最近、俳優の山田裕貴くんにハマっています。理由などはさておき、Amazonプライムで出演映画を漁って、菅田将暉主演の『あゝ、荒野』(2017年)と、福士蒼汰・有村架純主演の『ストロボ・エッジ』(2015年)を観ました。
『あゝ、荒野』は、前編を観たあと原作が寺山修司と知って、ああ!と膝を打つ凄まじい話でした。ざらざらと荒んでいて、いかにも「ああ、荒野…」とうめいてしまうような、でも研ぎ澄まされていて目が離せない感じで一気に後編まで観てしまいました。
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2021年の新宿が舞台で、奨学金のある若者に自衛隊員や介護職をやらせる法律が制定されたという世界。妙なリアルさがありぞっとする。
10歳で父親が自殺し、母親に捨てられた新次(菅田将暉)は、振り込め詐欺グループ内のいざこざで少年院へ。3年後出てきたその日に、自分と先輩を裏切り半殺しにした裕二(山田裕貴)に殴り込みをかけるが、ボクサーとなった裕二に返り討ちにあう。母親が韓国人で床屋で働く吃音症の建二は、少年の頃母親が亡くなり日本に連れて来られ、暴力的な父親と2人暮らし。行き場のないどん詰まりのふたりは、道で出会った堀口(ユースケ・サンタマリア)が運営するボクシングジムに誘われ、寝食を共にしながらボクシングに没頭していく。
加えて、母親が自宅で売春をしていたシングルマザーで、3.11の被災者である芳子は、仮設住宅から家出し新宿で暮らしていた。行き場のない人間たちがなんの因果か新宿で運命的な出会いをしていく。
後に、新次と建二にはエライ因縁があることが分かるのだが、色々出会い過ぎだろ…と思う一方、「新宿」ならばそんなこともあるかも、と思わせられる。新宿という街はいまだに一部区域では場末感があり、わけありの人々が流れつく雰囲気が充満している。まあ、そういう風に見える画にしていたというのが大きいんだろうけど、新宿の説得力はすごい。
菅田将暉がギラギラした勢いがあって凄く良かった。と同時に、山田裕貴が、ちゃんと主人公が殺したいほど憎む対象としての存在感が濃厚で素晴らしかった。こういうの、敵の存在感が薄いと主人公の怒りがぼやけてしまうもんな。
長い映画のせいか、たびたび生々しいセックスシーンがある(そして長い)のだが、女性を大事にしているような質のものではないのでちょっと辛かった。彼氏とはいえ勝手に来ていきなり突っ込むってなに…とか、ちゃんと避妊しろよ…とか。そういう性質の話だと分かってはいても腹立つもんです。
後編は、順調に見えたボクシングへの道が大きな波に飲み込まれる展開。ボクシングのシーンはいずれもドラマチックで見応えがあった。セリフがなくても、凄まじい魂のぶつかり合いに引き込まれる。家族の愛を知る人には理解不能だが、彼らにだけは分かる「繋がり」を、建二がひたむきに追い続ける姿が切なかった。
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うーん、長くなってしまったので『ストロボ・エッジ』のことはまた次回に書きます。