『おーい、出てこーい』から
「処刑」
かなり殺伐とした気分になる。
死刑が確定した男が、水も食料もない砂漠の小惑星に銀色の玉を持たされ置き去りにされる。銀色の玉からだけ水や食料が出るが、押せばいつ原爆が爆発するか分からない。なんという残酷な処刑方法だろう。着想に舌を巻くとともに、作者の、人間や人生への厭世感を垣間見る思いがした。
小惑星が発見されてからの盛り上がりと資源を採り尽くしたら廃墟となった町は、先日テレビで見たチリの砂漠化した町を想起させられた。そして一回一回いつ爆発するか分からない恐怖、乾きや生への渇望と狂気がリアルで緊張感があった。もったいないほどあっさりした説明で進行する中に、そういう人間の現実が生々しく描かれていて、極端な話なんだけど本当にありそうな感じがするのだった。