午後、MさんとHちゃん姉妹と公園に行ったら、春休みなので大きいお兄さんお姉さんたちがいっぱいいて、ちょっと失敗だったかなーという感じだった。
そこに、5〜6歳くらいの男の子が緑と金色のびかびか光る玩具の剣(40センチくらいはあった)を2本持ってウロウロしていたので、ああーこりゃあコレみたらうちの子はヤバイなあと思っていた。
案の定、その男の子の剣をみつけて釘付けになり、その子も息子にこれ見よがしな動きをしていた。遠目から見ていると、どんどん付いていってしまい公園の別ゾーンまで行ってしまったのでそろそろ連れ戻そうかと思っていた矢先、剣で脅かされたみたいで半泣きで戻ってきた。それにしても、人見知りしないとは思っていたが簡単に誘拐されるなあ息子。
しかしその子は再び何度も息子の近くに寄って来るので、もう帰ろうかしらと思っていたら、とうとう息子が砂遊びしているところに来て「いっしょにあそぼ」と声を掛けられてしまった。息子が何も返事しないでその子を見つめ返していると、剣をひとつ息子に渡すので、もとより剣が気になって仕方ない息子は受け取ってしまった。
内心シマッターと思いながらも「ありがとは?」と礼を言わせると、その子は息子と遊ばずに私の横にしゃがみ、息子がそれまで遊んでいたお砂場道具で地面を掘り掘りしながら私に「うち今日電気消えちゃったんだー。テレビも見えねえの。ブレーカーがいかれて。めしも食ってねえし」
等と話し始めるのでびっくりしてしまった。「えー停電?たいへんだね。ごはんたべてないの?おなかすいちゃったね」などと相槌を打ったものの、一瞬電気止められちゃった家か?と思った。その子の服もだぼだぼのお下がり風でスゴク汚かったので。「今日はひとりできたの?お友達は?」と聞くと、ひとりできたという。
その間、息子は借りた剣を大変嬉しそうに愛でてポケットに挿したり鞘から出してはしまってみたりを繰り返していた。

その後やっぱりチャンバラ的なものが始まったのだけれど、心配していたよりも二人とも慎重に剣あわせをしており、ほほうと思った。
その子は、私が監視していることを充分意識した気の使いようをしていたので、見た目よりしっかりはしているのね〜と思ったけれど、やっぱりだんだんエキサイトしてきて剣あわせだけじゃなく身体や頭を切るマネを始めたので「寒くなってきたから帰ろう」と切り上げさせた。
こういう時、誘われても「まだ小さいからできないの」と最初からやらせない方がいいのかなーと迷うところだけれど、せっかく声を掛けてくれたのにムゲに断るのも私の気の弱さから出来ず、どうせいつかはやるんだから見ていて「顔や目はやっちゃだめだよ」と息子に教えるほうがいいかなという気持ちもありやらせてみたのだった。
しかしまあ、子供は子供なりに危ないものを扱う感覚というのをある程度は心得ているものなんだなあ。
その子は私が砂場道具を片付けようとしたら、無言で私から袋をとり、さっさと片付けてくれた。「遊んでくれてありがとね」と言ったけれど、その子も遊び相手が出来て嬉しかったろう。私としてはいろいろフクザツな思いが残った。