2021/7/16 | 投稿者: pdo

本日の一曲目:Azymuth - Fly Over The Horizon



全国0局ネットでお送りする妄想電波の時間がやってまいりました。さいきんテロリストと間違えられて国立競技場の前で職務質問をうけました、今夜のナヴィゲーター、コーネリアスこと小山田圭吾がお送りしています。

来週の木曜日と金曜日が祝日であることに今気づいた今夜のナヴィゲーター、コーネリアスこと小山田圭吾がお送りしています。

東京オリンピック開幕までいよいよ一週間を切りましたね! 

昔、「クロスオーバー・イレブン」というFMのラジオ番組がありまして、本日の一曲目はそのテーマ曲です。懐かしく感じる方は、私と同世代ですね。

というわけで、今日は懐かしの「クロスオーバー・イレブン」のスタイルで、「もうすぐ、時計の針は12時を回ろうとしています。今日と明日が出会う時、クロスオーバーイレブン…」というナレーションを渋い男性俳優さんの〈あの声〉に脳内変換してもらえたら嬉しいです。

本日の二曲目:フリッパーズ・ギター「サンバ・パレード」


本日の三曲目:コーネリアス「MUSIC」


〈スクリプト〉朗読:津嘉山正種

老作家となった三輪俊介は、夢の中にいる。

彼は都電に乗ってどこか東京の下町に行こうとしている。たぶん勤め先の大学へ辿りつこうとしている。乗り換えをしなくてはならない。昔は、戦後であっても一枚の切符を使って次々と乗り継ぎをつづけると、遠方まで行くことができた。

彼は今、そんなふうにして目的地へ行こうとしているのだが、最初の乗り換えでつまずいてしまった。

そんなことは、それまででも度々あった。だから同じようなことになってしまった。そうなると早く誰か道順に詳しい人を見つけてきかなければならない。度々あったというのは夢の中でのことで、夢の中にあって、何度も経験したことだと思っていた。

いつしか電車道を離れてしまっていた。住宅地、商店街を歩きに歩いて、運よく別の電車道に出るしか仕方がない。既に道行く人に尋ねたようだが、それでも依然として、知らぬ道を歩いていることになってしまった。

いつもこんなふうなのだ。ある住宅地の路地に入って行った。そんなところに踏み迷ってしまっては困ると思いながら行くうちに、一軒のシモタヤで道を訊いてもいいような気がした。

案内を乞うと、ひとりでに家の中へ入って行くことができ、奥座敷まで入りこんでしまうと、床の間を背にして和服を着た老人が坐っていて、何かをしてい た。何か道具の品定めをしているように思えた。

ちょっと時間が経った。

彼は道を尋ねることも忘れていた。老人のそばには、これも和服の婦人が坐っていた。

彼は闖入したかたちになったが、咎められている気配はなかった。そういうときには、そのままそこにいてじっと見ているというのが、この老作家の若いときからのやり口であった。

そんな横着な有様では、不意に殺されるハメになってもしかたがないことも分っていないわけではなかったが、一度そうして入り込んでしまって、その家 の家族(?)といっしょに坐っていると、どんなひどいことが起きても決して後悔することはないだろう、と彼は思っていた。さっきもいったように、それが彼の生きてきた態度であった。

とてもとても甘美なことであった。何が、起ころうとも、そう、で、あっ、た――。


本日の四曲目:Butéco - Celso Fonseca



<スクリプトつづき>

とにかく夢の中で彼は座敷の中で坐り込んでいた。行く先々で行く道をきいたはずだが、ハッキリとした返答はなかった。

気がつくとすぐ右側の手の届くところに見知らぬ婦人がいた。彼女は背中を見せているだけだが、だんだんと、それで十分だと思えた。そのうち彼女が坐ったまま近づいてきて、いつのまにか彼の膝の上に乗っていた。そうして彼に抱かれることが当然で、部屋の中にいるほかの人物たちも、それを望んでいるようだった。

彼と彼女とほかの人物たちも、そろって同じ思いで充ち溢れていて、どうしても抱き合いをせずに済ますわけには行かなかった。

どんなことを犠牲にしても、そうせねばならず、そうしなければ生きている印もなく、彼は人でなしであった。

彼は彼女の耳に何ごとかをささやいて、重い彼女の身体をもちあげて、自分の脚をのばして、その状況の中にふさわしい姿勢をとった。ささやいた言葉が何であったか、彼にとっても秘密であった。それも不思議なことであった。

耳にささやいたのは、悦楽へ入る呪文みたいなものであった。どの夫婦にも、そうした呪文はある。呪文によって悦楽は高みにのぼることが予定されている。

それぞれの家の中の夫婦が特有の呪文をもっている。それは夫婦がおのずと工夫、発明したものである。

人間の夫婦だけではない。アッという間のことであっても、馴れ親しんだ間柄 でないにしても、動物どうし、生物どうし、花粉を運ぶ蝶や蜂と花との間にも、それはある・・・。

そういう呪文をみんな思いつくことが正当であって、そのうちの一つがこの 男と女の間で行われようとしていることだ、という感じであった。

「あたしの背中っていいでしょう」

とさえも、その見知らぬ女はいわなかった。

彼のささやいた呪文のような隠語で十分であった。眼の前に迫ってきたときは、まだブラウスを着ていた。ほかの人物は和服であったのに、そう若いとはいえないその女は、何故かブラウスを着ていた。あとの服装は全く思いだせない。

夢の中で二人はそれから動いた気配もあったか、なかったか、思い、出、せ、ない――

本日の五曲目:I WANTED YOU - inna



<スクリプトつづき>

「非常によかった。もったいないほど、よかった」
 
と、目をさまして彼はつぶやいた。まだ目があかなかった。

「あのよさを忘れてはいけない!」

夢の中で、最初の目的や目的地のことはどうでもよく、その目的地を訊かれ ても考えることはできないように思えてきた。しかし、ずっと目的地も目的も はっきりしていた。

汽車の中はひたすら混んでいた。復員のときに乗った船の中や、佐世保から 郷里への汽車の中と同じような様子であるが、気がつくと男の子と女の赤ん坊 が一緒に乗っていて、二人はどうも彼の子供であるらしかった。

赤ん坊は泣いていた。誰も席をゆずってくれないので、泣く赤ん坊を抱いた 妻らしい女がいた。説教師と話しながら、その混雑の中でけたたましい笑い声をあげていた。すると赤ん坊はいっそう泣き声をはりあげた。

けたたましく笑いはじめると、笑っていることのほかはすべてのことを忘れ てしまうのが、彼の前の妻であったから、眼の前の彼女がそれだと、なつかしく 思えていた。

〈説教師であろうと治療師であろうと、八百屋であろうと大工であろうと、何であろうと、けたたましく笑ったらもうおしまいだ。笑っている相手とのこと のほかは、たとえ家族であっても、誰のこともかまおうとはしないのだから!〉

しかし、けたたましく笑っている妻は、夫である彼のそばからずっとずっと離れていて、彼が呼び戻してもどうにもならないほど、夢中に自分の世界の中にいる。

はじめて出会ったときが既にそうであった、と彼は思った。

長い間、笑っていたあと、ふりむいて彼の存在に気づいた。それが始まりだった。そのあとひたすら、

「ぼくは愛しているのに、あなたは向う向いて背中しか見せない」

ともいったようだった。

彼女はじっと彼の方を見た。

〈この少年を何とかしてやらなくてはなるまい〉

と、真剣そうな顔をした。

何回となく毎日のように、その女とは同じフトンで抱き合っていた。彼女の方が彼のフトンにもぐりこんできた。それは奇妙な親しさで、親しみそのもののように見えた。

夜明けまでそうしていたのに、彼女はこの世にそんな行為などあり得るはず はない、といったように何も発展せず、眠っただけであった。

「最高の記念すべき日だ」

と、夢からさめた彼は、息子がいつか、彼に向ってそうしてみせたように、片眼をあけて、つ、ぶ、やい、て、いた―――。


本日の六曲目:There Will Never Be Another You - Nara Leão And Roberto Menescal



本日の七曲目:Azymuth - Outubro (October)





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2021/6/16 | 投稿者: pdo

今日の1曲目:Break On Through (To The Other Side) / The Doors



こんばんは、渋谷陽一です。全国0局ネットでお送りしています、妄想夜電波、じつに前回から一年半ぶりのオンエアになります!

この一年半のあいだに公私ともににいろんなことがありましたね! コロナでステイホームとか戒厳令(またの名を緊急事態宣言、で合ってますよね?)とか、東京オリンピック一年延期とか、オザケン復活(?)とか、菊地成孔ツイッターで炎上!とか、ゆきぽよが干されそうになったり、本当に色々ありました!

今日この時点ではコロナ騒ぎもオリンピック騒ぎもまだどーなるかまったく分からず期待と不安が混然一体となってワクワクするしかない状況でございます!

久しぶりに妄想ラジををやりたくなったのは、ひとつにはわれらがトワイスTWICEの新曲が出たからなんですね。これはサマー・ソングとして後世に残る心地よい名曲じゃないんでしょうか。反論する奴はメす。

今日の二曲目:TWICE「Alcohol-Free」



どうですか、いい曲でせう? 本国ではトワイスと並ぶくらいの人気ヨジャドル(女性アイドルグループ)、ヨチン(Gフレンド)が急に契約打ち切りになって解散してしまい、来年が七年目の契約更新時期にあたるTWICEはどーなるんだろうか? とファンの間では期待と不安でワクワクドキドキしているようなのですが、個人的には、どっちでもいいっすね。なんでかっていうと、もうトワイスはヨジャドルとしてやれることはほとんどやってしまって、あとはもうどんどん「大人の女性」路線に行くしかないと思うんですよ。メンバーもだいたい二十代後半から三十に向かっていきますし、もう可愛い路線はニジューとかに任せればいいしガルクラ路線もイッチ後輩とかいますし、ようはもう需要がどんどん先細りなんですよね。で、個々のメンバーのポテンシャルは高いので、違う分野でどんどん活躍できるので心配もないんですよね。たぶんやめたがっているメンバーとトワイスのまま活動していきたいメンバーとに分れると思うんですが、トワイスは九人そろってないと意味がないので、出たいメンバーは出て残りのメンバーで続ける訳にもいかないと思うんですよね。個人的にはもうチェ・ンとかミ・とかツ・・とかは出た方がいいと思ってるんじゃないかな? 何の根拠もないですけど。僕はもちろんどっちになっても応援しますけど、一部のメンバーが出たとしても出たメンバーも応援しますけど、ぼくはそもそもゼロ円ファンでしかないんで(笑) ワンス(ONCE)じゃなくてゼロンス(ZERONCE)なんで(笑) 向こうにしてみたらおまえこそどうでもええわ!って話だと思うんですけどね。

そういうわけで、僕はトワイスをこれからも上から目線で微温で見守っていきます。

さて、清水翔太の「花束の代わりにメロディーを」が日プ2の課題曲になって、動画でアップされてバズりましたが、この機に乗じて(?)本人も歌ってみました。聴いてみましょう。

今日の3曲目:清水翔太「花束の代わりにメロディーを」THE FIRST TAKE VERSION



この「ザ・ファースト・テイク」という動画シリーズは、いろんな歌手が、一発どりの体でマイク一本で勝負するという企画で好評のようです。

昨年は、コロナ禍の日本社会を勇気づけるかのように、日本を代表するシンガーソングライター清竜人さんも代表曲「痛いよ」を披露して感動をありがとう、になりましたので、これもぜひ聴いてください。

今日の4曲目:清竜人「痛いよ」THE FIRST TAKE VERSION



ついでに、じゃないですが、最近公式チャンネルにアップロードされた、清さんのエレファントカシマシの代表曲のカバーも聴いてください。

今日の5曲目:清竜人「今宵の月のように」



そういえば、前回のラジオ放送以来、宮本浩次さんが、椎名林檎嬢とDUETしたり、岩崎宏美やら久保田早紀やらの懐メロをカバーしたアルバムを出したりして話題をさらいましたね。

ここで、最近のエレカシについて言いたいことがある、というお便りをいただきましたので、紹介してみたいと思います。

ハンドルネーム「人力飛行機」さんからのおたより:

近年の宮本とエレカシについて、ここではちょっと辛口に言ってみたいんだが。

或る時期まではそういうこの動画のような「ルール」でエレカシは纏まってはいたんだろうけど、今やそれはもう無理でしょう。というのも、印税による収入の格差。それはどうしようもない。一時から、2000年代後半どうもバンド内の関係が昔ほど和気藹藹ではなくなってきたんじゃないかと思えて。ギクシャクしてるように思えてきたんだけど。

2009年の日比谷屋音のDVDでも「石ちゃん俺のことじっと見るの止めてくれる?気持ち悪い」とか、ライブ中に嫌な言い方してるし。あの言い方はないだろと思えたんだけど。でもああいう言い方するほどメンバー間に距離が出来てきたってことだよね。

同時期のドキュメンタリー映画『扉のむこう』でも妙に宮本がイラついてるのが印象的だったんだけど。最初は何がどうなったのか見分けがつかなかったけど。今思えば多分カネのことだと思いますね。

作詞作曲の宮本と、それがないメンバーの収入格差は凄いでしょう。ただ宮本が強気で他のメンバーが引っ込み思案とか、それだけじゃない要素が入ってきてる気がしてたんだけど。それでしょうね。それしか考えられない。

どんなバンドにも訪れる、才能あるメンバーとそうでないメンバーの生活の格差。そっから生じる不和。宮本のソロ活動もそこからだと思うようになりました。宮本がそういう問題に敏感なら自分の印税4等分するんじゃないかと思うんだけど。海外のレッド・ホット・チリ・ペッパーズはそうしてるらしい。バンドを存続させるためにわざわざ。宮本はそういう問題鈍いのか、はたまたケチなのか。知らないけど。むしろ他のメンバーのことや生活気にかけるどころか、どんどんバンドメンバーの演奏に満足できない度合いが増幅して、とうとう外部とのコラボにやりがいみつけるようになってきた。

他のメンバーは大変だよ。もうイイ年だし。バンド以外の収入もないし。それも宮本に比べればスズメの涙。今更顔がわれてるところで別の仕事もできない。そりゃあやってられない(笑)宮本がソロ活動まで始めて色んなコラボして名をはせて。脚光を浴びて。これで宮本がまたバンドもどってきてふんぞり返ってリハーサルで命令してくるとか、やりきれんだろ。


なかなか本質的な問題を突きつけるヘヴィーなコメントだと思いますが、正直どうなんでしょうね、このへんって? ロッキンオンジャパンあたりでインタビューしてくんないかなぁ? 最近読んでないんで読むかどうか分かりませんが・・・

『扉の向こう』は僕もDVDもってますけど、確かに宮本氏がリハでメンバーに怒鳴りつけるような映像がたくさんあって、僕みたいな昔からのファンは、相変わらずやってんなあ(笑)くらいにしか思わなかったんだけど。あのころはたぶんセールス的にも一時期のようなことはなくて、いい作品は出すんだけど、売り上げが伴わないみたいな厳しい時期だったのかもしれない。

宮本氏のソロ活動が目立つようになったのは、メンバーとのカネをめぐるギクシャクが原因とは思いたくないけれど、メンバーにも自分たちの生活ってもんがありますからね。素直に「ミヤジがんばれ」と応援する気持ちばかりじゃないのかもしれない。ホントどっかでミヤジ以外のメンバーにインタビューとかしてくんないすかね。変にモヤモヤするのヤダし。事務所も移って、文化勲章みたいなのももらったのはいいけど、石くんとか他のメンバーも報われてほしいですよね。そういえば宮本氏は最近フライデーかなんかで撮られてたみたいですね。世間的な反応はほとんどゼロに近かったと思いますけど。だって、どうでもいいじゃんね、五十過ぎた独身男が女性と一緒に住んでたって・・・

今日の6曲目:エレファント・カシマシ「おはよう こんにちは」



さて、ほんとうは今日はこの曲をかけたかったんですよ。

また清水翔太さんになりますが、5月に出た新曲が神曲。何がって、歌詞が。

そのまま載せたら訴えられますんで、オリジナル英語訳で載せます。

本日はこれを聴きながらお別れです。サヨナラ サヨナラ サヨナラ

今日の7曲目:清水翔太「恋唄」



I was eager to know you
I felt pain because that was beyond my potential

Honestly I loved you, perhaps I loved you too much
Even when I knew we ended up at last

You were always beautiful and bright
Maybe you have changed me somehow
Maybe I bite my nails less and I go to bed earlier than before we met

My love was near and my love was far
Now it is only so far

I can’t love you anymore
I can’t be loved by you anymore
But my thought about you remains the same
I have to go to office as soon as I eat my breakfast which has no taste

I had nothing to fear as long as you were here
I now realize I am so powerless since you left me

Only time I got angry with you was when you lied to me

I have no troubles since you left me
You will bring me no troubles anymore
But everything we enjoyed seems to have no meaning to me now

I feel I could not save you at last
Maybe I was too weak
I only wish you are with a nice man now

I can’t love you anymore
I can’t be loved by you anymore
But my thought about you remains the same

I don’ t know why things turned out like that way
I don’t know whether that was for our dreams or anything else
Anyway, Bye-Bye

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2019/12/16 | 投稿者: pdo

今日の1曲目:Happy Christmas / John Lennon



季節柄クリスマスソング特集ということで。定番中の定番チューンからはじまりました。こんばんは、渋谷陽一です。

続きまして、今日のK-POP、というか、今日はクリスマスでKが続くと思いますけれども(ダイゴ風に言えばKKK)、エクソの「12月の奇跡」という曲を。

今日の2曲目:12月の奇跡 / EXO



EXOは毎年に冬になるとクリスマス向けのミニ・アルバムを出していた時期があり、そのいずれも傑作だと思います。

今日の3曲目:Christmas Day/ EXO



続いては、今月出たばかりの、IUのクリスマス・ソングを。

今日の4曲目:First Winter/ IU&SUNG SI KYUNG



どんどん行きましょう。

今日の5曲目:去年の今日も〜タワーのクリスマス/ yes,mama OK?


今日の6曲目:The Christmas Song / 菊地成孔


「雨は夜更け過ぎに 雪へと変わるだろう」なんて歌詞は、地球温暖化と共に廃れていってしまうのでしょうか。

今日の7曲目:クリスマス・タイム・イン・ブルー(聖なる夜に口笛吹いて)/ 佐野元春

「クリスマス・イブ RAP」という曲がありますが、次におかけする曲、つまり今日のラスト・ナンバーは、「クリスマス・イブ RAP」とは真逆のベクトルにある曲でございますナ。

岡村ちゃんとキックザカンクルーは後に「住所」という曲でコラボする運命にあったとは、当時の彼らには知る由もなく。

今日の8曲目:Peach Xmas / 岡村靖幸



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2019/12/11 | 投稿者: pdo

今日の1曲目:Only With You / Taturo Yamashita



こんばんは。本日は「山下達郎のサンデー・ソングブック」風にオープニングをお届けいたします。

さて、前回の放送をお聞きになった方から、曲の内容が暗すぎて辛かった、とのお便りをいただきました(笑)。これはたぶんShingo2さんの「No.13」という曲の歌詞のことだと推察しますが(笑)、前回の放送でも申し上げました通り、この曲には同じ歌詞でバージョン違いのものがございます。こちらは「No.13」が収録されているアルバム『緑黄色人種』が2002年に再発されたときに新たに収録されたバージョンになります。こちらのバージョンは同じ歌詞でも癒されると思いますので、前回の放送で落ち込んだ方もこちらで癒されてくださいませ。

今日の2曲目:No.13(Reprise) / Shing02



本日のK-POPコーナーでご紹介するのは、JYPことパク・ジニョン先生による新曲でございます。先生と申しますのは、彼は自らミュージシャンとして活動するとともに、JYPエンターテイメントという芸能事務所を立ち上げた経営者でもあるのです。事務所の社長のことは「先生」と呼ばれて、歌番組で一位になったりするとグループのメンバーはまずカメラに向かって事務所の社長に感謝の言葉を述べる光景がよくみられます。

JYPEは過去にWONDER GIRLSやMISS.Aなど偉大なK-POPグループを多数輩出していますが、今の稼ぎ頭は何と言ってもTWICEですね。このパク・ジニョン先生の新曲もTWICE人気に乗っかって(笑)、PVの冒頭でTWICEの曲のイントロを弾いたりしてます。曲もビデオもよくできていて面白いのでご紹介します。

今日の3曲目:FEVER / J.Y. Park(Feat.BIBI)



今日の4曲目:Please Don't Stay (Once You Go Away) / Marvin Gaye



続いてお聴き頂きましたのは、マーヴィン・ゲイ不滅の名盤『レッツ・ゲット・イット・オン』より、不滅の名曲「Please(Don't)Stay」でございました(山下達郎風に)

本日最後の曲は、例によってザ・ビートルズでございます。

ビートルズのアルバムの最高傑作は何か? とは人類の抱える最大の難問の一つですが、一般的には『サージェント・ペパー』という意見が多いような気がします。

私もそれに特段異存があるわけではございません。でもちょっと持ち上げられすぎかな、という気もいたします。「抱きしめたい」や「ハードデイズ・ナイト」や「ヘルプ!」や「ドライブ・マイ・カー」や「レット・イット・ビー」のようなインパクトのある名曲が入っているわけでもなく、今聴くと変にゴチャゴチャした曲が多い気もします。

何より、これはポールのアルバムで、ジョンはあんまりやる気が感じられないんですよね。

サーカスのチラシを見ながら書いた「ミスター・カイト」とか、テレビCMを見ながら書いた「グッド・モーニング・グッド・モーニング」なんていかにも適当に作った感じしかないですし、「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」も、そこらへんに置いてあった新聞を見ながら適当に書いた歌詞という臭いがプンプンします。

でも、この A Day In The Life をビートルズ最大の名曲に挙げる人もいるくらいです。

確かにこれはすげえ曲ですよ。でも、その凄さって一般的にはあまり知られていないと思うんです。

一回聴いてみましょうか。

今日の5曲目:A Day In The Life / The Beatles



音楽的にどう凄いのかということは、時空を超えてさんざん語りつくされていると思うので、あえてそこは語りません。というか、語るだけの知識もないので。

この曲がそれまでのポップミュージックと決定的に違うところは(まあビートルズの出現そのものがそれまでの大衆音楽との決別であり次元上昇だったわけですが)、日常の風景、文字通り a day in the life (生活の中の一日)の中にとんでもない非日常が潜んでいる、というか表裏一体のものとして摩訶不思議な神秘がそこにある、ということをわずか3分そこそこで表現してしまっている、ということではないでしょうか。

この『サージェント・ペパー』というアルバム自体が、架空のバンドによる架空のステージというメタ構造になっていて、日常とは遊離した世界で行われている出来事を表現しているわけですが(実際「Lucy in the sky with Diamonds(LSD)」とか「Within You Without You」とか明らかにトリップしたような曲も入っています)、そのアルバムの最後の曲の冒頭に、「今日新聞を読んだら」とか「今日映画を見に行ったんだけど」とか、日常世界のことが語られることで、聴いている人の意識は非日常的世界から日常的世界に戻されることになります。

ああ、今までのトリップは終わったんだ、終わりなき日常に戻らなきゃ、ということになるわけです。

ひとしきり新聞を読んだらとか映画を見に行ったらとかいう話をした後で、やにわに、というか、藪から棒に、ジョンは、「I'd love to turn you on」と呟きます。「Turn on」は明かりをつけたりスイッチをつけたりすることで、「turn you on」だと、君にスイッチを入れる、つまりムラムラさせるという意味にもなります。ここでは、意訳すれば、「あんたに、違うものを見せてやりたい」とでもいう意味でしょうか。

で、あのオーケストレーションが来るわけです。どうってことのない日常の裏に、実はこんなもの隠されているんだよ、普段君は気づいていないかもしれないけれど。フォルテッシモへと高揚するオーケストラは、無限に拡大する意識の暗示です。

意識の拡大がピークを迎えたところで、再び日常の風景が来ます。「朝起きて、ベッドから出て、髪をとかして、お茶を飲んで、バスに乗って、オフィスに着いて、みんなが喋っていて、僕はうとうとする・・・」ポールが歌うこの部分は、ただ日常を描くのみで終わります。

するとジョンが、また新聞を読んで、ニュースを見て、という話を始めます。「ランカシャーのブラックバーンに4000もの穴が開いていたんだと。その穴は比較的小さかったのに、全部の穴の数を数えたらしい。その穴がいくつあればアルバートホールを埋め尽くすのに必要かまで分かったらしい・・・」どうでもいい、くだらない話です。でもニュースなんてどれもそんなものです。

またジョンは僕たちを誘惑します。「君を目覚めさせたい、こんなくだらない日常に思えるものが、意識を拡大すればどんな風に見えるものかを・・・」

そして行くところまで行ってしまって、ポップミュージックの終わり方としては極めて異例なエンディングを迎えます。

もし僕が1967年に、何の予備知識もなしに、ビートルズの新譜としてこのアルバムを聞いたとしたら、たぶん呆然となったと思います。何なんだこれは? と興奮で寝られなかったでしょうね。

ビートルズの偉大さ、『サージェント・ペパー』の偉大さ、中でもこの曲の凄さは、「彼方にあるもの」を日常の只中にあるものとして垣間見せたこと、そのようなものとして提示したことです。

それができたのは、あの当時のビートルズという存在の影響力の巨大さ、全世界の注目があったからこそで、そしてあのタイミングであの曲が出たこと、それが『サージェント・ペパー』というアルバムが歴史的事件になりえた理由です。

ビートルズは、人々の意識を変えるという、どんな哲学者も政治家も芸術家も革命家も滅多に成功しなかったことを、本当にやってしまいました。

その奇跡が凝縮されたのが、この「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」という曲でした。

もう一度聴きながら、お別れいたしましょう。ごきげんよう、またいつか。

今日の5曲目:A Day In The Life / The Beatles




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2019/12/5 | 投稿者: pdo

今日の1曲目:Yer Blues / The Beatles



ジョン・レノンの命日が今年もやってまいります。皆様いかがお過ごしでしょうか。

僕は世代的にジョン・レノンの死をリアルタイムで実感しませんでした。僕がリアルタイムで実感したポップスターの死は、プリンスだったと思います。

ジョンもそうですが、プリンスも旺盛に作品を発表し活動し続けていて、亡くなってしまうなどと想像したこともなかったので、衝撃でした。


今日の2曲目:Sexual Suicide / Prince

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プリンスよりも前に、マイケル・ジャクソンも早すぎる死を迎えました。そういえば、作家(小説家)には自殺する人が多いですが、ミュージシャンにはそれほど多くない気がします。小説よりも音楽の方が生命に近いからでしょうか。

お聴きいただくのは、マイケルが19歳の時に作った曲です。


今日の3曲目:Be Not Always / Michael Jackson



さて、今日のK-POPコーナーでお聴きいただくのは、この年末も韓国の歌番組やら日本の紅白歌合戦やらで大忙しの「TWICE」の最年少メンバー、チェヨンのソロ曲です。彼女は普段はラップ担当ですが、メロディアスな曲を歌わせても実にいいですね。TWICEのメンバーは誰を取っても非の打ちどころがなさすぎて困ります。

今日の4曲目: Alone / Chaeyoung (TWICE)



本日の隠しテーマは、もうお気づきでしょうか。

僕が初めて死を意識したのは、物心ついてまもなく、「死んだらどうなるんだろう?」と思って、夜布団の中で、ぎゅっと目を瞑って、死を疑似体験しようとした記憶があります。

真っ暗な中で、トンネルのようなものがあって、それを潜り抜けると、何もない「無」の世界になる気がして、怖くなって引き返しました。

思春期になると、本気で死というものが怖くなってきました。死んだら本当に何もなくなってしまうのだとしたら、生きている間にどんな悪いことをしてでも他人を踏みつぶしてでも自分の快楽のみを追求するのが正しい生き方だということにならないか。

「神が存在しないのなら、すべては許されるのではないか」なんてドストエフスキーの小説の登場人物のような悩みを抱えるようになりました。それで文学書やら哲学書やら聖書を読みふけりました。そこには解答はありませんでしたが、束の間の安心感を得ることはできましたが、所詮所詮誤魔化しの安心感でしかありませんでした。

お聴きいただくのは、日本の誇るHIPHOPアーチストの一人、シンゴ2の名盤『緑黄色人種』からのナンバーです。この曲にはバージョン違いもあって、そっちとのテイストの違いを聴き比べるのも一興かもしれません。


今日の5曲目:No.13 / Shingo2



胸のイタミ13階から見た景色
目の前に広がる夜景
やけに静けさが遠くに感じる屋上
足が臆病になるのも押さえ
6秒間の黙祷に人生がよぎる
振り返れば一瞬の儚さなればこそ
枯れたこの目に映るぼやけた映像は止まっている
気づけば出口を必死に探していた
この迷路の向こう側は新しい入り口になるから
嗚呼、あの人のあの一言あの出来事出来心がのしかかる
やっかいな社会の重みが手首の刃物
だって人間だもの
煮え湯を飲まされて、喉元すぎれば熱さは体の隅々まで届く
今夜ほど孤独に感じたことはない
何をしても、咳をしても一人
息を引き取り消えてしまう前に
それを知っただけでもありがたい
去りがたい場所があってこその旅立ち
生命力そのものをも上回る、偉大な悲しみの力
静かに私を迎えに来た、後を濁さずに発つこの地から
しかしこれほど潔い清い気持ちは、いまだかつてあっただろうか
初めて、確かに何かをしたいと思い
それを実行するときが来た
階段を上り、足をかけるだけのこと、ただそれだけ
冷たい風の応援を背に、この一時は永遠に続く
もう私の頭上に太陽は昇らない
それが正しいのです、たぶん
だらだらと続いてしまった駄文に恐縮ながら
終止符を打つ。

さようなら、私の記憶
さようなら、私の顔


今日の6曲目:悲しみのない世界 / 坂本慎太郎



この曲もいくつかバージョン違いがありますね。

さて、本日の最後に相応しい曲は何かと考えていたら、これが浮かびました。


今日の7曲目:永遠なるもの / 中村一義



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