出産日記(1)から続きます。
出産直前の、まさかの分娩室の空室待ち。さすが、運の悪いワタシ。
若干グロ注意。お食事中の方、出産は生命の神秘と信じて止まない人は読まないで。
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9月1日朝09:00
「待つ」
ということが、世界で一番大嫌いなワタシへの神様のイタズラか、それともイラチなワタシへの罰か。
なにゆえ、この極限状態で排隊(パイドイ、順番待ち)。
しかし、ないものはない。また、歯を食いしばり、がんばる。というか、もう、既にだまっちゃいられない。ベッドのうえで、のたうちまわる。
その状態で、しばらく悶絶。もう一度、通りかかった看護婦に震えながら聞くが、まだ部屋は空かないとのこと。
それまで、大和なでしこらしく、粛々と産み落とそうと、歯を食いしばっていたワタシでしたが、いつ空くともわからない分娩室に入れる時まで、ここで激痛に耐えなければいけないという厳しい現実に直面、かつ激しい絶望のため、ついに精神崩壊。ガラガラガラガラーーー。号泣。
どこぞの女子たちか知らんが、早う、産め!さっさと、産み落として、ワシに部屋あけわたさんかい!!!!!!
もう痛みは限界。限界すぎて、ゲロを吐く始末。
看護婦が桶を取りに走ったが、間に合わず。ハーバービューの窓辺のベッドにゲロを吐き散らかすワタシ。
しかも、それでもまだ分娩室には移動できないとのことで、引き続きゲロまみれのベッドで待機を命じられる。もちろん、ゲロはそのまま、誰も処理してくれない。
(´・_・`)
ワタシが何をしたというのだ・・・ワタシのベッドの周辺、ごっついゲロ臭いし、ごめんやで、ほかの妊婦さんたち。
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9月1日朝09:20
もう、無理でーーーーーーーーーーーーーーーす!!!
分娩室がまだ空かないことへのいらだち、出産初心者のワタシでも産める状態まできていることがわかるくらいの激痛と恐怖、そしてゲロにまみれて放置されている屈辱があいまって、アキコぶちぎれる。
どうでもええ、なんでもええ、廊下でも、トイレでもどこでもええから、産ませろ!!!!!という強い思いを伝えたく、
いたーーーーーーい!!
助けてーーーーーー!!
と、日本語で大声で叫んでみた。
ワタシの大絶叫を聞いて、看護婦がすっとんできた。
そして、子宮口を再度チェック。看護婦が『やばっ』みたいな顔になり、どこかへ連絡をして、あれよあれよとベッドごと、どこかへ運ばれるワタシ。ほかの妊婦は車椅子で分娩室に移動だったのに、複数の看護婦に囲まれ早足で運ばれるワタシは、まるで救命病棟24時のオープニングのワンシーンみたいでちょっとかっこいい。
そして、ついに分娩室に運ばれていったのです。
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9月1日朝09:30
分娩室に入ると、ワタシはベッドごと、助産婦さんと思われる人たちに引き継がれた。6、7人は助産婦さん、看護婦さんがいたと思う。
その人たちが、口々に英語で、
「You are safe!!! もう大丈夫、安心して!」
とワタシを励ます。まるで、重体のけが人が手術室に運ばれるときみたいなスピード感。
陣痛って、間隔をおいてやってくるから、マックスに激しい陣痛のときでも、波がひくと普通の状態に戻るのですよね。だから、ところどころ正気に戻って、客観的に観察できるのです。
「相方に、だれか相方に電話をしてください・・・。たぶん、家にいると思います。」
とそれだけ伝えると、分娩台に乗せられ、あっといういう間に出産がはじまったのです。
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9月1日朝09:40
分娩室に上がって、ばたばたと体中にいろんな機械?をつけられると、すぐに笑気ガスのマスクを渡された。
この笑気ガスがどれだけの効果があったかよくわからんが、とにかく、痛いと思えば好きなだけ自分で吸えというので、ひっきりなしに吸ってみた。
それでも、痛い。痛みのレベルは最高潮で、トラックが腰に衝突してくる衝撃から、ワールドトレードセンターに旅客機が突っ込んでくるくらいの衝撃で、腰が割れてしまうのでは、いや、もう割れているだろう。くらいの痛みになって、ワタシは叫びまくり。
遠くで相方の声が聞こえる。
家から病院まで来るの早くねぇ?ワタシは途中で気を失っていたんだろうか??
その後、3,4回ほど陣痛の波が訪れる。もう何がなんだかわからん。
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9月1日朝09:50
相方が分娩台の横に来て、ワタシの腕をさすっている。
今までずっと一人でがんばってきたから、相方の姿を見て、心底ほっとした。
そして、助産婦さんから、
「次の陣痛が来たら、思いっきりいきんで!」
と指示が出た。
え?
ワタシの前知識と、お友達の経験談では、お産の何がつらいって、いきみたいのにいきんじゃだめと言われる、う〇こしたいのに出しちゃだめっていわれる、あの時間が一番きつい。と聞いていたのに、こんなに早くいきんじゃっていいんすか?
まあ、いい。
いいものは、いいのだ。
そして、分娩スタート!!
きたたたたたたった〜〜〜〜陣痛がきた〜〜〜〜〜〜
助産婦さんが、いきめ〜〜〜!!!という。う〇こをきばるみたいにいきめ〜〜〜〜という(本当にそう言ってたし)。
ワタシはがんばって力を入れてみたけど、うんともすんとも言わない。全身の力をこめていきむが、とにかく痛いし、何も変わらない。
そもそも陣痛で痛くてたまらんポイントに力を入れてもっと、痛くするなんてマゾっ子たっぷりなプレイは無理です!
そんなこんなしてるうちに、陣痛の波がひいていった。
何度かいきんだけど、毎回ダメ。痛いだけ。
陣痛の合間には助産婦さんから、いろいろとダメだし。こうしろ、ああしろとか、ポジションがずれているとか、私たちは楽に産ませてあげたいけど、あなたが協力してくれないと、誰もあなたを助けられないのよ!!などと怒られる始末。
その間、相方が助産婦さんに、
「だいたい何回くらいいきめば出るんですか?」
と聞いたところ、
「だいたい1時間くらい。となりの部屋ではもう10時間もいきんでる」
とか言ってるし!
むり、むり、むり、むり、むり、むり、むり、むり
こんなごっつい痛いの、1時間も無理、まして10時間とか100回死ぬから!!!!あと1回で終わらせてやる!!!!!
そして、すぐに次のウェーブがやってきた。
頭の血管がブチ切れるのではってくらいに、いきんでみた。もう、なにがなんだかわからん。とにかく、う〇こきばるのと同じ方式でやってみた。
どうやら、今回はよかったらしい。
相方が髪の毛が見えた!アコちゃんがんばれ!ハーマイちゃんの髪の毛が見えた!と興奮状態。
もう、ワタシは息も絶え絶え、叫びすぎているのと、力を入れすぎているので、過呼吸状態になって、パニックになっている。たぶん、白目むいて泡吹いていたはず。
後で相方に聞いたところ、いきんでいるときのワタシは相当乱れており、断末魔の叫び声と鬼の形相で、相方はかなりびびっていたらしい。知り合って10年間、今までいろんなアコちゃんを見てきたけど、あんなに怖いアコちゃんは初めてとのこと。って、普段から出産並みの鬼の形相したオンナおったら怖いやろ。
そこで、助産婦さんが会陰切開をしますか?切開したら、あと少しで生まれますよ。と聞いてきた。
もうどうでもいい、この苦しみから逃れられるのであれば、どこでも切っとくれ〜〜〜
「ダッ、ダッ、ダッ(広東語でOK,OK,OK)ごーーーーあへーーーーーーーーーーっど!!」
ってことで、ぷっつり切られた。切られた感覚と、痛みはあったが、もうどうでもいい。どうでもいい。どうでもいい・・・・
そして、次のウェーブがやってきた。今度は軽くいきめという。そこで、軽くいきんだ。
ベッドの脇の助手みたいな人が、長いチューブみたいのを取り出したのがみえた。なんだ、なんだ今度はこのチューブを入れるのか?
もう、自分の下半身がどのような状態になって、いったいどんなことになってるのか、想像もつかない。とにかく、どうでもいい、なんでもいいから、早く終わらせたい。
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9月1日朝10:05
次のウェーブでまたいきむと、とんでもない痛みと共に、何かがニョロンって出た。そして、その瞬間、股のほうから、甲高い赤ちゃんの泣き声が聞こえた。
(o´Д`)=з おぉぉぉ、産まれたのか
9月1日10:05 体重2750グラムの小さな小さな女の子。
3,4回のいきみで生まれたので、結構安産だったのではと思われる。
出産前は、赤ちゃんが生まれて、産声を聞いたら、きっと感動で涙が出てくるんだろうな、とか思ったけど、実際、そのときのワタシは放心状態。笑気ガスで少し意識も朦朧としていたのかもしれないけれど、とにかく脱力。
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9月1日朝10:15
通常、お産が終わると、胎盤やら何やら不要になったものが自然に体外に出て行くのですが、ワタシの場合、胎盤がぴったりとくっついて、ぜんぜん出てこなかった。
1時間近く、助産婦さんが手を突っ込んで、ぐりぐりぐりぐり、なんかしてたけど(もう、本当にいったいワタシの下半身はどうなってんだか。なんで人の腕が簡単に入ってるんだ?ワタシの体は今後どうなるんだ?)、結局ダメで、全身麻酔をして、胎盤を摘出する簡単なオペをしますといいって、麻酔科の医師や産科の医師の手配をして、麻酔の同意書へのサインを求められた。
っていうかー、あれだけ無痛分娩でお願いしますって言ってたのに、肝心のお産のときは麻酔なしで、後産で全身麻酔かよ!!どないやねん。
だけど、連絡を受けてやってきた産科の先生が手を突っ込んで、ぐりぐっりってしたら、ドボドボドボーンって、胎盤が出てきて、結局、麻酔も手術も必要なかった。一部始終は、天井の蛍光灯のアクリル板に反射して、ワタシからも見えたのだけど、我ながらきもかった。
そして、局部麻酔注射を打ち、会陰切開をした部分の縫合をして、終了。
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9月1日朝11:15
縫合が終了すると、体をきれいに洗ってもらったハーマイちゃんがやってきて、分娩台に寝たまま、いきなり授乳を開始。生まれてすぐなのに、おっぱいにすいつくわが子は、とてもいとおしい。
分娩室では写真撮影は禁止、ということだったけど、分娩終了後はしばらくの間、ワタシと相方とハーマイちゃんの3人だけだったので、いっぱい記念写真とることができました☆
こんなかんじでハーマイちゃんはこの世に生まれたわけでございます。
妊娠中、出産の痛みについてワタシはいろいろとネットで調べていると、たくさんの人が「案ずるより産むが易しですよん♪」とか書いてた。しかし、ワタシは断言する。こんな痛い思いをするなら、一生案じてたほうがいい。
笑気ガスを使って、この痛みやったら、何の麻酔も利用しない自然分娩なんか、どれほどの痛みよ?すごいな、日本の妊婦。もし、次に赤ちゃんを産むなら、絶対に帝王切開やね。

はろ〜わたしハーマイ!

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