2017/1/9 | 投稿者: pdo

渥美清が舞台で活躍していた浅草時代のことを振り返りながらこんなことを云っていた。

「お客は両手を舞台に向かって差し出しているんですよ、役者はその手をギュッと握ればよい、お互いのはだのぬくもりがそうやって通い合えばあとはもう、何をやってもいいんです。その握手が実は難しいんですけどね」

城戸さんはこの章の中で本当に観客を感動させる映画を例えて、

「いわばスクリーンの中から手を出して、大衆をスクリーンの中にひきずりこむような」

と表現している。なんと素晴らしい言葉だろうか。浅草の芝居小屋の中で鍛えぬいた渥美清氏の言葉と、蒲田撮影所長としての若き日から日本映画の頂点を歩み続けた城戸さんの言葉の、なんと奇しき一致だろうか。スクリーンの中から手を出して、という実に分かりやすい表現に、城戸さんが映画について語らんとするすべてがあると云って過言ではないだろう。」

(山田洋次『城戸四郎 わが映画論』「現代シナリオ論」より)






映画レビューサイトの感想より

「のん」、良かったです。おそらく、彼女が今、直面している苦難は、映画の主人公の悲劇に比べれば、小さなものなのでしょう。しかし、大切なものを奪われた主人公と、「名前」を奪われたのんは、私の中でオーバーラップします。この映画、彼女にとっては、一生の思い出となるでしょう。映画のエンドロールは、戦争で破壊されたあの家族の再生と希望の物語となっていました。のんは、非常に才能があります。私は、のんが今の苦難を乗り越え、再び、芸能界で活躍することを、心から願っています。

しかし声優のんには驚かされた…紛れもなくすずそのものだった。作中でも「ぼうっとしている」と自称しているすずに見事にのんが重なったような。でもぼうっとしてないシーンもすごい上手かったな…お見それしました。

観た人みんなが声優としての「のん」(能年玲奈)をべた褒めしてるけど、この作品のまさに大黒柱のすずさん役をこれだけやりきったらそりゃ絶賛されるよね、セリフも語りも良い演技だった。
 そしてすずさんが本当に可愛いくて、面白くて、力強い。そこに生命力を感じてまた惹かれる。
そしてこの世界の片隅にの凄いところは、1週間たっても、未だに心に残り続けて、何がこんなに人の琴線に触れるんだろうと考え続けてしまうこと。こんなにずっと考えさせる作品ははじめて。

のんさんの声の演技は、素晴らしい。
辛くも明るく振る舞うニュアンスが絶妙で、
命が宿っていた。
とてつもない女優力を感じた。

正直私は事務所のゴタゴタが始まってからの能年さんの印象はあまり良くはありませんでしたが、そういったことは一切抜きにしてのんさんの女優・声優としての演技は素晴らしいものがあります。先程も述べましたが日本人の俳優はおしなべて過剰な演技やテンプレート化した演技が多く、金太郎飴のような演技が多く見られます。しかしのんさんは最初から主人公の「すず」そのものとなって登場しました。一言目から「昭和に居たすずという可愛らしい女性が喋っている」ことのハマり方が尋常ではないのです。これはキャスティングもそうですがのんさん自身が他の俳優、声優さんでは真似出来ないような「本当にその人物になり切る」能力がずば抜けているのだと思います。過剰な演技ではなく自然体として感じられる「すず」そのものがいきなり完成されているのです。私は声優さんも好きなので正直、俳優さんが声優をやることに肯定的では無いですがのんさんのずば抜けた「その人そのものになる」演技を見ると声優、俳優というい垣根を超えて演者としての圧倒的なのんさんの演技力を感じてしまうのです。

でもとにかくすずが…とても良くて、戦争の話じゃなかったとしても、このすずを中心にしたストーリー展開ならどんな話でもみてみたいしそう思わせてくれる。
そんなすずの声優をやった、のん。この人も才能の塊だよ…「あまちゃん」のアキ、「海月姫」の月海、「この世界の片隅に」のすず、すべて能年ちゃんじゃないとしっくりこない難しい役どころ。他の人でも脚本自体が面白いからきっと名作にはなるのだろうけど、この人だから何倍も良くなってるし人を納得させる能力があるんだろうなーと、あほな私でもぼんやりそんなこと思った。

皆さんレビューされている通り、能年玲奈はすごかった。声優としての彼女は天才だと思います。あの演技力は努力だけで到達できる領域になく、天性のものでありまさに「すず」そのものでした。のんに合わせて映画作ったのか?と思うほど。テレビ業界の裏事情は知りませんが、彼女は必ず再ブレイクする逸材であることはこの映画だけでも明白ですので早く抜け駆けした方が懸命かと。

のんが素晴らしい。女優のんにとって、声優での表現は難関であったようだが、すずさんという人物像に迫るアプローチを極め、すずさんを「演じる」のではなく、すずさんを「生きる」というレベルまで達している。その結果、その声は作ったアニメ声でなく、確かに「のん」の声なのだが、同時にこれが「すずさん」の声だと皆が思うのである。少女から人妻となり、戦争を経て大人の女性になるところまできっちり「すずさん」になってるのだ。監督がリアリティを求め続けた中で、これだけの再現をしたのんの演技は、映画に不可欠なものだったと断言できる。
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