2017/7/30 | 投稿者: pdo



漱石最後の小説であり、その死去により未完におわった作品として知られる。

強烈に面白く、この歳になるまで読んでいなかった自分を思わず叱咤。


(以下小説のネタバれ含むため未読の方は注意)


主人公の津田とその妻のお延は、31歳と23歳の、結婚して半年の夫婦。お互いに好き合って結婚した二人のはずだが、どうもその関係はしっくりいっていない。読み進めると、その原因は夫の津田にあることが分かってくる。津田にはお延との前に清子という女と恋愛関係にあったが、清子が突然翻意して関という男と結婚してしまったのである。津田には清子の心変わりの理由が未だに分からない。津田と清子の間を取り持っていた吉川夫人の勧めで津田は単身病気療養のため温泉場に赴き、そこでやはり流産後の療養をしている清子と会う場面で小説は終わる。

津田と清子の関係を知っている人物がもう一人いて、それは小林という貧しい出の社会主義者を自称する男だ。この小林という人物はドストエフスキーの小説に登場する『罪と罰』のマルメドーラフや『カラマーゾフの兄弟』のイワンのような登場人物を連想させる、お延たちの生きる世界の社会常識を脅かす不気味な存在である。

漱石がこの小説をどう完結させようとしていたのか、たぶんいろんな文学ファンや評論家がいろんな想像を巡らせているだろうがそうしたものには一切目を通していない自分の現時点での推理は以下のようなもの。

漱石は新聞小説家であり、文学的要素だけでなく、エンターテイメントとしての要素、つまり物語の求心力というものを重視しているから、どう展開するのが一番面白くなるか(読者を惹きつけることができるか)という観点から書き進めたはず。

そう考えると、津田と再開した清子が、本音では惹かれあっていたことでヨリを戻し、東京には戻らずに二人で逃避行を試みる途中で、朝鮮に渡る途中の小林と遭遇し、三人(プラス貧乏芸術家の原という男)で彷徨うというロードムービー的展開に突入することが当然に予想される。

それを妻・お延と、吉川夫人、そして津田の妹お秀の三人が共同して、さまざまな手がかりを頼りに行方を探すいう、アドベンチャー的な展開が必然的に続く。

それと並行して、お延の実家である岡本家の継子が誘拐されるというハプニング発生。岡本家の財産を狙った犯行かと誰もが考えていると、実は清子の夫・関が事件に深く関わっていることが判明し、事態は混迷の度合いを深める。

やがて津田と清子は玉川上水で心中。小林は自殺し、小林からの分厚い遺書がお延のもとに届く。そこには小林だけが知る事態の真相が余すところなく描かれていたのであった。

話は変わるが、漱石の小説「こころ」の「先生」の自殺の理由は、親友Kを裏切って御嬢さんと結婚しKを自殺に追いやったことへの罪悪感などではなく、先生が同性愛者であったこと(そして最愛の存在であったKを永久に失ったこと)への苦悩であったことがほとんどギョーカイの定説となってきていることを偶然知った。

確かに読み返してみるとそうとしか読めない。

「先生」に惹かれていた「私」もまた同性愛者であり、先生が私に、妻には決して明かさないように頼んだ「秘密」とはこのことであったのだ。

ちなみに、「先生」が自分の性癖を明確に自覚したのは、Kの自殺の数年後である。

私の胸にはその時分から時々恐ろしい影が閃きました。初めはそれが偶然外から襲って来るのです。私は驚きました。私はぞっとしました。しかししばらくしている中に、私の心がその物凄い閃きに応ずるようになりました。しまいには外から来ないでも、自分の胸の底に生れた時から潜んでいるもののごとくに思われ出して来たのです。私はそうした心持になるたびに、自分の頭がどうかしたのではなかろうかと疑ってみました。けれども私は医者にも誰にも診てもらう気にはなりませんでした。

「死んだつもりで生きて行こうと決心した私の心は、時々外界の刺戟で躍り上がりました。しかし私がどの方面かへ切って出ようと思い立つや否や、恐ろしい力がどこからか出て来て、私の心をぐいと握り締めて少しも動けないようにするのです。そうしてその力が私にお前は何をする資格もない男だと抑え付けるようにいって聞かせます。すると私はその一言で直ぐたりと萎れてしまいます。しばらくしてまた立ち上がろうとすると、また締め付けられます。私は歯を食いしばって、何で他の邪魔をするのかと怒鳴り付けます。不可思議な力は冷やかな声で笑います。自分でよく知っているくせにといいます。私はまたぐたりとなります。

いつも私の心を握り締めに来るその不可思議な恐ろしい力は、私の活動をあらゆる方面で食い留めながら、死の道だけを自由に私のために開けておくのです。動かずにいればともかくも、少しでも動く以上は、その道を歩いて進まなければ私には進みようがなくなったのです。


このような先生の感覚は、19世紀に生きた同性愛者チャイコフスキーや、哲学者ウィトゲンシュタインの度重なる自殺念慮にきわめて類似している。ウィトゲンシュタインが同性愛者でありそのことに倫理的葛藤を生涯抱えていたことは今では周知の事実である。

なぜ漱石がこれほど的確に同性愛者の苦悩をリアルに描くこと出来たのかは不明であるが、彼が「こころ」のモチーフにした英国の文学作品(オスカー・ワイルド?)を参考にしたのではないかと言う人もいるようだ。

参考リンク:夏目漱石『こころ』パーフェクトガイド
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タグ: 漱石

2017/7/29 | 投稿者: pdo

日暮里のSCAI THE BATHHOUSEという場所で開かれているアピチャッポン・ウィラーセタクンの展覧会「メモリア」を見てきた。

クシャクシャした日常の些末で陰惨な思考に囚われた頭のまま向かったのだが、小さな会場の中に入った途端、思考が停止して日常とは別の空間に放り出されたような感覚があった。

空間そのものが一つの作品のような展示会で壁にかけられたヘッドフォンを耳に付けると統合失調症で母親を亡くし兄の子どもから聞こえる悪魔の囁きを消すために子どもを殺してしまった35歳の男の物語が語られていた。

無料なのでそれほど見応えのある内容でもなく15分か20分ほどで会場を後にすると暫くの間気分が落ち着いて谷中霊園を歩いたがまた日常の些末で陰惨な思考に囚われた。

自己認識は、なんらかの内的な拒絶、したがってなんらかの「傷」を伴わずにいないが、それらはどんな辛辣なものであっても、ただ快適に頭の中を通過するものでしかない。要するに、それは自己認識ではなくて、自己納得にすぎない。

彼我の差異を理解することは大切だが、本当に重要なのはむしろ自分自身のプリンシプルをもつことではないのか。そして、自己認識とはまさにそのようなものだと私は思う。
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2017/7/28 | 投稿者: pdo



かねて世間をお騒がせしていることについて責任は免れないと思っていた。

人間誰だって死ぬわけだし。必ず地球がダメになるのも決まっているわけです。

それがあと、だいたい2〜30年ぐらいのところまで来ちゃっているわけなんで。

みなさん、もう2〜30年生きればいいでしょう。(笑)

だからもう諦めて、ほんとうに何べんも云いいますけどいまやりたいことをやっておかないと、先にイイことがあると思うのは大きな間違いでオイシイものから食べておくと、オイシイ男がいたらすぐに捕まえると、女のほうも男のほうも同じようなもので、遠慮なんかしていたらこれから弱肉強食の世の中でもって…事実そうなりますよ。

あなたがたは…ずらっと見ますとジジイはいませんね。

だからあえて云っておきますがジジイは死にます。

あなたがたはそのジジイを殺しても良いんですよ。

ジジイの方があなた方を殺すような環境を作っちゃったんだから。

これはもう仇討ってやつですよ。リベンジってやつですね。

だから、そんなことであなた方は、むかし左翼の曲で「若者のよ身体を鍛えておけ」という歌があったんだけど、いまこそみなさんに申しあげておきますね。いまのうちから身体を鍛えてイザとなったとき弱いやつを弱肉強食のときにドンドンやっつけて、自分だけ生き残ると。

いまここにいるスパイラルの200人のひとは、ぼくの話をきいて絶対生き残る。

生き残れば勝ちですからね。

モノいくらでもありますから。

なんだって自分たちのものになっちゃう。

人間少ない方がいいんだから。(笑)

1億2千万の人が暮らしているんでしょ。

これがあと10分の1になったらものすごく楽ですよ。(笑)

なるべくその10分の1になるように、これから僕が『終末のタンゴ』という曲を歌いますの
で、どういうヤツがだめになるかということをハッキリ申し上げますから、よく耳をカッポジッテ聴いておいてください。

一連の事実関係について解明できたと考えている。私の認識は包み隠さず述べている。

国会がお決めになったことに従う。

誤解を招きかねない発言だったと即日撤回し、おわびしている。辞任は日報によって世間をお騒がせし、防衛省・自衛隊に対する信頼を揺るがせた責任を取るということだ。

今回の日報に関し、シビリアンコントロール(文民統制)が利いていないとか、私の指導力不足といった批判があったことは承知している。厳しい安全保障環境の中でやるべきことをしっかりやってきたつもりだが、結果として国民の信頼を揺るがせたことは、私の管理監督責任であると痛切に反省している。 

だから、いつかはお終いになると思えばあんまりイライラすることもない。

どうせみんな死ぬんだから。(笑)

せいぜい僕が明日死ぬとすれば、あなたがたが明後日死ぬぐらいのものです。(笑)

この地球の寿命からすれば、ほんの一瞬の違いですよ。

だからほんの一瞬のことだけ自分のことだけ考えれば、他の事などどうでもいいんです。(笑)

たとえばよく自由と我儘を履き違えているとか、個人主義というものは勝手なことをすることと若い連中は思っているとか…。

なに云っているんだ、あのジジイたちはぁ!

てめえたちばかりがイイコトばっかりしやがって、自分たちだけが自由を楽しんでやりたいことばかりやって、あなたがたを束縛しようとする下心は僕自身がジジイなんでよくわかるんです。(拍手)

だから絶対そのようなことに耳を貸さないで、やりたいことをやって怒って、そんでもって蹴飛ばしてぶん殴って、そんでもう電車が入ってきたら突き落とすとか。(爆笑)

捕まっちゃまずいから、どんどん捕まらないように悪いことしたほうがイイです。



ドンナ人間ニモ カナラズ終リハ来ル
ドンナ世ノ中ニモ カナラズ終リハ来ル

美シイ人モ 勇マシイ人モ
ヌケメナイ人も イツカハクタバル
ソノ日ノタメニ キタエテオコウ
キミノ覚悟ノスベテヲ

自殺・他殺・虐殺

ドンナ愛情ニモ カナラズ終リハ来ル
ドンナ恍惚ニモ カナラズ終リハ来ル

大キナ人モ 短イ人モ
シツコイ人モ イツカハ終(ハテ)ル
ソノ日ノタメニ キタエテオコウ
キミノ体ノスベテヲ

腹筋・海綿体・括約筋

ドンナ革命ニモ カナラズ終リハ来ル
ドンナ繁栄ニモ カナラズ終リハ来ル

信ジル人モ 夢ミル人モ
飲ミスギタ人モ イツカハ醒メル
ソノ日ノタメニ キタエテオコウ
キミノココロノスベテヲ

誤算・破産・倒産・南無サン
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2017/7/26 | 投稿者: pdo

「トランプがFBI長官を解任した直後に、皇室に『ご婚約へ』という報道があったのは偶然じゃない」とか、難しい表情で言いながら、悪友はオフィスでスマホを弄っている。

「アメリカでこの報道はとんでもないprizeがあって、ニュース番組は一日中この件について報道しているのに、日本では驚くほど報道が少ない。偶然の筈がないよ…なあ、そう思わないか?」

彼のスターバックスのコーヒーは、少し冷めてるけど、普通に美味そうだ。恋をしている僕には、彼は、「今、自分は恋をしていませんよ」と、必死のアピールをしているようにしか見えない。

トランプが、世界を悪い方向に向けて舵を切って、奇跡的にそれを反対方向に切り直してくれたとしても、彼女からのメールは来ないままだ。もう40代も半ばを過ぎたというのに、僕の心理的な最重要事は、大きな世界ではなく、一番小さな世界に向けられている。そして、知っている。無駄なことを山ほど――そう、恋は、帰っては来ない。

「もう一度やり直した恋」というのは、原理的には存在しない。距離を取ることで改善された恋も。

惰性で延命しながら、僕らは、いくつかの、余りに愚かすぎる提案を頭の中に並べては苦しむ。まるで、間違った薬でも飲んでしまった患者のように。

曰く、「いっそのこと嫌いになれたら」。曰く、「そもそも出会わなければよかった」。曰く、「彼奴(あいつ)にさえ抱かれていなければ、まだ許せるのに」。

うんざりしながら残りのケーキを食べているような甘い拷問の時間に、ソウル・ミュージックが届く。突然、そしてゆっくりと。

その歌詞は、地上でもっとも賢い動植物の水準ではなく、馬鹿げた人類の中でも、とりわけ愚かしい、間違った薬でも飲んでしまった患者に向けて書かれている。

可処分所得を全て疑似恋愛に注ぎ込み、神のいない世界で、お布施というものを科学的にそして実践的に捉えなおして生きる現代の賢者たちに比べると、偶然流れてきたソウル・ミュージックによって、彼女からのメールがないことが、素敵なことにでも変わる魔法をかけられて、暫くの間恍惚とする者たちは、愚か者の中の王様だ。

特定の国家、特に隣国を生理的に嫌悪する人々でさえ、僕の愚かさに比べれば可愛いものだ。そう、国交は帰ってくる。もう一度やり直した貿易や、国民感情は、原理的にいくらでもある。戦争したことで改善された国交も。――しかし恋は、帰っては来ない。

もう一度やり直した恋、というのは、原理的にはない。距離を取ることで改善された恋も。惰性で延命しながら、僕らは、いくつかの、余りに愚かすぎる提案を頭の中に並べては苦しむ。まるで、間違った薬でも飲んでしまった患者のように。

曰く、「いっそのこと嫌いになれたら」。曰く、「そもそも出会わなければよかった」。曰く、「彼奴(あいつ)にさえ抱かれていなければ、まだ許せたのに」。

それが証拠に、つまり、二つのことの証拠に、という意味になるけど、こういうことだ。

だって、韓国語で書かれた、今夜最初の曲の歌詞は、こういうものなんだから。

僕らは奴の、幾分冷めてしまったけれど、まだまだ美味そうなスターバックスのコーヒーをかっぱらって飲みながら、いつの間にか流れてくるソウル・ミュージックが、僕らにかける魔法によって、何度でも恋をするしかない。


「最初に言っとくけど、私、絶対に謝らないからね。もう何も言うことない。・・・で? 貴方は後悔しないの? 何も関心ないじゃん。友達が何よ。 You Know What To Do ? 何をしたか分かってんの? もう疲れた。今日は止めよう。手を放して。これ以上繰り返したくない。これ以上繰り返すのは嫌なの。また全部私が悪い、多分そう。私、貴方を恨んでるみたい。愛が上手くいかない。いい頃を思い出してみても、身体をくっつけてみても、キスしても、全然思い通りにいかない。笑い話みたいだよ。振り返ってみても、お互い知らずに責め合っても、今はもう、二人は、もう一度、愛みたいなことって、できるの?」

「5回目のゴメンっていう言葉。たった今、君からウンザリされたのかも。なんか最後の日みたいな予感がする。 You Know What To Do ? 何をしたか分かってんの? 今日、一日中その予感がしてて、夕方には、どうしたらいいか分からなくなってた。でも君を見たら、何度も、君の中に自分が見えた。そんな自分が嫌だ。愛が上手くいかない。いい頃を思い出してみても、身体をくっつけてみても、キスしても、全然思い通りにいかない。笑い話みたいだよ。振り返ってみても、お互い知らずに責め合っても、今はもう、二人は、もう一度、愛みたいなことって、できるの?」

「もしもし、今どこ?」

「そっちは?」

「家だよ」

「俺、タクシーの中」

「もう着いたの?」

「・・・ごめんね。」

「え? 何が? どうして?」

「いや、あの、なんか、全部。」

「・・・じゃあね」

「あ、財布。そこに、忘れてきちゃった。」

「いや、あのね・・・まあいいや。」

「何? 言ってよ。」

「何か、もう、全然好きじゃないみたい。」

愛が上手くいかない。いい頃を思い出してみても、身体をくっつけてみても、キスしても、全然思い通りにいかない。笑い話みたいだよ。振り返ってみても、お互い知らずに責め合っても、今はもう、二人は、もう一度、愛みたいなことって、できるの?






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2017/7/25 | 投稿者: pdo



男と女のあいだには
ふかくて暗い河がある
誰も渡れぬ河なれど
エンヤコラ今夜も舟を出す
ROW & ROW, ROW & ROW
ふりかえるなROW ROW


おまえが十七おれ十九
忘れもしないこの河に
ふたりの星のひとかけら
ながして泣いた夜もある
ROW & ROW, ROW & ROW
ふりかえるなROW ROW


あれからいくとせ漕ぎつづけ
大波小波ゆれゆられ
極楽見えたこともある
地獄が見えたこともある
ROW & ROW, ROW & ROW
ふりかえるなROW ROW


たとえば男はあほう鳥
たとえば女はわすれ貝
まっかな潮が満ちるとき
失したものを想い出す
ROW & ROW, ROW & ROW
ふりかえるなROW ROW


おまえとおれとのあいだには
ふかくて暗い河がある
それでもやっぱり逢いたくて
エンヤコラ今夜も舟を出す
ROW & ROW, ROW & ROW
ふりかえるなROW ROW
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