ここにちょっと歴史を感じさせる写真があります。

今を去ること20ン年前、箱根ブルーグラスフェスで行われた、コンベンションの入賞者の記念撮影です。右端は、東京で活躍中のプロミュージシャン、ヒロこと
有田くん、左端は、北海道で活躍中のフィドル弾きみさおさんです。で、真ん中にいるのがうちの相方です。
この時、相方はなぜかおちゃらけた演奏で優勝し、先年まで使っていたマンドリンを手に入れました。まじめに、まともにマンドリンを弾いたみさおさんは準優勝でした。ヒロはどっちだったのかな?ともかく、相方に言わせると、その年以降、現在に至るまで、ウケ狙いのネタ指向に走るコンベンションになったそうです。
で、何故この写真を持ってきたかというと、偶然にもこのお二人のライブをここ1週間で、続けて見ることができたからです。前述のように、一人は東京、もう一人は札幌在住です。しかも、メジャーな歌手のレコーディングやツアーに参加して活躍しているヒロは、普段はあまりバンジョーでブルーグラスを演奏する機会はないようです。ところが、今回はブルーグラスに対する強い思いを、先日東京でも相方に語ったとのことで、それはそれは楽しみなライブでした。
まず20日(木)、平日の夕方6時半開場。当然職場からの直行で、カメラも忘れて画像はありません。今回のライブは、来日中の、フィクション・ブラザーズのG&Vo、アラン・セノーキと、古い音楽仲間達とのセッションだったので、恐らく音合わせも当日初めて、だったのじゃないかと思います。
アランについては、申し訳ないですが、かつて私が大好きだったアルバムの歌とはずいぶん違ってしまってるなあ、という感想しかないのですが、(年齢を経た枯れた歌、とか味わい、みたいなのはありましたが。)有田くんのバンジョーは、実に気合が入ってて気持ちよかった。バンジョー弾きさんなら、もっと詳しく具体的に、あの曲のこのフレーズが、とかここのタイミングが、とか言えるのでしょうが、なんせ楽器のことはさーっぱりな私、とにかくぽけえーっと口をあけて見ていました。
フィドルの岸本一遥さんは、昔からファンなのでもちろん、ふだんアホなことばっかり言うて笑わせて下さる谷村順造さんのマンドリンも、火を吹いてました。あー、かっこええなあ、こんな人たちが集まって毎週のようにわいわい遊んでたんやなあ、と今更ながら、贅沢な青春時代に思いを馳せたりしました。彼のバンジョーとブルーグラスへの思いが伝わってくる、そんなライブでした。
そして、真ん中の人が演奏したのが22日の土曜日。これは既にお伝えしました。で、最後が昨日24日(日)、みさおさんの所属する、アイリッシュバンド
Hard To Findのライブです。二日前に、いい夫婦の日ライブをやった時、マスターに
「そうだ、日曜のライブの予約お願いします。」
というと、即座に
「あ、もうダメ、いっぱい。」
と返されてしまいました。
えー!?楽しみにしてたのにぃ、お願いしますよぉ・・・と泣きついて、何とか二人分お願いしました。
席がなかったら、カウンターの中でもいいです、と言ってたら、なんと!本当にカウンターの中でした。
実は、上の娘がアイリッシュ大好きで、ネットから色々取り込んで聴いたりしています。模試も終わったところだし、たまには息抜きも必要よ、と無理やり誘って連れてきたので、彼女の席を確保したかったのです。
そして私は用意されたソムリエエプロンをつけてカウンターに入りました。本当に大盛況で、娘曰く、「あんなにお客さんが入ったオッピドムを初めて見た。」とのことでした。席は全て埋まっていて、立ち見の方もかなりおられ、また通路が狭いので、ほとんど動くことができません。
これブルーグラスのお客さんやったら絶対文句でてるよなあ、でもアイリッシュのファンの方って、すごくお行儀がいいのです。演奏中に「マスター、ビール!」なんて言わないし、隣の人と大声でおしゃべりもしないし、(なんて・・・ブルーグラスファンが皆、いつもそうだということじゃないですよ、もちろん。)なので、カウンターの私も、ステージはしっかりと、もれなく聴くことができました。ただ、お運び見習いとしては、色々ご不自由をおかけしたなあ、とそれがちょっと申し訳ない気持ちです。
アイリッシュ、詳しくないですが、聴くのは大好きです。音のうねりに身体も心も任せてしまうと、ものすごく気持ちいい。
みさおさんのフィドルは、やさしく、でも力強く、一音一音がていねいに聞こえて来ます。
健さんのハンマーダルシマは、音だけ聴いて娘にはどんなものか想像できなかったようで、現物を見せてもらってビックリしていました。「こんなにたくさん弦が張ってあるのに、よう間違えんと叩けるもんやねえ。」おい、感心するのはそこかい!?
何ていうんでしょう、表現するの難しいけど、打上げ花火の上がった後、散らばって落ちていくキラキラとか、水中に小石を落としたときの波紋の広がり、とかそんな雰囲気のする音ですね。
フエ好きの娘は、想像してたとおり、やはり扇柳さんに一番興味を抱いたようでした。自分も笛をやってみたい、とちょっと思っているようです。進路が決まったらぜひがんばってほしいなあ。うまくなって、たまには両親のサポートもしてくれると嬉しいな。
そしてギターの星さん、ブルーグラス出身の方だと伺いましたが、アイリッシュ独特のリズム(難しそう・・・)でバンド全体をしっかり支えておられるなあと思いました。
いい音楽でお腹いっぱい(けどご飯食べてなくて空腹)のまま、30分かけて駅まで歩きました。興奮してた娘には、ちょうどいいクールダウンになったようです。CDもサインしてもらってごきげんでした。3連休で子供孝行をしたのはこれだけ。しかも3人のうち一人だけです。
余談ですが、有田くんと相方は、かつて彼が大阪にいた頃、一緒にバンドを組んでいました。実は私も彼とユニットを組んで、バンドコンテストに出たことがあります。その時は審査員特別賞か何かをいただきましたが、それは間違いなく、有田くんと、もう一人、一緒に演奏したフィドルの大矢貞男くんのお陰でした。
もうひとつ、Hard to Findの小松崎夫妻とは、ハネムーンに行ったワシントンD.C.のコンサート会場で偶然お会いしました。あちらもハネムーンだったように記憶してますが、違ったかも。