「キックアス」の監督マシュー・ボーンが、007ばりの格好いいスパイに仕立て上げる。とは言え、相変わらず監督の暴走?は止まらない。ただのスパイ映画では終わらない(苦笑)。
(22)アントマン(ANT-MAN) ★★★★:アメコミ史上最小のヒーローが大活躍のアクション・ムービー。ヒーローの人間臭さ、ダメさ加減が、他のアメコミ・ヒーロー達とは一線を画す。マイケル・ダグラスの化けっぷりにも驚く。
(23)ぼくらの家路(JACK) ★★★★:今や「ネグレクト」は洋の東西を問わず社会的な問題。豊かな社会の中で路頭に彷徨う幼子の姿が切ない。無責任な大人に腹が立つ。
(24)カリフォルニア・ダウン(SAN ANDREAS) ★★★☆:原題はカルフォルニアを南北に縦断する巨大活断層の名前。映画やドラマでもおなじみの街を巨大地震が襲う。ザ・ロックことドウェイン・ジョンソンが、いかにも頼りなる父親を演じて意外性ゼロなディザスター・ムービー。
(25)カプチーノはお熱いうちに(ALLACCIATE LE CINTURE/FASTEN YOUR SEATBELTS) ★★★☆:イタリア映画。本作でもヒロインが選ぶパートナーにお国柄を感じてしまう。邦題からラブコメを連想したが、意外にもシリアスな展開に。かと言って、原題を見ても、あまりピンと来ない。比喩的なタイトルって難しい。

昨年度9月から12月は映画館で56本の新作映画を鑑賞。因みに前半は58本なので、昨年度は1年間で合計114本の映画を鑑賞したことになる。
ライトアップしたチネチッタ外観

私はそんなチネチッタに対し、一映画ファンとして感謝のメールを送ったこともある。チネチッタからは支配人名義で、「今後とも素晴らしい映画をお届けしたい」旨の返信のメールが届いた。
全国展開する大手シネコンチェーンと違い、チネチッタは独立系のシネコンなので、独自性を前面に出さなければ熾烈な顧客獲得競争の中で生き残れないことを熟知している。だからこそシネマ・ソムリエなる担当者が幅広いジャンルから、これぞという作品を選び抜いて、チッタ・セレクションと銘打って上映している。
この為、地元にはチネチッタを含め3つのシネコンがあるが、地元どころか神奈川県全体で見てもチネチッタ独占上映の作品が少なくない。これこそ、チネチッタが「独立系シネコンの雄」と言われる所以である。今年も一映画ファンとしては、チネチッタの慧眼にはおおいに期待している。
それでは、本題に入る。前半の振り返りでも書いたが、私独自の基準で各作品をratingしており、★1点、☆0.5点で、★★★☆以上の作品なら「見て損はない」だろうか?基本的に映画大好き人間なので、「どんな作品にも創られた意味がきっとあるはず」「作り手の思いが込められている」と思っており、評価は全体的に甘めかもしれない。月間ベスト作品にはratingの後に

青色表記は邦画、オレンジ色は邦画以外のアジア映画、それ以外は洋画等。邦画以外の作品についてはタイトルの後に原題も付記。タイトルにアンダーラインの付いている作品は当ブログ内にレビューあり。
【7月 10本】
@アリスのままで(STILL ALICE) ★★★★アルツハイマーを患い、仕事で得た地位も家庭の幸せも、そして"自分自身"も失うキャリア女性の焦燥感と喪失感を描く。子供たちの中で親の介護を担うのは結局誰なのか、見ていて身につまされる人もいるのではないだろうか?また、夫婦関係の描き方が日米間の違いを際立たせて興味深い。本作の演技で、ジュリアン・ムーアは米アカデミー賞主演女優賞を受賞。
Aアベンジャーズ ザ・エイジ・オブ・ウルトロン(THE AVENGERS) ★★★★:お馴染みのアメコミ・ヒーロー達が束になって活躍するドラマの続編。フツーに面白い。
Bきみはいい子 ★★★★

Cターミネーター 新起動/ジェニシス(TERMINATOR: GENISYS) ★★★:久しぶりのターミネーター・シリーズへの期待が大きかっただけに、何でもアリな展開にはガッカリ。新作のT2超えはやはり至難らしい。旧作がいかに時代を先取りしていたのかも改めて実感する。
Dチャイルド44(CHILD 44) ★★★★

Eアリのままでいたい ★★★:昆虫の生態を迫力ある接写で見せてくれるのだが、一時期流行った「ムシキング」を意識し過ぎな演出が残念。大人だって見るんだから…
Fボヴァリー夫人とパン屋(GEMMA BOVERY) ★★★★ :南仏の陽光の下で、大人のアヴァンチュールをコメディタッチに描いたと思いきや、意外にブラックなのにちょっと驚き。
Gチャップリンからの贈り物(LA RANCON DE LA GLOIRE/THE PRICE OF FAME) ★★★☆:チャップリンの死後、実際に起きた事件を描く。豊かな国スイスで、社会の底辺に暮らす人間(おそらく移民?)が起こした浅はかな犯罪劇の顛末に、格差社会の難しさと悲哀を感じる。
Hインサイド・ヘッド(INSIDE OUT) ★★★★:人の喜怒哀楽の感情を擬人化して描いたディズニーアニメ。映像の美しさと共に物語の展開も意外に楽しめた。
I人生スィッチ(RELATOS SALVAJES/WILD TALES) ★★☆:あまり見る機会のないアルゼンチン映画。ブラック・コメディなのだろうが、あまりにもブラック過ぎて笑えない。これも文化の違い?



【8月 9本】
Jセバスチャン・サルガド/地球へのラブレター(THE SALT OF THE EARTH) ★★★★☆

Kミッション・インポッシブル5 ローグ・ネーション(MISSION: IMPOSSIBLE ROGUE NATION) ★★★★:007シリーズと違い、哲学のないスパイ映画としては、方向性としてアクションの追及に向かわざるを得ない。そこにトム・クルーズの限界も感じるが、それでも彼は堂々たるスターである。
Lジュラシック・ワールド(JURASSIC WORLD) ★★★★☆

M日本のいちばん長い日 ★★★☆:昨年は戦後70年という節目でもあり、例年以上に先の大戦を振り返る映像作品が多かったように思う。本作もその一環だったと思うが、日本が敗戦を自覚し、ポツダム宣言を受諾するまでの政府と軍部の葛藤を描いた内幕物である。松坂桃李演じる将校の純粋で一途さゆえの暴走が、当時の人々の置かれた状況を伝えて悲しい。
Nふたつの名前を持つ少年(LAUF JUNGE LAUF/RUN BOY RUN) ★★★★:これまでユダヤ人迫害を描いた映画は数多く作られて来たが、本作もその系譜に繋がるものだ。実話に基づいた児童文学の映画化で、強制収容施設から逃れた少年が、名前を変えてポーランド人になりすまし、過酷な状況下を生き抜く物語である。少年の聡明さと生への執念に感服するとともに、彼を取り巻く人々の姿に、人間の愚かさと優しさを感じるのである。
Oミニオンズ ★★★☆:まあフツーに面白いが、やっぱり子供向けであった。ロンドンを舞台にしたシーンが結構大胆で楽しい。
Pナイト・クローラー ★★★★:映画の肝は「脚本の良さ」と言うことを実感させてくれる本作。主演のジェイク・ギレンホールの役作りも素晴らしく、後味はけっして良くないが、見応えのある作品である。
Q at Home アットホーム ★★★★:一見ごく普通の仲の良い5人家族には、人には言えない秘密があった。「家族」とは何なんだろう、と考えさせられる、意外な人間ドラマが展開する。かつては「美男子」が売りのアイドル俳優だった竹野内豊が、中年期に入ってその円熟味で再び活躍する姿は必見。同世代の他の俳優とは何が違うのか?(例えば、かつて月9で共演した反町隆史とか)
Rわたしに会うまでの1600キロ ★★★☆:荒んだ自身の生活を人生を立て直すべくヒロインが選んだのは、大荷物を背負っての全長1600キロにも及ぶトレッキング。実話に基づく話らしいが、そもそも、なぜ一般人がいとも簡単に麻薬に手を染め、堕落するのか、日本で地味ながらも平穏に暮らす私には理解し難いのである。よくよく考えてみれば、転落からの再生は確かに称賛されるべきことだが、転落せずに地道に暮らすこともまた日々自制と忍耐を必要とし、称賛に値する生き方だと思うのである。



【9月 8本】
Qテッド2(TED 2) ★★★★:ちょっと頼りないおっさんになってしまった元少年と不良おっさんテディベアの友情を描いたバディ・ムービーの続編。テディベア・フリークを自認する私としては、テッドのお下品ながらも憎めないキャラに評価がどうしても大甘になってしまう。冒頭で見せる往年のグランド・ミュージカルを彷彿させるシーンには、おバカ映画にも手を抜かないハリウッド映画の余裕を感じる。さらに今回は配給会社のキャンペーン懸賞で「おしゃべりテッド」もいただけたので、なおさら文句は言えない

Rヴィンセントが教えてくれたこと(St. VINCENT) ★★★★

SDear ダニー 君へのうた(DANNY COLLINS) ★★★★

(21)キングスマン(KINGSMAN: THE SECRET SERVICE) ★★★★:英国紳士コリン・ファースを、あの「キックアス」の監督マシュー・ボーンが、007ばりの格好いいスパイに仕立て上げる。とは言え、相変わらず監督の暴走?は止まらない。ただのスパイ映画では終わらない(苦笑)。
(22)アントマン(ANT-MAN) ★★★★:アメコミ史上最小のヒーローが大活躍のアクション・ムービー。ヒーローの人間臭さ、ダメさ加減が、他のアメコミ・ヒーロー達とは一線を画す。マイケル・ダグラスの化けっぷりにも驚く。
(23)ぼくらの家路(JACK) ★★★★:今や「ネグレクト」は洋の東西を問わず社会的な問題。豊かな社会の中で路頭に彷徨う幼子の姿が切ない。無責任な大人に腹が立つ。
(24)カリフォルニア・ダウン(SAN ANDREAS) ★★★☆:原題はカルフォルニアを南北に縦断する巨大活断層の名前。映画やドラマでもおなじみの街を巨大地震が襲う。ザ・ロックことドウェイン・ジョンソンが、いかにも頼りなる父親を演じて意外性ゼロなディザスター・ムービー。
(25)カプチーノはお熱いうちに(ALLACCIATE LE CINTURE/FASTEN YOUR SEATBELTS) ★★★☆:イタリア映画。本作でもヒロインが選ぶパートナーにお国柄を感じてしまう。邦題からラブコメを連想したが、意外にもシリアスな展開に。かと言って、原題を見ても、あまりピンと来ない。比喩的なタイトルって難しい。



2016/1/18
初雪といちご大福 日々のよしなしごと

一年を通して比較的温暖な私の住む地域でも、今年初めての積雪を記録しました。写真は今朝7時頃に撮ったもの。夜中に降り積もった雪で、ご近所の家々の屋根が白一色に。
すでに雪は雨に変わり、少し強めの風が吹いていました。
なぜかこんな日に限って銀行に行く用事があり、雪と泥でぬかるんだ道を歩いて、近くの銀行まで行きました。「ええい、こうなったらついでに」と、さらに少し離れた場所にある郵便局にも行って来ました。40分あまりの雪中散歩となりました。
一昨年買ったエディーバウアーのダウンコートが防寒着としてはかなりの優れモノで、普段は着ていると暑いくらいなのですが、今日はその本領を発揮。これにニット帽とマスクと厚手のニットのワンピースと裏起毛のパンツと雨靴で、防寒対策は完璧

でも、傍目にはダルマかクマが歩いているように見えたことでしょう。ただでさえ丸っこい私が、より一層まん丸になりました。

夫が大阪の出張から戻って来ました。手土産にこの季節限定の生菓子を携えて。
兵庫県西宮市の和菓子屋さん、高山堂の「いちご


この季節のお楽しみ

袋に書かれた「一菓素心」。ひとつひとつの菓子に平生から心を込めて、と言うような意味合いでしょうか?
帰って来て直後はどこかに隠したのか、夫の手に手土産はありませんでした。私は密かに「いちご大福」を楽しみにしていたので、正直がっかりしたのですが、しばらくしてから、どこからともなく「いちご大福」の入った袋を持って来ました。夫の手の込んだいたずら

いぢわる な夫です。
2016/1/14
寒くて乾燥する季節、ウィルスに気を付けましょう! 日々のよしなしごと
火曜日の夕方近くに何の前触れもなく突然体調不良となりました。救急外来を受診するのは大げさかなと思いましたが、翌日から夫が出張の予定だったので、自宅でひとりでいる間に体調が悪化しては大変だと、かかりつけの病院で診ていただきました。
激しい嘔吐と下痢で、ご飯も食べられず、わずか半日で体重が2sも減りました。減量は嬉しいのですが、急激すぎると体力が奪われますね。とは言え、急性胃腸炎の時には胃腸内の悪い菌を早く体外に出す為に、(ウィルスにエサを与えないよう)絶食が効果的なんですよね。そこで脱水症状は避けなければならないので、アクエリアスのカロリーオフを電子レンジで温めて何度か飲みました。
翌朝も体調チェックの為診察を受けるように言われたので、病院に行ったら、消化器科は初診扱いだったので、診察までかなり待ちました。待っている間も身体がだるくてだるくて。私のようにぐったりしている患者さん達とは対照的に、看護師さんや事務職員の方々のキビキビと動き回る姿が印象的でした。
どうして、あんなに元気なんだろう?病院内なんて、それこそ他の場所以上にウィルスがウヨウヨしているだろうに。仕事の緊張感や気力の充実感で、ウィルスを寄せ付けないのか?
しかし、椅子に背筋を伸ばして座っていられないほどぐったりしていた私も、点滴でブドウ糖を補給したら、みちがえるように元気になりました。単純だなあ、私
朝9時頃病院に向かい、点滴を終えて病院を出たのが午後2時過ぎ。半日がかりでした。
先生のお話によれば、今回の私の症状はウィルス性の急性胃腸炎とのことで、寒くなり、空気が乾燥するとウィルスの動きが活発になるので、インフルエンザと共に私のような胃腸炎の患者も急激に増えるのだそうです。
胃腸に悪さをするウィルスは巷にありふれたウィルスで、健康体ならば多少腹を下すぐらいで済むものが、抵抗力のない老人や乳幼児や虚弱や過労の人の場合、症状が重くなりがちなのだとか。
私は3年前に肺炎になって以来、手洗いや手の消毒や喉のうがいは欠かさず行っていたのですが、年末年始の疲れと、最近は街中に出る機会が多かったこともあり、運悪くウィルスに捕まってしまったようです。
天気予報でも言われているように、これから本格的に寒さと乾燥の時期に入り、ウィルスも旺盛な活動期に入ります。
このブログを読まれている皆さんも、どうぞご自愛くださいね。
激しい嘔吐と下痢で、ご飯も食べられず、わずか半日で体重が2sも減りました。減量は嬉しいのですが、急激すぎると体力が奪われますね。とは言え、急性胃腸炎の時には胃腸内の悪い菌を早く体外に出す為に、(ウィルスにエサを与えないよう)絶食が効果的なんですよね。そこで脱水症状は避けなければならないので、アクエリアスのカロリーオフを電子レンジで温めて何度か飲みました。
翌朝も体調チェックの為診察を受けるように言われたので、病院に行ったら、消化器科は初診扱いだったので、診察までかなり待ちました。待っている間も身体がだるくてだるくて。私のようにぐったりしている患者さん達とは対照的に、看護師さんや事務職員の方々のキビキビと動き回る姿が印象的でした。
どうして、あんなに元気なんだろう?病院内なんて、それこそ他の場所以上にウィルスがウヨウヨしているだろうに。仕事の緊張感や気力の充実感で、ウィルスを寄せ付けないのか?
しかし、椅子に背筋を伸ばして座っていられないほどぐったりしていた私も、点滴でブドウ糖を補給したら、みちがえるように元気になりました。単純だなあ、私

先生のお話によれば、今回の私の症状はウィルス性の急性胃腸炎とのことで、寒くなり、空気が乾燥するとウィルスの動きが活発になるので、インフルエンザと共に私のような胃腸炎の患者も急激に増えるのだそうです。
胃腸に悪さをするウィルスは巷にありふれたウィルスで、健康体ならば多少腹を下すぐらいで済むものが、抵抗力のない老人や乳幼児や虚弱や過労の人の場合、症状が重くなりがちなのだとか。
私は3年前に肺炎になって以来、手洗いや手の消毒や喉のうがいは欠かさず行っていたのですが、年末年始の疲れと、最近は街中に出る機会が多かったこともあり、運悪くウィルスに捕まってしまったようです。
天気予報でも言われているように、これから本格的に寒さと乾燥の時期に入り、ウィルスも旺盛な活動期に入ります。
このブログを読まれている皆さんも、どうぞご自愛くださいね。
2016/1/13
年末年始の疲れからか… 携帯電話から投稿
急性胃腸炎になってしまいました。
只今、点滴中。
トホホ…
只今、点滴中。
トホホ…

2016/1/8
チョイ住み in フィレンツェ(2015.9.26(土)放送) 海外旅行(旅の記録と話題)

昨年春から不定期にNHK−BSプレミアムで放映されている「チョイ住み」シリーズ第3弾。パリ・ロンドンと来て次はニューヨークかと当たりをつけたのですが、予想外のフィレンツェでした。

昨年の9月26日(土)に放映されたのですが、直後に私は英国旅行が控えていた為、いろいろと慌しくてリアルタイムに見ることはなく、録画しておいたのを今日、改めてちゃんと見直しました。
こうしてじっくり、時には巻き戻して見てみると、昨年、旅行から帰って来て直後に見た第一印象とは違って、結構見ごたえがあるなあ、と言う印象。
今回の旅人は、斉藤辰夫氏(58)と渡部秀クン(23)のお二人です。
35歳差で、出身は大阪と秋田、職業は料理研究家と若手俳優と、接点がまるでなさそうな二人。同居生活を始めた当初は互いの行動リズムの違いもあってギクシャクしていたのが、時に感情的行き違いがありながらも、次第に互いの違いを認め合い、違うからこその刺激を相手から受けて、最後にはそれぞれにひとりの人間として一皮剥けた姿が印象的でした。まさに二人の信頼関係構築のプロセスを目で追っているような臨場感がありました。
過去の2作品は、旅の達人である年長者から、初心者の若者が刺激を受けて成長する姿が中心に描かれていたように思うのですが、今回は年長者である斉藤氏に対しても妥協を許さない若手の渡部クンの直向さが、年齢差を越えて互いに刺激しあう対等な関係性を生み出して、さらに内容に深みのある同居物語を作り上げたように思いました。
そもそも旅の目的が「大人になること」(←新しい自分と出会う)と言う渡部クンと、「美食の宝庫フィレンツェで食べて食べて食べまくるぞ」「イタリア人にとって究極の味である"マンマの味"を見つけるぞ」(←料理研究家としての関心の範疇から出ていない)と言う斉藤氏では、ひとつひとつの行動の積極性や真剣みが違う(笑)。


仕事でもある程度功なり名遂げて、表立って誰からも意見されることのない立場の斉藤氏にとって、年少者である渡部クンの容赦ない物言いは、ある意味衝撃的で、心に刺さるものがあったのでしょう。
チョイ住み生活最終日の夜に、フィレンツェ滞在はこれが5度目の斉藤氏が「心底、ここまでいろいろな経験をしたことはない」と語気を強めて自らの思いを吐露するシーンは、ひとりの対等な立場の人間として、斉藤氏が渡部クンから受けた刺激の大きさを物語っています。
さらに印象的だったのは渡部クンが斉藤氏との同居生活から学んだこと、斉藤氏の姿勢から学んだこととして、「大人になる為のヒントを見つけました。"恥"をかく(ことを恐れない)」と言ってのけたこと。
イタリア語を学ぶことから逃げているのではないか?と言う渡部クンの指摘に一度はムッとした斉藤氏でしたが、アパートに戻ってひとりになった時、謙虚に渡部クンの言葉を噛み締め、「幾つになっても挑戦することの大切さ」に気づくと、翌日にはイタリア語を真摯に学び始めました。その姿に渡部クンは感銘を受けたようです。
カメラは斉藤氏の背中越しに渡部クンの顔を正面から映し出していましたが、「恥をかく」と言われた瞬間の斉藤氏の表情はどうだったのだろうと、少し気になります。
当初は互いに同居生活への不安を感じていた二人の間に、年齢差を超えた友情が生まれた瞬間を、この時、見たような気がしました。
これだけ二人の関係にフォーカスして見るなら、何も滞在先がフィレンツェである必然性はないのでは?どこでも良かったのでは?と言われそうですが、そんなことはありません。歴史を感じさせる街並み、美食の宝庫ならではの食材の数々を見ているだけでも、地元民のように暮らしながら、同時に旅ならではの高揚感も楽しめる「チョイ住み」の醍醐味が伝わって来ます。

また、大学で第二外国語としてイタリア語を学んだ身としては、斉藤氏や渡部クンの気さくなイタリアの人々とのやりとりも見ていて楽しい。15年前のイタリア旅行で、大学1年次の会話中心のイタリア語の教科書を丸暗記して、現地の人々にイタリア語で話しかけまくった時のことが思い出されました。イタリアへ行ったのは過去に3度、最後がそのイタリア語三昧の15年前なので、この番組を見て再び行きたくなりました。




写真は斉藤氏がワインショップの女性店主から教わったレシピで、渡部クンと二人で作ったマンマのパスタ。アルデンテに茹でたパスタをトマトソースで和え、最後にフォルマッジオ・パルジャミーノとバジルを散らします。店主自慢のマンマの味


回を重ねるごとに内容に厚みが増し、充実して来た「チョイ住み」シリーズ。次回のチョイ住み先はニューヨークで初の女性同士の取り合わせ。どんな形の「チョイ住み」旅が生まれるのか、楽しみですね、と言っても、これも既に昨年末に放映済み。私は録画をこれから見るのですが、次回作の感想はまた改めて

ニューヨークの次はスペインのバルセロナか、初アジアのシンガポールかな?

【2016.03.07 追記】
…と言う私の予想は、アジアと言う見立てはいい線行っていたのですが、第5弾となる「チョイ住み」の場所は台北のようです。


今回の旅人は歌手の藤井フミヤさんと元プロボクサーの亀田興毅さん。果たして、どんな「チョイ住み」になるのか、これまた異色の取りあわせに期待半分・不安半分


2016/1/7
はとバスツアーin 南房総♪ 国内旅行(旅の記録と話題)

今回は冬も温暖な南房総を中心に巡る旅。南房総ならではの海の幸




昔と違い、今では千葉へも東京湾アクアラインを使えば簡単に行けるようになりましたが、あいにく我が家は現在、自家用車を持っていないのでその恩恵に与ることも出来ず、千葉へはなかなか行く機会がありません。
そこで利用するのが、はとバスツアー

いつもはツアーが早朝出発で、ターミナルの浜松町まで行くのもなかなか大変なのですが、今回は9時40分発と比較的遅めで余裕を持って家を出られました

ターミナルを出てすぐに拝めるのが美しい東京タワーの姿。今回は真っ青な空を背景に、一際颯爽として見えます。バスが交差点を左折する瞬間のシャッターチャンスを捕らえてシャッターを切りました。

それほどの混雑もなくバスはスムーズに海ほたるへ到着。トイレ休憩を兼ねて、海ほたるでしばし散策。写真は木更津側の展望デッキにて。

対岸の木更津に着くと、バスは館山自動車道へ入り、一路富浦へ。富浦インターチェンジを出てすぐのところにある道楽園に到着。早速、昼食

写真は豪快な「浜焼き」を食べた食事処「海女小屋」。小屋と言っても、中は結構な広さです。100人くらいはゆうに入るでしょうか?

本当はハマグリ、サザエ、カキなどの貝類や鶏もも肉、ソーセージなどの肉類、カボチャ、タマネギ等の野菜類、グリーンサラダやポテトサラダ、シュークリームなどのスィーツに果物、数種類の海産物を乗せた海鮮丼などいろいろ食べたのですが、食べることに夢中になって、たいした写真は撮れませんでした

飲み物はアルコール以外はドリンクバーで飲み放題でした。冷たい物から温かい物までいろいろありました。
柄付きのザルが載っているのは、火にかけている貝が爆発して火傷する恐れがあるからです。時折、バチーン



お隣さんは準備が良くて、軍手持参でした。店でも軍手は用意しているようです。

本当に老いも若きも、夢中に頬張っていました。個人で行くと、大人ひとり2,500円で食べ放題のようです。制限時間は不明。

「道楽園」は駐車場を取り囲むように建物が幾つか並んでいました。私達が昼食で浜焼きを食べた海女小屋をはじめ、海産物店、レストラン、土産物店、そしてモノマネショーが行われる赤尻文化会館。
今回のツアーは比較的スケジュールがゆったりしていて(予想より渋滞がなかったせいか?)、1時間の昼食の後も次のモノマネショー見学まで1時間近く余裕があり、トイレに行ったり、買い物に行ったりしても時間が余るほど。午後から次第に空が曇って来て風も出て来たので、ツアー参加者の3分の1くらいは途中からバスの中で休んでいました。
私達がこの日見たのは綾小路きみまろさんのモノマネをされる君小路あやまろ(亀ひろし)さんのショー。綾小路きみまろさんになりきった漫談あり、演歌歌手からアイドルまでの歌マネあり、そしてマジックありで、前座も含め出演者が正月公演とあって興に乗ったのか、予定を10分ほどオーバーしての熱演でした。予想以上に面白かったです


モノマネショーを見た後、バスは東海岸付近まで走り、ローズマリー公園近くのイチゴ農園へ。ここで旬のイチゴ狩りをしました。昼食に「浜焼き」をたらふく食べたので、果たしてイチゴまで食べられるのかなと心配だったのですが、お笑いショーも見て、ある程度時間も経っていたので意外に大丈夫でした。と言いますか、やはり果物やスィーツは別腹なんでしょうか?

イチゴのハウス栽培は写真の畝栽培と水耕栽培があるそうです。

イチゴの葉と蕾と花と果実

摘みたての真っ赤なイチゴ。その色は目の覚めるような鮮やかさ


農園主のおばあちゃんが終始笑顔で、練乳のおかわりまで振舞うなど親切で素敵な方でした。このおばあちゃんが愛情を込めて栽培されたイチゴだからなおのこと美味しいのでしょう

この後、バスは元来た道を戻るように館山自動車道へ。そして木更津近くの東京ドイツ村に到着です。辺りは既に日も落ちて真っ暗。
ここは「関東三大イルミネーション」のひとつとして有名なんだそうです。最初の写真は少し離れた高台にある展望台から俯瞰した眺め。近くで見ると形がアナモルフォーズなんですよね。遠くから見て初めて形が分かると言う…

写真では分かり辛いかもしれませんが、物凄い人出でした。家族連れも多く、とにかく通路は真っ暗なので、これで迷子にでもなったら大変

音楽に合わせて電飾が目まぐるしく変化するものもあって、それは動画で記録しました。ブログでご紹介できないのが残念です。





これだけ贅沢な電飾に、そして、電飾を楽しんでいる大勢の人々の姿に、日本はつくづく平和だなあと思いました。けっして皮肉ではなく、こうして平和であることに感謝したいなと。
さて、この内容でツアー代金は11,000円。お金にはシビアな息子も「まあ、これなら妥当かな」と言う感想でした。次はどこに行こうかな…
2016/1/7
新年あけましておめでとうございます♪ 日々のよしなしごと

遅ればせながら(ホント!松の内ギリギリ…

新年明けまして

年末からお正月明けまで何かと忙しく(外出時以外は殆ど台所に立ちっぱなしで…)、自宅ではネットどころかテレビ番組を見る余裕すらありませんでした。
お節料理は本来、「日頃忙しい主婦が正月位骨休みする為の料理」と聞いていますが、日頃自由気ままに暮らしているせいか

昨日から夫も漸く休み明けの出勤だったので、私も夫の世話から解放され?、身体を休めることが出来ました。
ブログも(外出先からの投稿はともかく)今日から再開です。細々とながらも続けてきて、昨年ひっそりと





画像のお猿さん達は「見ざる、言わざる、聞かざる」のポーズですが、私はなこ

「見まくる、言いまくる、聞きまくる」年にしたいと思います

ところで、冒頭画像の文字。本来左利きの私が慣れない右手でマウスを使って書いたものです。それ故、多少の見づらさはご容赦を(笑)
末筆ながら、弊ブログに訪れた皆様にとりましても、
本年が良い年となりますよう、心よりお祈り申し上げます

一月吉日
2016/1/3
今年も我が家恒例の… 携帯電話から投稿
はとバスツアーに参加しています。
写真は東京湾アクアラインの
海ほたるの展望台で
神奈川県側を撮ったもの。
快晴で観光日和!
写真は東京湾アクアラインの
海ほたるの展望台で
神奈川県側を撮ったもの。
快晴で観光日和!
