東北大学名誉教授の故人、近藤正二氏の著書に「日本の長寿村・短命村」(サンロード)というのがあります。
近藤教授は、70歳を超えて、健康で働く日本人が、ヨーロッパに比べて少ないことに注目し、日本全国の1千ヶ所ほどの市町村に実際に訪れ、生活することで、長寿のための生活をデータとして、確立しました。
健康で働いている70歳以上の人の人口比で割り出した、「長寿率」によると、15%にも達している長寿村がある反面、1%台の短命村もあることを発見し、生活習慣、風土、気候など様々な面から調査した結果、食事が大きく関係していると結論付けています。
長寿村の特徴としては、無精白の雑穀や、豆腐、納豆などの大豆製品、沢山の種類と量の野菜を食べ、小魚や海藻類も継続的に食べています。
反対に短命村では、米食に偏っていたり、また、魚類だけを中心にしていることが、統計として分かりました。
米や魚も身体に良い物だと思いますが、いくら体に良い物であっても、偏った食事では、健康には過ごせないということです。
これは、人間についての調査ですが、犬や猫の食事についても、大きなヒントになると思います。
特に手作り食を与えている場合で、「馬肉が良い」と聞けば、馬肉ばかりを与えているケースもあるようですが、それでは、偏ってしまいます。
「馬肉が良い」ではなく、「馬肉も良い」と受けとってください。できるだけ色々な種類の肉類や野菜類を与えるのが良いと思います。
ドッグフード・キャットフードを中心に与えている場合で、タンパク質が偏らないように、フードをローテーションして与えている人もいます。
それはそれで、ひとつの方法だと思いますが、それよりも、フードだけで与えずに、肉類や野菜類を、トッピングして与えるのがお奨めです。
手作りの食事と同じように、その時々で、色々な種類の肉や野菜を混ぜて与えてあげてください。
栄養バランスがどうこう、という考え方もありますが、長寿村の人達は、栄養バランスなどは気にしていません。
そんなことを気にするよりも、一般に犬や猫に与えてはいけないと言われている食材を省いて、出来るだけ、多くの種類の食材を使うことを心がけてください。
そうすれば、栄養バランスは、気にしなくても、自然に整ってきます。
また、上記の本の中では、カボチャとニンジンを強く奨めています。
元々、栄養価も高くて、良い食材には違いないですが、それ以外にも、今の栄養学では、判明していないような効能があるのかもしれません。
是非、食べさせてあげてください。
人間と動物を全く同じに考えることは出来ませんが、食事に関しては、参考になる部分も多いと思います。