スタジオの帰り、スーパーに買い物に行った。
魚売り場を見ていたら、大きな発泡スチロールの箱の中に水がたっぷり入っていた。
近寄って見てみると、中には大きなカニがいるではないか!
カニは生きており、足というか手の端から端までだいたい40cmはあろうという大きさだ。
値段を見ると、6000円。
おー。
口をぱくぱく動かして、泡をぷくぷく出している。
目はきょろきょろ。
足を動かそうとするものの、発泡スチロールの入れ物がカニの大きさぴったりで、全然動けない。
カニのことを考えて、発泡スチロール箱の端には、空気を水中に送り込むポンプが回っている。
カニ。
カニカニ。
ちょっとカニと一緒にいたくなった私は、ギターをしょっていることも忘れ、腰をかがめてカニをじーっと見ていた。
あは。
楽しい。
と、思ったそのとき、後ろから声がした。
「あのう、すみません」
「あっ、あっ、すみません!」
そうだよね。
ギターしょった人が腰をかがめてカニを観察していたら、その通路通れなくなっちゃうもんね。
失礼、失礼。
あんな大きなカニと20cmの距離で見つめ合ったのは、初めてかもしれない。
スーパーだけど、水族館みたいで楽しかった。

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