4年生に、読み聞かせでした。
「おおきくなりすぎたくま」リンド・ワード:文・画/渡辺茂男:訳/ぽるぷ出版
おそらく80〜100年前くらいの、アメリカの農場のお話です。子鹿物語の世界にちょっと近いですね。野生動物と人間は共存できない、という重いテーマを抱えつつも和やかな話運びで、最後はまあまあハッピーエンドです。
<あらすじ>
主人公のジョニー・オーチャードくんは、森に近い、谷あいの農場に暮らしています。近所の人は得意げに熊の毛皮を家の外に干していますが、ジョニーくんのおじいさんは熊を見ても逃げてしまい、一度も熊を殺したことはありません。それにジョニーくんは不満げ。
自分こそ大きい熊を倒してみせる!と銃を手に森へ入ると、子熊にであい、うちに連れ帰ります。子熊は食べることが大好きで、畑や、採取していた楓の蜜をどんどん食べてしまいます。とうとう、家には置いておけなくなりました。しかし、熊は捨てられても何度も戻ってきてしまいます。とうとう最後の選択をしなくてはならなくなりました…。

息子に練習を聞いてもらったら、この絵にウケてました。
これも、読み聞かせボランティア講習会で紹介されていた本です。笑う場面などはありませんが、だいたいの子がよく聞いていて、表情から引き込まれているのがわかりました。特に先生が喜んでくれましたね。(13分)
すべて白黒の絵ですが、話の芯がしっかりしているので面白さがよく伝わったようです。先生は「白黒っていいね。自分の色が見えたでしょ?」と子供たちに言ってましたが、それはどうかなあ(笑)
通して読むと、昔の人はずいぶん寛容だなと。熊が近隣の人の作物を荒らしてしまうところでやっと苦情がくるのですが、オーチャード家は最初から被害がすごい。子牛のミルクやおじいさんのリンゴの木や、台所や、凄まじい荒らされようですが、誰も子熊を捨ててこいと言ったり殺そうとしたりしません。こういう時代の価値観なのか、この本の作者が創り出したものかわかりませんが、今だったら被害がでる前に苦情が来て、すぐに森に捨てられたことでしょう。「
チムとゆうかんなせんちょうさん」を思い出しました。
おじいさんはとぼけた口調でしたが、はっきりと殺生が嫌いな人だと分かります。お父さんもそれに倣っている。最後は殺さず殺されず、動物園に行くという結末。それがクマにとって幸せかというと微妙ですが、昔の価値観では最善の終わり方なんだろうなと。
そんなところでも時代による価値観の違いを感じました。