2021/5/17 | 投稿者: pdo

図書館で借りた藤枝静男の代表作といわれる『田紳有楽』も読もうとしたが、ちょっとついて行けず挫折。変形私小説でも『空気頭』くらいのレベルならまだついて行けるのだが、『田紳有楽』はちょっと飛び過ぎている感じがする。さらにスピリチュアル的な要素がけっこう入り込んでいて(弥勒菩薩とかオーム・マニ・パドメ・フームとか)ちょっと拒絶反応を示してしまう。

ところで同じ本に収録されている藤枝の「みな生きもの みな死にもの」というエッセイの中で「私」が「小島信夫」と対面する場面があり、小島の連載小説「別れる理由」を「僕は勝手にあれは『個小説』と呼ぶが好いがと思って」いるといって高く評価している。それで小島信夫という作家が気になって、翌日図書館で小島の芥川賞受賞作『アメリカン・スクール』が収録されている『第三の新人名作選 』(講談社文芸文庫)と短編集『靴の話/眼 小島信夫家族小説集』(講談社文芸文庫)を借りて来る。

そういえば村上春樹が『若い読者のための短編小説案内』という本の中で小島信夫を取り上げていたと思いだし、該書を本棚から引っ張り出してその箇所を読んでみる。村上は「世の中には変な話を書く作家はほかにもたくさんいますが、こういう奇妙きてれつな『変さ』を自然にすらすらと書ける人は、小島さん意外にちょっと見あたらないような気がします」と言っている。

早速『アメリカン・スクール』を読んでみたが、確かに文体が奇妙で、「ヘタウマ」を狙っているのか、まるで蛭子能収のマンガを読んでいる時のような肌触りがある。言ってみればヘタクソな文章であり、日本に作られた亜米利加人のための学校(アメリカン・スクール)を見学させられる日本人の滑稽さ、という舞台設定の妙がこの小説をかろうじて「まともな」体裁に見せているのではないかという気がした。

続けて『靴の話/眼 小島信夫家族小説集』の最初の数編を読んで、これは純文学というより星新一のショート・ショートや筒井康隆の短編の世界に近いと思った。実際アマゾンのレビューにも筒井康隆を引き合いにしたものがあった。自分が読んできた「私小説」とは明らかに味わいが違うものの、妙な引っ掛かりを感じたので、寝る前の朦朧としてきた頭で、講談社文芸文庫が電子書籍のセールをしていて安く買えるというのにつられて、『美濃』というkindle本を500円で購入する。寝台に寝転がりながらiPadで初めの方を読み始めたが、これはいかにも保坂和志が好みそうで小谷野敦が嫌いそうな作品だなと思いながら寝落ちした。
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