2016/6/16

「怒り」  今日の言の葉

 最近、書店に行くと「怒り」と言うタイトルの文庫本が平積みになっている。小説「悪人」を書いた吉田修一氏の作品で、近々、この小説を原作とした映画が公開されるらしい。映画館で、その予告編を何度か見た。

 この「怒り」という言葉は、短い言葉ながら胸に刺さる、なかなかインパクトのある言葉である。

 監督最新作「マネー・モンスター」が公開中の米女優で監督のジョディ・フォスターさんが、先日、NHKのインタビューで、今の時代を象徴するキーワードとして「怒り」を挙げていた(放送は6月15日(水)の『おはよう日本』)

 曰く「今、アメリカでは(映画の登場人物のように)自分の置かれている状況に『怒り』を抱いている人が数多くいます。特に若者は正しいことをし、努力し、税金を納め、親の面倒を見ているのに、報われないと『怒り』を感じています。彼らの『怒り』は、間違いなく現在の大統領選挙の過程にも反映されています。そうした彼らの『怒り』は人種差別のような問題に繋がる危険を孕んでいます。行き場のない『怒り』は、「誰か」 に向けるしかない。今のアメリカ社会は『怒り』を抱えているのです。私は映画監督として、今の私達の姿を描いたつもりです。」

 映画では米国金融界のマネーゲームに踊らされ、人生を破滅に追いやられた若者の姿を通して、米国社会にある理不尽な格差にも疑問を投げかける。

 「現代の金融システムは複雑過ぎて一般の人々には理解するのが難しく、そのルールを理解しシステムを制御できる僅か1%の人だけが、そのシステムの恩恵を受けることが出来るのです。」

 ジョディ・フォスターさんが、12日(日)に米フロリダ州オーランドで起きた銃乱射事件を受けて、この発言をしたのか否かは不明だが、米国社会に蔓延する「怒り」が、社会不安を引き起こす可能性を指摘し、それが世界中に広まることへの懸念を表明したのは、ハリウッドきっての知性派として知られる彼女らしいと思った。

 フロリダの事件は、「犯人の『怒り』」が、「LGBTの人々」に向けられた結果なのだろう。それにしても、その結果はあまりにも悲惨だ。

 戦後以来ずっと米国社会の後追いを続ける、この日本の社会もまた「怒り」を抱えている。ネットに溢れんばかりの呪詛の言葉は、正に人々の「怒り」が、「誰か」に向けられているものなのだろう。

 
 ふと我に返って、「怒り」に任せて振り上げた拳を下ろしたくなった

 そう言えば、人々の「怒り」「憎悪」を栄養源に増殖する「紛争」「テロ」のおかげで、今や武器製造販売業は空前の利益を上げているとの報道があった。

 何か、おかしくないか?今の世の中。



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