2016/12/10 | 投稿者: pdo



こうの史代『長い道』読了。

こうの先生の絵型のファンになってしまった。はるき悦巳先生を思い出す。

『長い道』を読んで、類似の作品を探すとしたら『東京物語』(小津安二郎)だと思った。

昨日の朝日新聞に載った能年玲奈さんによる『この世界の片隅に』感想が素晴らしかったのでそのまま転載する。


映画『この世界の片隅に』。私のんが、主人公すずさんの声を務めさせていただきました。舞台は1944〜45年の広島・呉。すずさんの子供時代から始まり、18歳になる年に呉市の家へ嫁ぎ北条家で周作さん(声・細谷佳正さん)の奥さんとして暮らしていく。

 この映画を観て強く心に残るのは、生きる日々の暮らしの中に、面白い事や幸せがたくさんあるという、少し切なくあたたかい気持ちだと思うのです。

ごく普通の生活、ご飯を作ったりタンスの中の整理をしたり出かけたり話をしたり喧嘩をしたり。一緒に暮らす、通りすがりの人に親切にしてもらう、皆で助け合う…普通≠フ事が楽しくて胸に響く。

 夢なのか現実なのか、子供の頃の愛おしい記憶は心を柔らかくする。

 とてもリラックスした状態で映画に集中してしまうので、すずさんが歩き出した時にはもう、私は映画に出てくる人たちの存在や記憶、作品の中にある世界を瞬時に信じて、目に入る風景も流れる音楽も自然と、自然だと感じるまでもなく受け入れている。それがとても心地いい。

 北条家での生活は難しかったり面白かったり大変だったりする。すずさんは絵を描く才能があるけれど、家事が得意というわけではない。でも、とっても楽しそうに皆のご飯を作ります!私はこのシーンが大好きなのです。

 コトリンゴさんの軽快な音楽に乗せて、野草を切ったりそれをお鍋に入れたり。どこかワクワクしているすずさんを見ると、生活することは楽しいんだと気付かされます。

 私は小学3年生くらいの時から夕飯当番を任されて家族のご飯を作っていたのですが、中学生になってからは当時組んでいたバンドの練習時間をわざと延ばして当番から逃れていました!

なので、毎日のご飯を作ったりお掃除したりというのが窮屈で、最近は面倒だから一日くらい食べなくてもいっか〜と気ままに過ごしていました。

 ですが、この作品に出会ってからは、料理をしたり洗濯や掃除をしている時楽しい!≠ニいう感情が湧いてきて陽気になります。

 あと、お腹が減るとご飯を食べたくなる!そしてお腹がすいた時に食べるご飯は美味しい!生活の才能がないと思っていた私にも日々の暮らしを楽しめるんだ、と誇らしくなりました。すずさんのおかげだ!

そんな風にこの映画に包まれて時間を過ごしていくので画面が真っ暗になった時、より自分に引き付けて辛い気持ちが迫ってくる。すずさんの心に触れて胸が痛む。けれど、それで終わりではなく、ほっこり大慌て!でラストを迎えます。

 気持ちが満ちてきて涙が出てくるのですが、悲しいのではなく生きることの力強さに感銘を受けてこぼれてくる涙。とてもあたたかいのです。特別ではない普通の主婦≠フすずさんに感動するのです。

 更に、エンディングの最後の最後隅々まで世界の片隅にある物語が紡がれています。片渕須直監督、恐るべしのエンディング2曲分の映像も、是非お見逃しなく!です。
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