2015/12/26 | 投稿者: pdo

新宿文化センターで行われたJAZZ LIVEに行ってきた。MCは菊地成孔。

凄かった。

感想は改めて。

※12月28日以下追記

14時から21時近くという長丁場で、正直途中少し辛い時間帯もあったが、全体としては非常に素晴らしいイベントだった(2日間のうち26日しか見ていないが)。

最初の二つのバンドは会場の音響がイマイチで、大音量が塊のように向かって来て、耳が痛くなるほどの轟音で聴いていて辛かった。音響のあまりの悪さに、来たことを思わず後悔するほどだった(ちなみに2階席の中央位の位置)。

しかし次の大友良英のビッグ・バンド辺りからよくなってきて、演奏も大友氏のMCもよかった(音響は相変わらずイマイチだったが)。司会の菊地成孔は軽妙さと神妙さを絶妙のバランスで織り交ぜた見事なMCぶりを見せていた。自らのバンド(ダブ・セプテット)のスタンバイの間は一時的に大友氏がMCを務め、率直な語り口にひたすら共感。

菊地成孔とダブ・セプテットの演奏は緊張感のある素晴らしいもので、短いセットだったが、このために来た価値があると感じさせるものだった。これからの日本の音楽シーンは、こういうジャズバンドが引っ張っていくのではないかと予感したし、そうなってほしいと思った。だって掛け値なしにカッコいいもの。ロックバンドが失ってしまった、聴衆を痺れさせる輝きがここにあると思った。

これ以降は音響の問題はまったく気にならなかった。

続く佐藤允彦のピアノソロ演奏は見事な即興芸術。「舌を巻く」という表現がぴったりくる反応を見せた自分がいた。ベートーベンがデビュー当時「即興の悪魔」と呼ばれたエピソードを思い起こした。

次の平均年齢65歳というバンドのフリー気味演奏は、後半ちょっとグダりかけた気もしたが歴史への敬意をもって聴き入った。

そしてトリの山下洋輔トリオ(たぶん)最後の再結成は、ひたすら圧巻。涙が出るほど感動した。<本物>の迫力の前にはただただひれ伏すのみ。

「凄いものを見た」「歴史的瞬間に立ち会った」という感慨と共に会場を後にした。
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2015/12/24 | 投稿者: pdo

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Happy Xmas / John Lennon & Ono Yoko

さてクリスマスだ
今年はどうだった?
古い一年が終わって
新しい一年が始まる
そういうわけでクリスマス
今年は楽しめたかい?
身近な人も愛しい人も
年寄りも若いのも

クリスマスおめでとう
そして新年おめでとう
いい年になりますように
何の恐怖もなしに

そういうわけでクリスマス
弱い人も強い人も
金持ちも貧乏人も
世の中は完全に間違ってる

クリスマスおめでとう
黒人も白人も
黄色人種も先住民も
争いなんか止めようよ

クリスマスおめでとう
新年おめでとう
いい年になりますように
なんの恐れもなしに

さてクリスマスだ
今年はどうだった
古い一年が終わって
新しい一年が始まる
そういうわけでクリスマス
今年は楽しめたかい
身近な人も愛しい人も
年寄りも若いのも

クリスマスおめでとう
新年おめでとう
いい年になりますように
なんの恐れもなしに

戦争は終わる 君がそれを欲するのなら
戦争は終わる 君がそれを本当に求めるのなら

戦争はいま終わった

Happy Xmas!!!


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2015/12/17 | 投稿者: pdo

小説タイトルの前後半を組み合わせて一番面白いタイトルを作るゲームが流行っているらしい。

「80日間鐘は鳴る」 (うるさい)

「マリア様が部活やめるってよ」 (何の部活?)

「吾輩は電気羊の夢を見るか」 (知るかそんなもん)

「限りなく透明に近いばか」 (なるほど)

「アルジャーノンに異常なし」 (西部戦線に花束を)

とか。

以下は読書感想文。

『33年後のなんとなく、クリスタル』(田中康夫)を読んで、本気でヤッシーに総理になってほしくなった。

だって、2000年からの6年間の長野県知事時代に、これだけの実績を上げてるんだよ。

・ 中央のゼネコンに総事業費の8割が還流していくダム建設に象徴さ れる巨大公共事業から、地域密着型の公共事業へと転換。地域住民と共に、ダムに頼らない治水・治山を実現。

・ 全国唯一、6年連続で財政黒字化を達成財政再建団体転落寸前だった県財政の再建に、知事就任と同時に着 手。県債残高(借金)を全国唯一、6年連続で計923億円減少させ、プライマリーバランスの連続黒字化を達成。

・ 小学校全学年で「30人規模学級」を実現すべての小学校で6年生までの少人数学級を実施。教員採用試験の 受験年齢制限を全廃し、豊かな経験を有する社会人校長や教諭を積極採用。現場の意識改革を促進。

・ お年寄りと乳幼児のための「宅幼老所」を設置集落や商店街の空き家を利用し、高齢者のデイサービスと3歳未満 の乳幼児保育を一緒に行う「宅幼老所」を300ヶ所に設置。施設建設ありきのハコモノ福祉行政を大転換。

・ 徹底した入札改革で、「談合県政」を刷新あらゆる分野の事業で一般競争入札を導入。「談合摘発」に実績を 有する弁護士を会計局長に任用し、検査部門を強化。不透明な税金の流れを断ち、予算を福祉・医療・教育分野に。

・ 「ドクターヘリ」導入で緊急医療体制を充実全国に先駆け、実質2機体制を確立。医師と看護師が乗り込み、通 報から治療開始までの時間を大幅に短縮。スキー場や避暑地等での観光客の救命救急にも効果を発揮。

・ 「木製ガードレール」開発で地域雇用を創出鋼製ガードレールの設置費用は全額自治体負担にも拘らず、大都市 圏の企業が製造。地域で出来る事は地域で、を合い言葉に開発した木製ガードレールは景観育成にも寄与。

・「車座集会」で地域住民との直接対話事前予約不要で誰もが参加・発言可能な、毎回2時間半以上に及ぶ 直接対話。延べ1万5千人の参加者。養護学校への看護師常駐を始め、提言を切っ掛けに数多くの施策が実現。

★建設産業構造改革支援プログラム
★信州きこり養成講座
★「安心・安全・正直な温泉表示」認定制度
★原産地呼称管理制度
★BSE全頭検査
★化学農薬・化学肥料の使用を半減・全廃するレス50・レス100生産者支援
★ヤミ金110番
★チャイルドライン
★児童虐待・DV24時間ホットライン
★県有施設の敷地内全面禁煙
★上高地への観光バスをハイブリッド車に限定
★マンション軽井沢メソッド宣言
★迷子の犬猫HP情報
★無医地区通院支援車
★外郭団体統廃合の徹底
★人件費こそ最大の事業費・ゼロ予算事業で職員意識改革
★専門職員が直接説明に出掛ける出前講座
★部課長が庁舎入口で案内役を務めるお尋ねコンシェルジュ



この小説は、浅田彰や菊地成孔が指摘する通り、プルースト的な時間感覚を持ち、表面的にはほとんど何も起こらない中で、詳細な外面的描写と内面的意識の流れの描写の組み合わせによって、特異で濃密な読書体験をもたらす。

本文を補完する註は、『なんとなく、クリスタル』(もとクリ)の註以上に雄弁に実践家・批評家としての田中康夫の主張を述べている。その意味でこの作品は単なる小説(フィクション)ではなく鋭い社会批評ともなっている。

かつて田中は、もう小説を書かないのかという問いに対して、次のように答えている。「一作目(なんクリ)で言った世の中って言うのが180℃は回転してはいないんですよね。だから、そういう意味で、エポック的なものはなかなかまだ作れないと思うんだね。今度は男、ある意味僕に近い人を主人公にして、時代を疾走している。と言う感じを考えています。」

まさにこの『33年後のなんとなく、クリスタル』という小説はそれにあたるといえるかもしれない。

彼は同じインタビューでこうも語っている。

――自分の小説に対しては一流だという意識はありますか?

田中 少なくとも一作目は、時代的に残るでしょうね。みんな、これはブランドの小説だって言ってますけど、これは結局、初めて日本はアメリカの占領国だって言ったものだと思うんです。村上龍までの小説っていうのは「ヤンキーゴーホーム」的な小説だったと思うんだよね。僕のって言うのは、「コカコーラが今一番新しい」ってそこに何の理由もつけないっていう人たちを描いたのであって、これは日本はアメリカの被占領国でしかないことをいったんだと思うんだよ。でも、そういうことって誰もが思っていたんですよ。アメリカのおかげで本も読めるしいい家にも住めるし、飯もうまいし…でも、それを言ってしまうということは、自分が裸の王様であるってことを自ら告白してしまうことにつながるわけなんですね。それは決して口に出してはいけないことだったんです。「ヘンタイよい子」の人たちというのは、「ちゃんと、本音を言ってます」てなことをいっているけど、ちゃんとビックリハウスのインタビューでは「僕は、いつも本を小脇に抱えてうつむいて歩いているような女の子が好きです」って必ず言っているでしょう?決して本音じゃなくて、ちゃんと建前になってるわけだね。つまり、そういうことをしていかなければ、自分は裸の王様だ、飯の食い上げだってことだったんですね。それを田中康夫は「コカコーラは美味しい…それで終わり?」というか、「ウェルカムヤンキー」被占領国だって言っちゃった。これが感情的に許せない行為なんでしょうね。もっと時代が経てば、一作目の作品は評価されるんじゃないですか?今の文芸評論家に理解してもらうっていうのは難しいことでしょうね。

田中康夫が言いたかったことっていうのは、ブランドの羅列じゃないわけですよ。僕が言いたかったのは、「すべての価値が等価値になってしまった」ということで、戦後理想とされた世論が全部崩れた時代に、頼るものは現実に目の前にある、物質…もう一瞬経てば確かなものではないかもしれないけど…その瞬間、その目の前にある物質しか頼るものがないってことを言いたかったんです。この間も、講演で言ったんだけど、「ライフ」というものが全て満たされてしまっている時代なんです。ものに帰結しているって言うのは…。洋服も本来は、裸じゃ寒いから着ていたんだけど、第一義の目的を果たすためのものってみんな持っているですよ。食べるものにしてもね。そうして、第一義の目的が果たされると、人間は次の目標に拘るようになる。デザイン、肌触り、色…そういう、第一義以外の目的に重きを置くようになると、これは、みんな人生の全ての行為の一つ一つはスタイリング化現象になるんです。ものに拘っていくということは、そういうことなんです。都会のような、一定面積より人口が多いところに住んでいると、自己証明できなくなるんです。そうなってくると、ほかの助けを借りるようになる。それが、みんなブランドなんですよ。ライフが満たされると、みんなスタイルを求めていくんです。




つづく






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2015/12/15 | 投稿者: pdo

12月に読んだ本

『知的生き方教室』中原昌也

菊地成孔が面白いと言っていたので読んだ。

前半は「?」だったが、後半に行くにしたがって面白くなってきた。高橋源一郎の小説と似たテイストを感じた。筒井康隆にも通じるものがある。

小説には世の中を変える力はないとよく言われるが、少なくとも読者の世界認識を変えることを通じて読者の言動を変える力はある。その力を持つかどうかが、純文学とエンタメ文学の違いではないかと思う。そういう意味ではこの小説は純文学といってよいのではないかと思う。少なくとも自分の意識状態(世界認識)が、この小説を読む前と読んだ後では微妙に変化したので。

個人的に最も驚いたのが、著者が「暴力温泉芸者」というバンド(ミュージシャン)であったのを知ったこと(ずっと気になる存在だったのに今まで知らなかったこと)と、自分と同い年であるのを知ったことだ。

日本の純文学は中原昌也だけあればいいという菊地成孔氏の見解はいささか極端な気がするが決して誇張とは言えず、この小説がベストセラートップになればこの国は滅びるという彼の意見には思わず頷かざるを得なかった。


『なんとなく、クリスタル』田中康夫

菊地成孔がラジオ番組で朗読していたので読んだ。

余りにも有名な作品だが、この年になるまで手に取ろうと思ったことは一瞬たりともなかった。
その後の田中康夫という人物の生き様を知ったうえで読むとなかなか興味深いが、当時この小説がベストセラーになった時には『ケッ』の一言で済ませていたし、現にこの年になるまでまったく読みたいとは思わなかった。でも読んで面白かった。菊地成孔のお蔭だ。田中康夫と言えば『噂の真相』に連載していた「ペログリ日記」のイメージが強く、その後長野県知事になって「脱ダム宣言」をしたり神戸震災でボランティアをしたりしているのを見て見直した記憶がある。今一番信頼できる政治家の一人である。ヤスオちゃんが日本の首相になればいいと本気で思う。

田中康夫こそ、「予言者」或いは「幻視者」と呼ぶにふさわしい「時代の子」であると思う。

これから『33年後のなんとなく、クリスタル』を読み始める。

『ユリイカ 坂口恭平特集』(青土社)

『独立国家のつくりかた』から『幻年時代』、『現実脱出論』、『家族の哲学』へと内向していく坂口恭平を追いかけなくなってしばらく経ってしまっていたが、この特集を読んで、もう一度取り組んでみたいと思い直しつつある。

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2015/12/7 | 投稿者: pdo

人間の自我を描いた小説は悲劇に終わるのが必然であるが、この世にもし<無我小説>というジャンルがあるとすれば、それは必ず、必ず救いによって終わる。

宮沢賢治の『なめとこ山の熊』や『銀河鉄道の夜』がそうであるように。

何が救いなんだと言われようが、あれは救いそのものだ。ありのままで世界は救われているのだという浄土思想を純粋に作品化すればあのようにならざるを得ない(賢治は熱心な日蓮宗徒だったけれども)。

それを20世紀のポップ・ミュージックの世界で具現化したものの一つが、アントニオ・カルロス・ジョビンの『三月の水』 (Águas de Março / Waters of March)だ。


ワタシは過去2回、ラジオのパーソナリティをやってきまして、今回が3回目ですが、毎回番組たびにこの曲の特集を組んで、その詩を朗読してきました。
そして今年、初めて、この曲のタイトル、そしてメッセージは我々日本人にとって特別な意味を持つようになりました。

この曲が何かを仕組んだわけじゃない。
我々が何かを仕組んだわけでもありません。
ただあるがままに、この曲がすでに存在していただけです。
大衆音楽というものはそういうもんだと、ワタシ思います。

昨今の大衆音楽の中には、俗流のエコロジーやアニミズムをテーマにしたものが山ほどありまして、年々増加傾向にさえあると言えます。
『トイレの神様』大いに結構です。しかし、大衆音楽が、エコロジーとアニミズム、つまり自然界における神々の偏在を歌って、この曲以上のものを、不勉強ながらワタシ知りません。


と菊地成孔が紹介した『粋な夜電波』2011年10月2日放送で朗読された訳詩を以下に掲げる。



枝 

石ころ 

行き止まり 

切り株の腰掛け 

少しだけ独りぼっち

ガラスの破片 

これは人生 

これは太陽 

これは夜 

これは死


銃 

この足 

この地面 

この身と骨

道路の響き 

スリングショット 

魚 

閃光 

銀色の輝き

争い 

賭け 

弓の射程 

風の森 

廊下の足音

擦り傷 

こぶ 

何でもない


槍 

釘 

先端 

爪 

ぽたぽた 

この物語の終幕

トラックが運んでくる一杯の煉瓦 

柔らかな朝日の中

銃声 

丑三つ時


1マイル 

やるべき事 

前進 

衝突

女の子 



風邪

おたふく風邪

家の予定 

ベッドの中の身体 

立ち往生した車

ぬかるみ 

ぬかるみ


そして川岸が語る 

三月の水

人生の約束 

心の喜び


浮遊 

漂流 

飛行 



鷹 

うずら 

春の約束 

泉の源

最終行 

落胆した貴方の顔

喪失 

発見


蛇 

枝 

あいつ 

あの男

貴方の手の中のトゲ 

そしてつま先の傷

川岸が語る 

三月の水

それは人生の約束 

それはあなたの心の喜び


一点 

ひと粒 

蜂 

ひと口

瞬き 

禿鷹 

突如の闇


ピン 

針 

一撃 

痛み

蝸牛 

なぞなぞ 

借り鉢 

染み


枝 

石ころ 

最後の荷物 

切り株の腰掛け 

一本道


そして川岸が語る 

三月の水

絶望の終わり 

心の喜び 

心の喜び 

心の喜び


この足 

この地面

枝 

石ころ 

これは予感 

これは希望


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