アレルギーをはじめ、生活習慣病と言われている子で、食事や栄養素の面で充分な対応をしても、完全に改善できない場合があります。
また、食事には細心の注意を払っていても、重大な疾患にかかってしまう子もいます。
そんな場合は、食事面だけではなく、日常生活や性格面にも目を向けてください。
ずっと以前、ペットフードやワクチンが一般に普及しだした頃から、それまでは、室外の犬小屋で、または、放し飼いで生活していた犬や猫が、室内で飼い主さんと一緒に暮らすことも多くなってきました。
そのため、それまでは一切接触していなかったような、化学物質や電磁波、タバコの煙、などに接することが多くなったことが、慢性疾患の原因になっていることもあると思います。
また、それまでの室外での暮らしと比べると、飼い主さんと一緒に過ごすことが多くなり、常に飼い主さんに甘えられること、また、リラックスしている時間が多くなったこと、なども、大きな違いです。
この、大きな意味での、リラックス、という感覚が、ひとつ間違えば、免疫機能の異常につながることがあるんです。
簡単に説明すると、動物の自律神経は、緊張のときは、「交感神経」、リラックスしているときは、「副交感神経」が働きます。
交感神経は、キズを治したり、また、胃腸をはじめ、各内臓器の防御機能を強く働かせ、副交感神経は、一般に免疫と言われている、体内の異物の処理などに強く作用します。
これは、どちらが重要だということではなく、バランスが重要なんです。
室内で過ごしている犬や猫は、リラックスしていることが多く、緊張感を持つことが少なくなる傾向があります。
それが極端になってくると、副交感神経のほうが圧倒的優位になり、自己免疫性疾患のような症状が出てくることが多いんです。
(免疫学について、語りだすと、際限なく深くなってしまいますので、簡単に説明しました。)
一般的には、「怖がり、甘えんぼ、寂しがり、閉鎖的、おとなしい、というような子」、また、「散歩が嫌いで、常に飼い主さんだけを頼りにしている子、にもかかわらず、飼い主さんに対しては強気でわがままな子」、などに、その傾向が強く見られます。
そんな子には、楽しみながら緊張するような状況を多く作ってあげてください。
犬の場合は、毎日散歩に行くことはもちろんですが、散歩のコースを変えたり、知らない場所へ連れて行ったり、また、飼い主さんも一緒に、大はしゃぎするような遊びも取り入れてください。
とにかく、ワンちゃん・ネコちゃんも、また、飼い主さんも、行動的になることと、明るく前向きに考えること、また、必要以上に甘やかさないこと、庇いすぎない事も重要なことです。
すぐに効果が現れるということはないと思いますが、とても大切なことです。
室内飼育が悪いということではありません。
自分の考えでも、室内飼育が理想だと思っていますが、そのことが原因で、新たな問題を作り出すこともある、ということは分かっていてください。
また、年齢を重ねるごとに、副交感神経が優位の割合が強くなってきますので、高齢になれば、若い頃以上に、楽しみながら緊張する場面を多く作ることが必要です。
アレルギーに限らず、ワンちゃん・ネコちゃんの健康のためには、食事管理だけでなく、毎日の生活や環境、また、性格や、しつけの問題でも大きな影響があります。
色々な部分で、バランス良く暮らしていくことを考えてください。