2021/2/10 | 投稿者: pdo
藤井聡太王位・棋聖が、昨日行われたB級2組順位戦でて窪田七段に勝利し、9勝0敗で最終局を待たずB級1組への昇級を決めた。
プロでは今では比較的珍しい居飛車対四間飛車の対抗形となり、ネット将棋でよく出て来る形なので興味深かったが、機敏な仕掛けから優勢を築き上げ、ほとんど一方的に押し切った、強い将棋だった。
佐々木勇気七段も昇級を決め、来期は藤井聡太と再び順位戦で対局することになる。
これで来期のB級1組は、毎年のことではあるが、大変な実力者ぞろいの激烈なリーグとなった。ここを藤井聡太が1期で通過できるかどうかはさすがに予断を許さない。
藤井が四段デビューしてから、持ち時間6時間を超える将棋で負けたのは、順位戦C級1組の近藤誠也七段だけ(順位戦唯一の敗北)という、信じられないことになってている。
来期の順位戦では、チェスクロック方式ではなく、ストップウォッチ方式となるため、実質的にはこれまでより持ち時間が増えることになる。この条件は藤井にとって有利にしか働かないだろう。
そして、明日、2月11日には、藤井が2連覇中の朝日杯トーナメント準決勝と決勝が行われる。
準決勝では渡辺明名人と対局する。この勝負を決した側が優勝する可能性が高いと見ている。
順位戦の疲れが残っていなければよいが、18歳の若さのエネルギーと体力が、かえって昨日の勝利をバネにする方向で将棋にも勢いをもたらすかもしれない。順位戦のような長考が許されない早指し棋戦であることがどう作用するか。
渡辺名人の強さは今更語るまでもなく、現在の将棋界最高のカードの一つを、しっかりと楽しみたいと思う。
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プロでは今では比較的珍しい居飛車対四間飛車の対抗形となり、ネット将棋でよく出て来る形なので興味深かったが、機敏な仕掛けから優勢を築き上げ、ほとんど一方的に押し切った、強い将棋だった。
佐々木勇気七段も昇級を決め、来期は藤井聡太と再び順位戦で対局することになる。
これで来期のB級1組は、毎年のことではあるが、大変な実力者ぞろいの激烈なリーグとなった。ここを藤井聡太が1期で通過できるかどうかはさすがに予断を許さない。
藤井が四段デビューしてから、持ち時間6時間を超える将棋で負けたのは、順位戦C級1組の近藤誠也七段だけ(順位戦唯一の敗北)という、信じられないことになってている。
来期の順位戦では、チェスクロック方式ではなく、ストップウォッチ方式となるため、実質的にはこれまでより持ち時間が増えることになる。この条件は藤井にとって有利にしか働かないだろう。
そして、明日、2月11日には、藤井が2連覇中の朝日杯トーナメント準決勝と決勝が行われる。
準決勝では渡辺明名人と対局する。この勝負を決した側が優勝する可能性が高いと見ている。
順位戦の疲れが残っていなければよいが、18歳の若さのエネルギーと体力が、かえって昨日の勝利をバネにする方向で将棋にも勢いをもたらすかもしれない。順位戦のような長考が許されない早指し棋戦であることがどう作用するか。
渡辺名人の強さは今更語るまでもなく、現在の将棋界最高のカードの一つを、しっかりと楽しみたいと思う。

2020/10/9 | 投稿者: pdo
コロナ禍による対局日程中断という未曽有の事態に襲われた2020年の将棋界の締めくくりを飾る、第33期竜王戦七番勝負が始まった。
初防衛を期する豊島竜王に挑戦するのは、タイトル通算百期という前人未到の記録の達成をあと一期残すのみとなった羽生善治九段。
二人に共通する点は、直近の対藤井聡太二冠との対局にいずれも勝利しているということ。
どちらも王将リーグでの対局であり、豊島竜王はその前にもJT杯で藤井二冠に土をつけ、藤井二冠はプロになって初めての三連敗を経験した(銀河戦など勝敗非公開の棋戦を除く)。
豊島竜王はなんと藤井聡太二冠相手に通算成績6勝0敗という一方的な成績を上げており、いくら豊島竜王が現在の将棋界きっての実力者とはいえ、相手はあの勝率8割を誇る藤井二冠であり、この一方的な対戦成績は棋界七不思議の一つに挙げられよう。
羽生九段は先月で50歳を迎え、いよいよ棋士としては若手や中堅を相手にするベテランの域を迎えた。50代の棋士が竜王戦七番勝負に登場するのは初めてとなる。これまでの最年長者は第31期の羽生で48歳。
竜王戦の前身棋戦である十段戦では、1974年に当時50歳の大山康晴が、中原誠十段を4勝3敗で破って十段位に就いている。50歳でタイトル取得は初めてのことであった。
ちなみに大山は50代でタイトルを11期も獲得している。どれだけ破格な棋士かが分かる。
2年前に無冠となって以来タイトル戦に縁のなかった羽生にとって、今期の竜王戦には特に期するものがあることだろう。数々の前人未到の記録を作り続けてきた羽生。若手のレベルは年々上がっており、その下には藤井聡太という怪物が出てきた現状、この機会を逃すと次の機会を得るのはいつになるか分からない。
一方の豊島も、若手の頃は「無冠の帝王」と呼ばれ続け、悲願のタイトル保持者となってからは、まだ防衛戦に一度も勝っていない。名実ともに棋界を背負う代表者となるためには、この竜王戦は何としても防衛したい。
個人的には、やはり同世代である羽生九段を応援したくなる。世間の風も圧倒的に羽生贔屓に傾くのもやむを得ないところだろう。
今期羽生が竜王を奪取し、翌年に藤井聡太の挑戦を受けて立つというのが、多くの将棋ファンの夢想するところであろう。両者の対決をタイトル戦という場で見てみたい。それも竜王戦という最高の舞台で。間違いなく将棋界の歴史に永遠に語り継がれる番勝負になる。
暗い世相の最中にあって、将棋界はファンに大きな夢を見させてくれている。将棋ファンのみにとどまらず、将棋を知らない人々にまで藤井聡太らの活躍は励ましを与えるものとなっている。
「将棋というのは本来なくてもよい仕事だ。だからファンを喜ばすような将棋を指さなければいけない」と言ったのは天才・升田幸三だが、今のプロ棋士たちはファンを喜ばせるために、あらゆる手を尽くして励んでいるように見える。彼らのファンサービスは時に過剰と思えるほどで、そこには純粋な善意とサービス精神しかないから、笑いながら感謝の涙が出てくる。
私自身は将棋棋士という存在を決して「なくてもよい」仕事だとは考えておらず、一種の聖職者とみなし、最大級の敬意を抱き続けている。彼らの存在は非日常のレベルにあり、純粋に尊い。
私は、棋士が存在しなくなる世界になど、生きていたいとは思わない。
そんな棋士の中でも、別格の神々の戦いを、リアルタイムで見れることの幸運に、震えずにはおれない。



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初防衛を期する豊島竜王に挑戦するのは、タイトル通算百期という前人未到の記録の達成をあと一期残すのみとなった羽生善治九段。
二人に共通する点は、直近の対藤井聡太二冠との対局にいずれも勝利しているということ。
どちらも王将リーグでの対局であり、豊島竜王はその前にもJT杯で藤井二冠に土をつけ、藤井二冠はプロになって初めての三連敗を経験した(銀河戦など勝敗非公開の棋戦を除く)。
豊島竜王はなんと藤井聡太二冠相手に通算成績6勝0敗という一方的な成績を上げており、いくら豊島竜王が現在の将棋界きっての実力者とはいえ、相手はあの勝率8割を誇る藤井二冠であり、この一方的な対戦成績は棋界七不思議の一つに挙げられよう。
羽生九段は先月で50歳を迎え、いよいよ棋士としては若手や中堅を相手にするベテランの域を迎えた。50代の棋士が竜王戦七番勝負に登場するのは初めてとなる。これまでの最年長者は第31期の羽生で48歳。
竜王戦の前身棋戦である十段戦では、1974年に当時50歳の大山康晴が、中原誠十段を4勝3敗で破って十段位に就いている。50歳でタイトル取得は初めてのことであった。
ちなみに大山は50代でタイトルを11期も獲得している。どれだけ破格な棋士かが分かる。
2年前に無冠となって以来タイトル戦に縁のなかった羽生にとって、今期の竜王戦には特に期するものがあることだろう。数々の前人未到の記録を作り続けてきた羽生。若手のレベルは年々上がっており、その下には藤井聡太という怪物が出てきた現状、この機会を逃すと次の機会を得るのはいつになるか分からない。
一方の豊島も、若手の頃は「無冠の帝王」と呼ばれ続け、悲願のタイトル保持者となってからは、まだ防衛戦に一度も勝っていない。名実ともに棋界を背負う代表者となるためには、この竜王戦は何としても防衛したい。
個人的には、やはり同世代である羽生九段を応援したくなる。世間の風も圧倒的に羽生贔屓に傾くのもやむを得ないところだろう。
今期羽生が竜王を奪取し、翌年に藤井聡太の挑戦を受けて立つというのが、多くの将棋ファンの夢想するところであろう。両者の対決をタイトル戦という場で見てみたい。それも竜王戦という最高の舞台で。間違いなく将棋界の歴史に永遠に語り継がれる番勝負になる。
暗い世相の最中にあって、将棋界はファンに大きな夢を見させてくれている。将棋ファンのみにとどまらず、将棋を知らない人々にまで藤井聡太らの活躍は励ましを与えるものとなっている。
「将棋というのは本来なくてもよい仕事だ。だからファンを喜ばすような将棋を指さなければいけない」と言ったのは天才・升田幸三だが、今のプロ棋士たちはファンを喜ばせるために、あらゆる手を尽くして励んでいるように見える。彼らのファンサービスは時に過剰と思えるほどで、そこには純粋な善意とサービス精神しかないから、笑いながら感謝の涙が出てくる。
私自身は将棋棋士という存在を決して「なくてもよい」仕事だとは考えておらず、一種の聖職者とみなし、最大級の敬意を抱き続けている。彼らの存在は非日常のレベルにあり、純粋に尊い。
私は、棋士が存在しなくなる世界になど、生きていたいとは思わない。
そんな棋士の中でも、別格の神々の戦いを、リアルタイムで見れることの幸運に、震えずにはおれない。




2020/9/22 | 投稿者: pdo
羽生善治九段、藤井聡太二冠に5度目の対戦で初勝利!“レジェンド 対 天才”対決制す/将棋・王将戦挑決L
こんなことを言っては何だが、面白くなってきた。
いくら超天才とはいえ、あっさりと無敵になられては、プロ棋士の名が廃るってもの。
特に羽生さんは、これまで公式戦で藤井二冠に4連敗しており、唯一の白星は非公式戦の1勝のみで、それも先崎九段によれば勝たせてもらったようなもの。
そんな背景を考慮すれば、今日の勝ちは同世代として素直にうれしい。
将棋の話題としては、昨日豊島竜王が永瀬王座から叡王位を奪取したばかりだが、来期以降の叡王戦の開催について、明日将棋連盟から発表があるという。
スポンサーのドワンゴが撤退するのではないかなどの噂も流れているが、ニコ生にはこれまで将棋コンテンツで色々と楽しませてもらったので、ニコ生と関わりのある何らかの形で棋戦存続を願っている。
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こんなことを言っては何だが、面白くなってきた。
いくら超天才とはいえ、あっさりと無敵になられては、プロ棋士の名が廃るってもの。
特に羽生さんは、これまで公式戦で藤井二冠に4連敗しており、唯一の白星は非公式戦の1勝のみで、それも先崎九段によれば勝たせてもらったようなもの。
そんな背景を考慮すれば、今日の勝ちは同世代として素直にうれしい。
将棋の話題としては、昨日豊島竜王が永瀬王座から叡王位を奪取したばかりだが、来期以降の叡王戦の開催について、明日将棋連盟から発表があるという。
スポンサーのドワンゴが撤退するのではないかなどの噂も流れているが、ニコ生にはこれまで将棋コンテンツで色々と楽しませてもらったので、ニコ生と関わりのある何らかの形で棋戦存続を願っている。

2020/9/4 | 投稿者: pdo
大評判のスポーツ雑誌「Number」の将棋特集号(というよりも藤井聡太特集号)を買う。
創刊以来最高レベルの売り上げを記録しているそうだ。
まだ全部読んでいないが、どの記事も気合が入っていて面白い。
特に先崎学は、とっておきのネタを出してきたな、という感じ。
ここでそれを使うか。
まだ全部読んでないので、また感想があれば書く。
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創刊以来最高レベルの売り上げを記録しているそうだ。
まだ全部読んでいないが、どの記事も気合が入っていて面白い。
特に先崎学は、とっておきのネタを出してきたな、という感じ。
ここでそれを使うか。
まだ全部読んでないので、また感想があれば書く。

2020/8/21 | 投稿者: pdo
藤井聡太二冠の誕生で、今朝のスポーツ紙やテレビのワイドショーは彼の話題で持ちきりのようだ。
こんなことは羽生善治七冠の時以来(藤井聡太のデビュー29連勝は除く)だろう。
杉本師匠はじめ、ひふみん、豊川七段、橋本(ハッシー)八段、女流の山口二段や香川三段などがテレビに引っ張りだこ状態。
将棋を知らない人でも藤井聡太やこれらの棋士の名前と顔は知っているというのは間違いなく将棋界にとってよいことだろう。
しかし、江戸時代や昭和の一時期のように、誰もが昼休みになると将棋を指したり、銭湯でワイワイ盤を囲んだり、道端で縁台将棋を指したりといった具合になればもっといいことだろう。
将棋を観る人口は増えていても、将棋を指す人口は増えておらず、テレビゲームなどが普及するようになってからは減る一方な気がする。
しかし、指す人口のレベルは間違いなく上がっている。ソフトの進化もあるし、オンライン対局などの環境もあり、実戦を指す対戦相手には困らない。
目指せ藤井聡太ということで、小学校に入る前から将棋を始め、トレーニングを積んでどんどん実力を伸ばす子供も確実に出てきている。
江戸時代の詰将棋作品は、知的芸術として世界的な基準に達していると思う。しかし、チェスのように真の国際的ゲームになるには色々とハードルが高く、海外で評価されるのは難しい。
藤井聡太が何よりもすごいのは、小学校の頃から詰将棋の解答創作ともにトップレベルにあったことだ。詰将棋の創作にはある種の美的センスが必要だ。彼は膨大かつ精密な読みの能力に加えて、芸術的感覚も備えている。
加藤一二三が、今回の二冠達成に際して出したコメントは、実によいものだと思う。
「この先、AI(人工知能)研究がいかに隆盛を誇ろうとも、藤井聡太二冠には人間の探究心と求道心の先にある芸術的な一手により、盤上での感動を追求し、将棋界を湧かせて頂けることを願っております」
最強の一手が常に芸術的であるとは限らない。しかし、今回の王位戦第四局で見せた封じ手の8七飛成は、盤上での感動を追求し、将棋界を湧かせる一手であった。
邪心なくひたすら勝ちを追求する先に、美しい芸術のような棋譜が生まれる。
しかし美しい棋譜は一人では作れない。真に彼のライバルとなりうる存在が出てくることを願っている。
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こんなことは羽生善治七冠の時以来(藤井聡太のデビュー29連勝は除く)だろう。
杉本師匠はじめ、ひふみん、豊川七段、橋本(ハッシー)八段、女流の山口二段や香川三段などがテレビに引っ張りだこ状態。
将棋を知らない人でも藤井聡太やこれらの棋士の名前と顔は知っているというのは間違いなく将棋界にとってよいことだろう。
しかし、江戸時代や昭和の一時期のように、誰もが昼休みになると将棋を指したり、銭湯でワイワイ盤を囲んだり、道端で縁台将棋を指したりといった具合になればもっといいことだろう。
将棋を観る人口は増えていても、将棋を指す人口は増えておらず、テレビゲームなどが普及するようになってからは減る一方な気がする。
しかし、指す人口のレベルは間違いなく上がっている。ソフトの進化もあるし、オンライン対局などの環境もあり、実戦を指す対戦相手には困らない。
目指せ藤井聡太ということで、小学校に入る前から将棋を始め、トレーニングを積んでどんどん実力を伸ばす子供も確実に出てきている。
江戸時代の詰将棋作品は、知的芸術として世界的な基準に達していると思う。しかし、チェスのように真の国際的ゲームになるには色々とハードルが高く、海外で評価されるのは難しい。
藤井聡太が何よりもすごいのは、小学校の頃から詰将棋の解答創作ともにトップレベルにあったことだ。詰将棋の創作にはある種の美的センスが必要だ。彼は膨大かつ精密な読みの能力に加えて、芸術的感覚も備えている。
加藤一二三が、今回の二冠達成に際して出したコメントは、実によいものだと思う。
「この先、AI(人工知能)研究がいかに隆盛を誇ろうとも、藤井聡太二冠には人間の探究心と求道心の先にある芸術的な一手により、盤上での感動を追求し、将棋界を湧かせて頂けることを願っております」
最強の一手が常に芸術的であるとは限らない。しかし、今回の王位戦第四局で見せた封じ手の8七飛成は、盤上での感動を追求し、将棋界を湧かせる一手であった。
邪心なくひたすら勝ちを追求する先に、美しい芸術のような棋譜が生まれる。
しかし美しい棋譜は一人では作れない。真に彼のライバルとなりうる存在が出てくることを願っている。
