2021/1/13 | 投稿者: pdo

第9話

二十代前半の頃、上野が好きでよく散歩に利用していました。上野公園をぶらぶらし、京都清水寺を模したと言われている寛永寺に行き、眼下にある琵琶湖を模した不忍池を眺め、西郷隆盛に模した銅像を見て一日を過ごしていました。晴れた日は上野動物園に行くこともありました。上野動物園はジャイアントパンダが有名で、上野駅構内にパンダの像があったり「パンダ橋口」なんて改札があったり、駅からすでにパンダ一色で(実際のパンダは二色ですが)盛り上がっていました。

けれど私はパンダを見に行ったことは一度もありませんでした。小さい頃からなぜか生まれつきエリートな動物にどうも引かれないようで人気者のパンダやキリンやゾウにはあまり興味がありませんでした。そんな私がなぜ頻繁に上野動物園に通っていたかというと、鳥を見るためでした。鳥と言ってもフラミンゴとかクジャクではなく、カラスです。世間でカラスは邪魔者扱いです。動物園でも当然そうです。そこが気に入りました。ちゃんと見せるためのおりに入れられた鳥ではなく捕獲トラップの中でもがいているカラスの方を見る、邪道な動物園での過ごし方、有意義な時間でした。当時ゴシックロリータにハマっていた私は全身真っ黒な服を着て真っ黒なカラスを見ていました。カラスに模した私。鳥に模した烏(カラス)。上野は何かに模したくなる街なのかもしれません。


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