2017/3/15 | 投稿者: pdo



世界はより小さく、より西洋的に、ハリウッド的になっている。でもこの映画には、私が見たこともないファンタジーがあった。それは美しく、まるで不思議な夢を見ているようだった。僕たちはいつも映画にサプライズを求めている。この映画は、まさにそのサプライズをもたらした。

── ティム・バートン(2010年カンヌ国際映画祭審査委員長)

あの懐かしい故郷に背を向けて一人で見ていたものが幻であり、
一見幻のような幼い頃の小さな共同体での記憶が、
逃れられないほどに愛すべきものであるとおしえてくれる。

── 奈良美智(画家)

熟れきった果実が落ちもせず、なおも枝にとどまるのをじっと見つめているかのようなスリリリングな114分!
しかも、果肉は一瞬ごとに若やいでいくかに見える。この稀有な体験を逸してはなるまい。

── 蓮實重彦(映画評論家)


アピチャートポン・ウィーラセータクン監督が第63回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した作品『ブンミおじさんの森』が近所のツタヤに置いてあったので借りて観た。

『世紀の光』の4年後、『光りの墓』の5年前である2010年の作品だ。それぞれの出演者がこの作品にも出ていた。



先に『世紀の光』や『光りの墓』を見ていた自分はこの映画の世界に抵抗なく入っていけたが、正直、初めて見た人にとっては、「なんじゃこりゃ?」になる可能性が高いと思われる(タルコフスキーとかの難解な芸術映画を見慣れている人にとってはそうでもないのかもしれないが)。

「パルムドール受賞作品」という触れ込みがあるから最後まで我慢して(?)観たという人も多いだろうし、そもそもそのような触れ込みがなければツタヤにこの前衛的で実験的な作品が置かれることはありえなかっただろう。

逆に、予備知識なしにこの映画を見て「面白かった!」と心の底から言える人は、自分の感受性と芸術的センスに自信を持って生きていくべき(まったく皮肉ではなくて)。

肝心な映画の話とはまったく関係のないどうでもいいことしか書いていないが、正直内容については何も書きようがない。「とにかく見て、感じろ!」などという阿呆なことしか言えない。

パルムドールの審査委員長をしていたティム・バートンが激賞したという話が流布しているようだが、たぶんティム・バートンだってこの映画の良さを説明できないはず。

アピチャッポン作品は、思考を働かせずに、一種のトリップ体験、瞑想体験として見るのがよいのだと思う。「ゾーン」に入りたい人はどうぞ〜ん。

なんて馬鹿なことばかりでお茶を濁すのは癪に障るため、以下にちょっと断片的な解釈を試みる。

ネタバレなんで未見の人は注意。

その前にこのことだけは言っておきたい。

この映画が高く評価されるような世界を私たちは決して失ってはいけない。

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