月イチ定例みたいになってきた友人とのオンライン読書会ですが、今回は各自最近読んだ本を紹介しあうというバージョン。私は『弁護士ダニエル・ローリンズ』を紹介しました。これは軽快なキャラクターが面白い本ですが、この本の「いまを感じるところ」も気に入るポイントだっのでその辺を。
・ダニエルは動きやすい自分らしい服装をするなどフェミニスト的思考が頻発する。
・家にいて子どもの面倒をみるか、仕事の成功をとるかという選択を、男性が迫られる(これも一種のフェミニズムか)
・知的障害者に対する偏見を覆す場面も
・いまに続く黒人差別の根深さ、ある警察署長の本音
ひとつめで分かりやすいのはこんな記述です。
−−目覚めると、シャワーを浴びてから最初に目に付いたスーツを着て、足が痛くなるハイヒールを無理やり履いた。だがすぐに脱いで、コンバースに履きかえる。男たちの基準で決めた正しい身なりを守り、苦痛に耐える必要なんかない。
著者は男性ですが、フェミニズムに殊更注力して書いているような気もしました。
ふたつめは、ダニエルの元夫がそういう立場になり、結局キャリアを後回しにする選択をします。でも、実際にはこういう選択をする男性はアメリカでも多くは無いんじゃないかなあ、とこれは今思った感想。
3つ目は、ダニエルの秘書・ケリーの毅然とした態度です。こんなセリフが印象的。
「あの子は生まれてからずっと、周りから同情ばかりされてきた。そして、感動を与えてくれる存在にさせられてきたの。障害があるから感動させてくれなんて、侮辱にもほどがあると思わない? 」
これは読書会では時間が足りなくて言わなかった箇所です。あとは、黒人に対する警察の理不尽な考え方など。アメリカにいる弁護士の女性の割合はどうなのか聞かれたけれど、わかりませんねえ。しかし検察長がその地域で初の女性検察長ということで、さほど多くはないのでは、と答えました。
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今回、Uさんは『夜と霧』(あるユダヤ人が強制収容所での日々を記した手記)でした。淡々と書かれていて却って胸に迫ったとか。それから、「人がどんな人生を選ぶのかではなく、人間が人生から問われている」といった言葉が印象的だったそうです。(うろ覚え)生き残った著者は、まさに運命に選ばれているかのような人生をたどっていました。
Sさんは、漫画『月に吠えらんねえ』で、萩原朔太郎の人生を描いたこの作品がやたら面白かったもよう。当時の文豪たちが生き生きと(どろどろと?)思索・創作していた様子が描かれているらしく、説明がうまいのでまた読んでみたくなりました。色々な人が勧めているから電子で最初だけ読んだけれど、冒頭がとっつきにくくそのままになっています。
次回はYさんも誘ったので、参加してくれるといいなあ。