2017/3/31 | 投稿者: pdo


「あたしたちはこんなことをしてる身分じゃないわ」彼女は言った。「まとめて400ペソというお金がどれほどか、考えてみてちょうだい」

「もうすぐ恩給がくる」大佐は言った。

「15年も前からあなたは同じことを言ってるじゃないの」

「だから」大佐は言った。「これ以上うんと遅れるわけはないんだ」

彼女は黙った。しかし、もう一度彼女が話しかけてきたとき、大佐には時間がぜんぜん経っていないように思われた。

「そのお金は結局来ないような気がするわ」彼女は言った。

「くるさ」

「もし来なかったら?」




ガルシア=マルケス『大佐に手紙は来ない』を読む。

決して来ない軍人恩給の通知を15年待ち続ける、かつて革命に身を投じた老人(大佐)とその妻の話。

とにかく文章が詩的で美しい。これ以上ないほどリアルな現実を描いているのに、まるで夢を見ているような文体にうっとりする。

そして、これほど異常で、これほど感動的なラストの一行は見たことがない。

魔法のような小説とはこのことだろう。
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